カムイ外伝 (2009)
U.S. Release Date:
■監督:崔洋一
■原作:白土三平
■キャスト:松山ケンイチ/小林薫/小雪/伊藤英明/大後寿々花/佐藤浩市/イーキン・チェン
■音楽:岩代太郎
■字幕:
■お勧め度:★★★
「白土三平の伝説的傑作漫画を「血と骨」の崔洋一監督が「DEATH NOTE デスノート」「デトロイト・メタル・シティ」の松山ケンイチ主演で実写映画化したアクション時代劇。原作の中の『スガルの島』編を基に、抜忍として孤独な逃亡の旅を余儀なくされた主人公カムイの心の葛藤と生きるための決死の闘いを、VFXを織り交ぜつつも俳優陣の身体を張った激しいアクション満載で描き出す。
17世紀の日本。すさまじい階級社会の中で最下層の子として生まれたカムイにとって、強くなることが生き抜くための条件だった。はからずも忍びの道へと進んだカムイだったが、やがて自由を求めて忍びの世界を抜け出す。抜忍となったことで、追っ手との終わりのない戦いと逃亡の人生が宿命づけられるカムイ。そんなある日、カムイは漁師の半兵衛を助けた縁で、彼の家に身を寄せることに。しかし半兵衛の妻スガルは、自らも抜忍だったため、カムイの出現に警戒心を募らせる。対照的に半兵衛の娘サヤカはそんなカムイを温かく迎え入れ、ようやくカムイの心にも束の間の平穏が訪れるのだったが…。」(allcinema.net/より。)
白土三平の「カムイ外伝」というのは殆ど記憶に無いが、かなり長期間の連載だったと思うし、白土三平はこれだけだったのじゃないだろうか。調べてないので分からないが。なぜかと言うと、このシリーズというのは、当時の流行りだった「巨人の星」とかの派手なスポコン物と違って、さりげないエピソードを積み重ねることで、カムイの生き方や悲劇をジワジワと描き、その事が他と違う作品であり「伝説」になったのじゃないだろうか。この事からすると、長期連載の一編だけ取って映画化するのは無理があったような気がする。たとえば佐藤浩市扮する殿様なんていうのは、作品では一つの見所になってしまっているが、原作の意図からすると、それこそ「外伝」(オマケの意味で)に過ぎないものにすべきじゃなかっただろうか。しかしというような感じで原作に忠実に映画化してしまうと、映画にならないという問題がある。むしろ派手なアクション物にするよりか、カムイの心理描写を主にした、たとえば「ICHI」(綾瀬はるか)のような作品にした方が原作の意図に忠実な作品になっていたように思う。この点、製作者(松竹)の勘違いかもしれない。早い話が綾瀬はるかに比べると、松山ケンイチじゃとてもじゃないけど、そうした作品は出来ないだろう。サポート役のはずの小林薫、小雪、伊藤英明あたりの方が遥かに目立ってしまう。白土三平の原作の内容が面白いだけにこの点はもったいなかった。しかしどうすれば良かったかと言っても、忍者物でアクションを主にしてしまえば、結局のところ、こうした作品にならざるを得なかったかもしれない。心理描写だけだったら、それこそ「お金が無い」時代の邦画に逆戻りしてしまっていただろう。それと映画会社の作品ということで、邦画の低迷期の痕跡が見られる。観る側からすればどうでもいい自己満足的なシーンやカット。潜伏するカムイを表現するのに緑の葉に止ったカマキリを描いたり、対決シーンでカモメの群れを呼び寄せたりというのがまさにそれで、「映画はかく有るベキだ」風な事を押し付けて自己満足に浸るというのが、邦画の低迷期を招いた一因だという事を忘れている。今の邦画の繁栄は、こうした事の無駄、バカさ加減を知っているテレビ局が招来したもので、配給ばかりやっている映画会社にはちょっと考えてもらわないと、元の木阿弥になりかねない。アクションシーンにしても迷いが感じられる。最初の方のは全部、中国からの借り物だろう。後半部分でやっと、それらしきシーンが見られるが、追う者と追われる者、似たような題材を描いた、というか「カムイ外伝」が元になっていると思われる「子連れ狼」(もちろん萬屋/中村錦之介版)に比べると、はるかに劣る。それとカムイの生き方の悲劇性を描くなら、作品はR指定にしないと無理だろう、「子連れ狼」や「ICHI」風に。生きる事と性欲とは深い関係があるので、後者を抜きにして前者を描くと一面的になってしまう。せっかく小雪とかのそれにはうってつけの女優を使ったのなら、そうした部分が無いと物足りないというより語呂合わせじゃないが「ヌケ」になってしまう。ちょっと勘違いが目立つ作品。しかし最近の映画ファンは良く観ている。大劇場にも係わらず、入りは「名もなき恋のうた」の半分以下。それでも「ウルヴァリン」よりは多い。しかし邦画の将来を考えるとネタは無尽蔵のような気がして楽しみではある。これは失敗作にしても、そのまま映画化しても観れる作品は数え切れないだろう。漫画、アニメ、ゲームなどなど。個人的に一番、面白かったのは馬のヒズメで作った疑似針。さすが「釣りバカ」松竹。これは釣れる、特に作品にあるスズキ(鱸)=鈴木建設。しかし誰が分かるか、こんな事。宣伝にもならないだろうが。「カムイ」を投げて「釣りバカ」の宣伝やってる場合じゃないだろうが。でもこういうのは好きだ。
ヒアリング度:
感動度:★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:★★
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)
U.S. Release Date:
