Shevaのブログ
サッカー、テニス、バレエ、オペラ、クラシック音楽 そのほか
 



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PLAYBACK- 2001

2001年9月11日。2年遅れでやってきたノストラダムスの「恐怖の大王」
一日中CNNニュースに釘付けになっていた。
そして私たちはそのたった1週間前にヨーロッパの旅行から帰ってきた。

そのシーズンは珍しくセリエAの始まる日程が早かった。2002年にワールド・カップを控えているからだ。
いつもセリエAはぎりぎりまで日程が出ない。イタリアとかスペインは困ったもんだ。ようやく直前にスケジュールが出た。

困った。私たちはヒデの試合を見に行きたかったのだ。ところが私たちの行ける日程の日は、ヒデはアウェイでレッジョ・カラブリアにいた。(Lecce - Parma)
どう計算しても私たちの超弾丸ツアーでは、イタリアの最南端まで下って戻るなんてできない。
それでしょうがなく、プランをACミラン観戦に切り替えることにした。しかし! ミランもアウェイだった。ミランがアウェイということはインテルがホームなわけで、ジュゼッペ・メアッツァに行くなら、インテルだった(Inter - Perugia)。
 しかしここでくじけてはいけません。なんとすばらしいプランが浮かんだ! 開幕戦、ミランはアウェイでイタリアの田舎町、ブレシアでロベルト・バッジョの君臨するブレシアと対戦するのだ。これはデイゲーム。
 そしてその隣町、ヴェローナ、マルカントニオ・ベンテゴーディ(Marc Antonio Bentegodi)では、ヴェローナがローマと対戦する。これはナイトゲームだ。まさに天の配剤!と勝手に盛り上がる若干1名。今考えてみるとほんとに甘かったのだが。
 まさに弾丸ツアー。私たちの計画はひどいもんだった。2泊5日。ミラノに1泊、ヴェローナに1泊するだけ。これを無謀といわずしてどうする。
 発ったのは日本時間で金曜の夜。
 行きの飛行機はエール・フランス。パリのシャルル・ド・ゴールでトランジット。現地時間で土曜の早朝、パリ着で、ミラノに着いたのは昼間。
 私はもう時差ぼけでありえないコンディションに陥っていた。ミラノの地下鉄でサン・シーロ観光をもくろんだが、メトロがスト中で不可能に。

Brescia - Milan

 日曜に電車でブレシアに向かう。
 ブレシアはのどかな田舎町で非常にスタジアムの雰囲気もプロヴィンチアで暖かい。点を入れた選手の名前が会場のマイクで紹介される。ファーストネームを言うと、会場中のブレシア・サポーターがそのセカンドネームを大合唱するのだ。
 “ターーーーーーーレ!!!!!” 
 これはなんとも感動的なシーンだった。今でも耳に焼き付いている。やっぱファンはホームで見たいよね(クスン)。
 さあて駅には着いたがどうやってスタジアムに行こうか…ここで神のご加護か、タクシーが拾えた。
 タクシーのおじさんにスタジアムの名前を告げる。Mario Rigamonti (マリオ・リガモンティ )。おじさんは理解した。
 ここで問題なのは帰りの足だ。おじさんに必死に英語で交渉する。
「試合が終わったら、帰りも駅までお願いしたいのですが…」
おじさんは英語がわからない振りをする。しょうがないのであきらめる。まあバス停ぐらいあるだろうし…
 スタジアムに着いた。こじんまりとしたスタジアムの回りにはいくつも屋台が出ていて、バッタもののセリエAのユニフォームを売っている。¥2000ぐらいだ。
 スタジアムの中に入るが、非常に小さい。メインスタンドから向かって右側のクルバにはミラン・サポーターが陣取っている。すごく狭くて、そこにぎゅうづめになっているサポーター。彼らはブレシアのサポーターとは完全に隔離されている。
 しかしものすごく暑い。屋根のあるメインスタンドはまだまし。バックスタンドやクルバは灼熱の暑さだろう。芝生に水をまいていた係員が大サービス。裸になっているサポーターたちに水を浴びせていた。お客さん大喜び。
 ピッチではロッソネロが団体で練習していた。すごいメンバー。夢にまで見た光景だ。この後、ミランを生で見たのは2003年のトヨタカップまでおあずけだった。
 ミランはこのシーズン(2001-2002)、ルイコスタとインザーギを迎えた。しかもピルロはこのブレシアから移籍したばかりだった。この試合はいろんな要素を含んだ試合だった。
 開幕戦であること、ブレシアから移籍した選手がいること、新加入のスーパースターがいること。
 ブレシアのサポーターはあたたかくチームに大声援を送る。私たち日本人の感覚からすると、ミランはスーパースターぞろいのチームだからブーイングなんかしないでしょう、でもイタリアは違う。どんな弱小チームでも、地元のチームが勝つことが無上の喜びなのだ。昨シーズンブレシアから移籍したピルロには容赦ないブーイングが浴びせられた。それこそかわいそうなくらい。
 ピルロはいろんなチームで今まで機能していなかった。才能はあるのに才能を100%生かせてなかったのだ。この時もそういう印象で私たちは彼を見ていた。しかしピルロはこのあとミランであれよという間に開花する。不動のボランチとして。
 
