オジサマ専科 Vol.2 Memories母の手帳の設定を超改変してあります。なのでネタバレも含まれております。BOYSLOVEテイストにしてお届けなので、実際の商品とは一切何も関係ありません。もぐ菜は古川透CV:中田譲治しゃん推しなのでよろ。それと古川透氏は黒髪サラサラ和装で物静かな優しいアーカード様をイメージしてねんVv
gentleman's&boy(9)
藤宮が古川の家に遊びに来る様になった。古川も藤宮が来るのが待ち遠しい。
藤宮を知れば知る程に惹(ひ)かれてゆく、古川が唯一(ゆいいつ)愛した人の面影(おもかげ)が藤宮と重(かさ)なる。
もし、自分の子供ならば────────── それとも、斉藤の子供なのであろうか??
苦悩する古川だった。
藤宮は当初の父親捜しの事は忘れて居る様である。二人きりの時には藤宮は、恋人同士みたいに時々甘えてくる。
父親か恋人なのか?? どっちを選ぶ??
真実を、もし、曝(さら)したら彼との関係が破綻(はたん)する可能性が…… この関係を壊したくない。
古川の家に藤宮が遊びに来る様になってから、一ヶ月経(た)った土曜の夜。
藤宮が作った手料理を食べ終えて一段落が付いた。食事をして居る時から古川の表情が優(すぐ)れない心配する藤宮。
お互い向き合う様に、ダイニングテーブルの椅子に座って居る。今日は紅茶を煎れた。紅茶の花やいだ香りと、皿に盛られたバームクーヘン。
「透さん、透さん??」
自分の名を呼ばれやっと我に返る。
「あぁ。」
「透さん、顔色が悪いよ。風邪っぽい??」
心配し不安げな声の藤宮。
「悠紀─────── 」
名前を呼ばれて藤宮は古川を見つめると。
「……君のお母さんの事で、一つ聞きたい事があるんだ。」
「お母さん??」
「君と初めて私達が出会った日の事を、覚えて居るかな??」
古川に言われ藤宮は瞳を伏せて俯(うつむ)く。
「はい、僕は母からの最後のお願いを確かめる為に、透さん達に連絡を執(と)った。」
「私は、高校生時代に君のお母さんである彩子さんと関係を持った。遊びではなく、彼女を愛して居た。私は彩子さんと将来を誓い合う者同士になり、私は自分の両親に彼女との関係を認めて貰い約束したのだ。私が大学を卒業後に、彩子さんと結婚をする事を。」
「母と??」
「しかし、彩子さんは私が高校を卒業する一週間前に、突如(とつじょ)姿を消した。何故(なぜ)、私には何も言わず、いずこへ去ったのか私には知るすべは無かった。噂では、父親の転勤や、彩子さんのご両親が親の面倒を見るので故郷(こきょう)に帰られたと。出所の分からない噂だけが、一人歩きをしたのだ。」
「母から何もその事は、聞いてないです。母から聞かされた事は、僕の本当の父親が存在して居ると。どちらか一人の男性であると。」
「私と剛のどちらか。私は彩子さんを、愛して居た。今もこれからも、ずっと。だからこそ知りたい。悠紀が私の子供であると。」
「もし、僕が透さんの子供ではないなら……」
藤宮はしゃくり上げ泣き出す。
「悠紀、」
藤宮は泣き声を押し殺してダイニングテーブルの椅子から立ち上がりキッチンへ向かう。洗い物をして居る。
古川もダイニングテーブルの椅子から立ち上がりキッチンへ。しょんぼりとして小さな後ろ姿の藤宮を見つめる。
古川が声をかけ様とした時に洗い物が終わった。
泣き顔なのに精一杯の笑顔の藤宮。
「僕、帰りますね。僕にとって父親が誰でも良かった。透さんの傍(そば)に居られれば、それで幸せだった。僕が透さんの子供でないなら、僕は透さんの隣に存在する必要がない。さようなら、透さん、お元気で。」
古川の横を小走りで通り抜ける藤宮の手を掴もうとするが手を振り払われてしまう。古川は追い掛けるが、藤宮は家の外へ駆け出して行く。
携帯電話もお財布も残したままで、藤宮は何も持たずに立ち去ってしまった。藤宮を動揺させた事を深く悔(く)いる古川だった。
居ても立ってもいられず古川は藤宮を探しに出掛ける。何処(どこ)に居るのかは見当(けんとう)もつかない。駅やコンビニを見て歩くが藤宮の姿は見当(みあ)たらない。
遠方の高層ビル群が夜空を照らす。空には滲(にじ)んだ三日月が弱々しく月明かりを照らす。
古川はそんな頼りない月明かりを見つめ、自分の愚かさに気づき深いため息をついた。
gentleman&boy(10)
gentleman's&boy(9)
藤宮が古川の家に遊びに来る様になった。古川も藤宮が来るのが待ち遠しい。
藤宮を知れば知る程に惹(ひ)かれてゆく、古川が唯一(ゆいいつ)愛した人の面影(おもかげ)が藤宮と重(かさ)なる。
もし、自分の子供ならば────────── それとも、斉藤の子供なのであろうか??