■監督:崔洋一
■原作:白土三平
■キャスト:松山ケンイチ/小林薫/小雪/伊藤英明/大後寿々花/佐藤浩市/イーキン・チェン
■音楽:岩代太郎
■字幕:
■お勧め度:★★★
「白土三平の伝説的傑作漫画を「血と骨」の崔洋一監督が「DEATH NOTE デスノート」「デトロイト・メタル・シティ」の松山ケンイチ主演で実写映画化したアクション時代劇。原作の中の『スガルの島』編を基に、抜忍として孤独な逃亡の旅を余儀なくされた主人公カムイの心の葛藤と生きるための決死の闘いを、VFXを織り交ぜつつも俳優陣の身体を張った激しいアクション満載で描き出す。
17世紀の日本。すさまじい階級社会の中で最下層の子として生まれたカムイにとって、強くなることが生き抜くための条件だった。はからずも忍びの道へと進んだカムイだったが、やがて自由を求めて忍びの世界を抜け出す。抜忍となったことで、追っ手との終わりのない戦いと逃亡の人生が宿命づけられるカムイ。そんなある日、カムイは漁師の半兵衛を助けた縁で、彼の家に身を寄せることに。しかし半兵衛の妻スガルは、自らも抜忍だったため、カムイの出現に警戒心を募らせる。対照的に半兵衛の娘サヤカはそんなカムイを温かく迎え入れ、ようやくカムイの心にも束の間の平穏が訪れるのだったが…。」(allcinema.net/より。)
白土三平の「カムイ外伝」というのは殆ど記憶に無いが、かなり長期間の連載だったと思うし、白土三平はこれだけだったのじゃないだろうか。調べてないので分からないが。なぜかと言うと、このシリーズというのは、当時の流行りだった「巨人の星」とかの派手なスポコン物と違って、さりげないエピソードを積み重ねることで、カムイの生き方や悲劇をジワジワと描き、その事が他と違う作品であり「伝説」になったのじゃないだろうか。この事からすると、長期連載の一編だけ取って映画化するのは無理があったような気がする。たとえば佐藤浩市扮する殿様なんていうのは、作品では一つの見所になってしまっているが、原作の意図からすると、それこそ「外伝」(オマケの意味で)に過ぎないものにすべきじゃなかっただろうか。しかしというような感じで原作に忠実に映画化してしまうと、映画にならないという問題がある。むしろ派手なアクション物にするよりか、カムイの心理描写を主にした、たとえば「ICHI」(綾瀬はるか)のような作品にした方が原作の意図に忠実な作品になっていたように思う。この点、製作者(松竹)の勘違いかもしれない。早い話が綾瀬はるかに比べると、松山ケンイチじゃとてもじゃないけど、そうした作品は出来ないだろう。サポート役のはずの小林薫、小雪、伊藤英明あたりの方が遥かに目立ってしまう。白土三平の原作の内容が面白いだけにこの点はもったいなかった。しかしどうすれば良かったかと言っても、忍者物でアクションを主にしてしまえば、結局のところ、こうした作品にならざるを得なかったかもしれない。心理描写だけだったら、それこそ「お金が無い」時代の邦画に逆戻りしてしまっていただろう。それと映画会社の作品ということで、邦画の低迷期の痕跡が見られる。観る側からすればどうでもいい自己満足的なシーンやカット。潜伏するカムイを表現するのに緑の葉に止ったカマキリを描いたり、対決シーンでカモメの群れを呼び寄せたりというのがまさにそれで、「映画はかく有るベキだ」風な事を押し付けて自己満足に浸るというのが、邦画の低迷期を招いた一因だという事を忘れている。今の邦画の繁栄は、こうした事の無駄、バカさ加減を知っているテレビ局が招来したもので、配給ばかりやっている映画会社にはちょっと考えてもらわないと、元の木阿弥になりかねない。アクションシーンにしても迷いが感じられる。最初の方のは全部、中国からの借り物だろう。後半部分でやっと、それらしきシーンが見られるが、追う者と追われる者、似たような題材を描いた、というか「カムイ外伝」が元になっていると思われる「子連れ狼」(もちろん萬屋/中村錦之介版)に比べると、はるかに劣る。それとカムイの生き方の悲劇性を描くなら、作品はR指定にしないと無理だろう、「子連れ狼」や「ICHI」風に。生きる事と性欲とは深い関係があるので、後者を抜きにして前者を描くと一面的になってしまう。せっかく小雪とかのそれにはうってつけの女優を使ったのなら、そうした部分が無いと物足りないというより語呂合わせじゃないが「ヌケ」になってしまう。ちょっと勘違いが目立つ作品。しかし最近の映画ファンは良く観ている。大劇場にも係わらず、入りは「名もなき恋のうた」の半分以下。それでも「ウルヴァリン」よりは多い。しかし邦画の将来を考えるとネタは無尽蔵のような気がして楽しみではある。これは失敗作にしても、そのまま映画化しても観れる作品は数え切れないだろう。漫画、アニメ、ゲームなどなど。個人的に一番、面白かったのは馬のヒズメで作った疑似針。さすが「釣りバカ」松竹。これは釣れる、特に作品にあるスズキ(鱸)=鈴木建設。しかし誰が分かるか、こんな事。宣伝にもならないだろうが。「カムイ」を投げて「釣りバカ」の宣伝やってる場合じゃないだろうが。でもこういうのは好きだ。
ヒアリング度:
感動度:★★
二度以上見たい度:★★
劇場で見たい度:★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★★★
ムカつく度:★★
考えさせられる度:
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)