ブレシア》
 イグリ・ターレ(Igli Tare FW・アルバニア人)ドッピエッタ(2得点)
 フィリッピーニ兄弟
 ロベルト・バッジョ
 ディアナ
 監督:マッツォーネ

ミラン》
 シェフチェンコ
 インザーギ
 ルイコスタ
 ピルロ
 カラーゼ
 セルジーニョ(交代で出てきた)
 マルディーニ
 コスタクルタ
 (ネスタはいなかった)
 監督:

 試合が始まり、ロベルト・バッジョがすばらしいプレーを披露する。彼のパスをターレが決める、(だったような)。今回こんなプロヴィンチャまで来たのはやはり現役のうちにバッジョを肉眼で見ておきたいというのも大きかった。
 ターレは2得点をあげ、お客さんを満足させる。
 しかし恐ろしいことが起こった。ルイ・コスタがけがしてしまったのだ。ガッリアーニ副会長がとんできて、ルイコスタに付きっ切りになる。ルイコスタは救急車に乗せられ、ミランサポーターのすぐ横を搬送された。衝撃的な光景だった。
 
 前半に2-0とリードされるが、ミランはブロッキのゴールとシェフチェンコの得点で同点にする。
 試合は後半セルジーニョが投入されすごい運動量で左サイドを駆け上がっていた。
 結果は2-2だった。
 私たちはメインスタンドでミランを応援していたがかなり浮いていた。
 でも追いついて大満足。

Giornata n.1 del 26/08/2001 (1ª di andata)
BRESCIA 2 - 2  MILAN
Tare I. 36'pt [il gol]
Tare I. 40'pt [il gol]
Brocchi C. 5'st [il gol]
Shevchenko A. (r) 18'st [il gol]

Brescia (4-4-2):
Castellazzi Sv, Petruzzi 6, Calori 6.5, Bonera 6, Esposito 6 (34' St Correa Sv), A.Filippini 6.5, Yllana 7 (43' St Guana Sv), E.Filippini 6.5, Kozminski 6.5 (39' St Mero Sv), Baggio 6, Tare 7.5. (12 Srnicek, 24 Del Nero, 25 Salgado, 26 Cortellini).
Allenatore: Mazzone 6.5.

Milan (4-3-1-2):
Abbiati 5,
Chamot 4.5 (1' St Contra 6), Costacurta 5.5, Maldini 6, Serginho 5.5, Gattuso 5, Kaladze 4.5, Brocchi 6 (30' St Donati Sv), Rui Costa Sv (24' Pt Coco 5), Inzaghi 5.5, Shevchenko 5.
(1 Rossi, 24 Laursen, 21 Pirlo, 19 Moreno).
Allenatore: Terim 6.

Arbitro: Collina di Viareggio 6.5.
Angoli: 4-4.
Recupero: 1' e 3'.
Ammoniti: Costacurta per gioco scorretto.
Spettatori: 17 mila.
Note: giornata caldissima, 35 gradi, con un elevato tasso di umidita'. Infortunio a Rui Costa, costretto ad uscire in barella al 24' del pt.
I Gol:
37' pt: bel triangolo sulla trequarti Baggio-Tare-Kozminski, con discesa sulla fascia di quest' ultimo e cross efficace sul quale Tare di testa prevale su Costacurta.
41' pt: azione fotocopia del Brescia con Kozminski che arriva sul fondo della fascia sinistra e crossa: Abbiati sbaglia il tempo dell'uscita e tare ancora di testa insacca.
4' st: mischia in area del Brescia, Calori e Petruzzi pasticciano, il loro rinvio e' corto e brocchi di sinistro trova lo spiraglio vincente.
18' st: l'arbitro Collina concede un rigore per un atterramento in area di Emanuele Filippini e Kozminski ai danni di Contra. Batte Shevchenko di piatto destro, portiere da una parte, palla dall'altra



 スタジアムを後にする。しかしここでだんだん困ったことになってきた。バス停がわからない。しょうがないのでとりあえず歩く。
 ミランの殺気立ったサポーターを護送するバス(こういうのがほんとにあるのだ)が疾風のように去っていく。さっさと去れ!ということらしい。彼らはありえないほどバスにすし詰めにされ、大きな声で応援歌を歌っている。
 我々日本人には、どこからか、なんかものが飛んできた。おいおいおい。
 とにかく歩いて疲れきったところにバスがやってきた。ありがたい。サポーターでとにかくぎゅうぎゅうづめのバスに乗って、駅へ。降りた場所が駅かどうかもわからなかったが、もう勘だよ。今思えばよく駅まで行けたものだ。まったくありえない。