苦悩する古川だった。
藤宮は当初の父親捜しの事は忘れて居る様である。二人きりの時には藤宮は、恋人同士みたいに時々甘えてくる。
父親か恋人なのか?? どっちを選ぶ??
真実を、もし、曝(さら)したら彼との関係が破綻(はたん)する可能性が…… この関係を壊したくない。
古川の家に藤宮が遊びに来る様になってから、一ヶ月経(た)った土曜の夜。
藤宮が作った手料理を食べ終えて一段落が付いた。食事をして居る時から古川の表情が優(すぐ)れない心配する藤宮。
お互い向き合う様に、ダイニングテーブルの椅子に座って居る。今日は紅茶を煎れた。紅茶の花やいだ香りと、皿に盛られたバームクーヘン。
「透さん、透さん??」
自分の名を呼ばれやっと我に返る。
「あぁ。」
「透さん、顔色が悪いよ。風邪っぽい??」
心配し不安げな声の藤宮。
「悠紀─────── 」
名前を呼ばれて藤宮は古川を見つめると。
「……君のお母さんの事で、一つ聞きたい事があるんだ。」
「お母さん??」
「君と初めて私達が出会った日の事を、覚えて居るかな??」
古川に言われ藤宮は瞳を伏せて俯(うつむ)く。
「はい、僕は母からの最後のお願いを確かめる為に、透さん達に連絡を執(と)った。」
「私は、高校生時代に君のお母さんである彩子さんと関係を持った。遊びではなく、彼女を愛して居た。私は彩子さんと将来を誓い合う者同士になり、私は自分の両親に彼女との関係を認めて貰い約束したのだ。私が大学を卒業後に、彩子さんと結婚をする事を。」
「母と??」
「しかし、彩子さんは私が高校を卒業する一週間前に、突如(とつじょ)姿を消した。何故(なぜ)、私には何も言わず、いずこへ去ったのか私には知るすべは無かった。噂では、父親の転勤や、彩子さんのご両親が親の面倒を見るので故郷(こきょう)に帰られたと。出所の分からない噂だけが、一人歩きをしたのだ。」
「母から何もその事は、聞いてないです。母から聞かされた事は、僕の本当の父親が存在して居ると。どちらか一人の男性であると。」
「私と剛のどちらか。私は彩子さんを、愛して居た。今もこれからも、ずっと。だからこそ知りたい。悠紀が私の子供であると。」
「もし、僕が透さんの子供ではないなら……」
藤宮はしゃくり上げ泣き出す。
「悠紀、」
藤宮は泣き声を押し殺してダイニングテーブルの椅子から立ち上がりキッチンへ向かう。洗い物をして居る。
古川もダイニングテーブルの椅子から立ち上がりキッチンへ。しょんぼりとして小さな後ろ姿の藤宮を見つめる。
古川が声をかけ様とした時に洗い物が終わった。
泣き顔なのに精一杯の笑顔の藤宮。
「僕、帰りますね。僕にとって父親が誰でも良かった。透さんの傍(そば)に居られれば、それで幸せだった。僕が透さんの子供でないなら、僕は透さんの隣に存在する必要がない。さようなら、透さん、お元気で。」
古川の横を小走りで通り抜ける藤宮の手を掴もうとするが手を振り払われてしまう。古川は追い掛けるが、藤宮は家の外へ駆け出して行く。
携帯電話もお財布も残したままで、藤宮は何も持たずに立ち去ってしまった。藤宮を動揺させた事を深く悔(く)いる古川だった。
居ても立ってもいられず古川は藤宮を探しに出掛ける。何処(どこ)に居るのかは見当(けんとう)もつかない。駅やコンビニを見て歩くが藤宮の姿は見当(みあ)たらない。
遠方の高層ビル群が夜空を照らす。空には滲(にじ)んだ三日月が弱々しく月明かりを照らす。
古川はそんな頼りない月明かりを見つめ、自分の愚かさに気づき深いため息をついた。
gentleman&boy(10)