 さてお次はヴェローナだ。早く行かないと間に合わない。来た鈍行の列車に乗って更に東へ向かう。
 ヴェローナはブレシアほど田舎じゃない。一応、都市だ。
 とにかくホテルに荷物を置かなくちゃ。ホテルの場所もようわからんのでタクシーで行ったら、駅のすぐそばだった。
 さあてスタジアムはどこでしょう?
 これもタクシーで向かう。
 夕闇が迫っている。そしてマルカントニオ・ベンテゴーディにはブレシアを越える恐怖が待っていたのだった(大げさ)。

 Verona - Roma

マルカントニオ・ベンテゴーディは大きなスタジアムで広すぎてオリンピコみたいだ。とにかく腹が減ったので、屋台で飲み物と食べ物を仕入れる。食べ物ときたら、どこへ行ってもパニーニしかない。そして水がほしいのに、「水」というイタリア語がわからなかったためにエスプレッソコーヒーを飲む羽目に。これがまた死ぬほど濃い! 飲んだ途端吐き出したくなるほど。これなに? という感じ。
 イタリア語で水は『アックア・ミネラーレ』。これだけは死ぬまで忘れないかも。
 スタジアムに入ろうとしたら入り口が不明で一周しちゃった。なんで? とにかく中に入ったが、どこの席なのかよくわからなかった。
 とりあえずメインスタンドの端にいる。おどろしいことにすぐ右手に極悪なローマのサポーターが。これは怖かった!
 それに目の前をでかい旗を持ったヴェローナのくそガキ(10歳ぐらい)がいて見えやしない。見えないんだよ!と日本語で文句を言う。おいおい。でも通じたかも。こんな小さくても立派なサポーター。イタリア人恐るべし。
 
 ヴェローナ》
ムトゥー
 
 ローマ》
トッティ
トンマージ

手を伸ばせば届きそうな距離にトンマージがいてコーナーキックを蹴る。

とにかく試合展開はともかく、クルバのローマの過激なサポーターがすごい。高いところで落ちそうなぐらいに壁に腰掛けて、熱狂的に声援する。とにかく怖い。近いからさらに怖い。
発炎筒でスタジアムが白くなっている。

そして悪いことに、同行者の具合が悪くなってきた。
我々は早々にスタジアムから退散する。
スタジアムの回りは真っ暗で、タクシーもいない。
でもここはありがたいことに歩いて帰れないでもない距離だったので歩く。
あやしい人たちがうようよいる。
スタジアムの大群衆はまだ帰るわけがない。
冷や汗をびっしょりかきながら、暗い道をひたすら勘だけでヴェローナの駅方面に戻る。まじ怖かった。
ホテルにたどり着いた時はすごく幸せだった。
こんなに旅先で緊張するなんてなんてスリリングな旅なんだろう。

Giornata n.1 del 26/08/2001 (1ª di andata)
VERONA 1 - 1 ROMA
Samuel W. 45'pt [il gol]
Oddo M. 29'st [il gol]

Verona (3-4-3): Ferron 6, Filippini 6.5 (30' St Melis, Sv), Zanchi 6, Gonnella 6, Seric 6.5, Mazzola 6, Colucci 6, Oddo 7, Mutu 5.5, Gilardino 5.5 (21' St Frick, Sv), Montano 6.5 (21' St Salvetti, Sv). (22 Doardo, 15 Italiano, 25 Diliso, 26 P.Cannavaro). Allenatore: Alberto Malesani, 7.

Roma (3-4-1-2):
Pelizzoli 5.5, Zago 6 (19' St Siviglia, Sv), Zebina 5, Samuel 7, Fuser 5.5 (37' St Lima, Sv), Assuncao 5.5 (17' St Guigou, Sv), Tommasi 6, Candela 5, Totti 6, Montella 5.5, Batistuta 5.5. (22 Cejas, 16 Balbo, 18 Cassano, 23 Tomic). Allenatore Fabio Capello, 6.

Arbitro: Farina di Ovada, 6.5.
Angoli: 4-2 per il Verona.
Recupero: 1' e 4'
Ammoniti: Assuncao per gioco falloso e Mutu per proteste.
Spettatori: 22.110 per un incasso di 470 milioni di lire.



ホテルで倒れた同行者を尻目にひたすらイタリアのスポーツ番組を見る。おお~、やってます。リッピ監督が出ている。さすがイタリア。
今は日曜の夜中。あしたはまたミラノに戻って帰途に着く。
ふう~~~

翌日、また列車でミラノに戻る。ミラノの駅にミラン・ショップがあってお土産を買う。
それから同行者のために鎮痛薬を買う。英語が通じない~
「バッファリン!」と叫んでやっと通じた。

イタリアでの教訓は、
『英語は通じないと思え。』
『水』ぐらい知っとけ。
『田舎では足を確保すること』
『ホテルにバスタブはないと思え』(ミラノのホテルには奇跡的にバスタブがあった)
『ホテルの朝食はハムばっかり』
こんなところですか。
やっぱツアーは偉大ですよ。足があるだけでもありがたいことだ。ミラノとかの大都市だったらまったく問題ないだろうが、プロヴィンチャはフリーではかなりチャレンジングなものがある。


not completed






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