ラスト・ブラッド/Blood: The Last Vampire (2009)

2009-06-06 23:34:33 | Weblog
ラスト・ブラッド/Blood: The Last Vampire (2009)

U.S. Release Date:

■監督:クリス・ナオン
■キャスト:GIANNA(チョン・ジヒョン)/アリソン・ミラー/小雪/倉田保昭
■音楽:クリント・マンセル
■字幕:不明
■お勧め度:★★★★(★)

 「セーラー服少女が日本刀を手にヴァンパイアとの死闘を繰り広げるProduction I.G製作アニメ「BLOOD THE LAST VAMPIRE」を、「猟奇的な彼女」のチョン・ジヒョン主演で実写映画化したバイオレンス・アクション・ホラー。共演は「セブンティーン・アゲイン」のアリソン・ミラーと「ラスト サムライ」の小雪。監督は「キス・オブ・ザ・ドラゴン」「エンパイア・オブ・ザ・ウルフ」のクリス・ナオン。
 戦国時代、大量に流された人の血によって力を得た種族“オニ”。以来、400年以上にわたって続く人類とオニとの戦い。そして、ベトナム戦争が混迷を深める1970年、オニの前に一人の少女が現われる。日本刀だけを武器に、たった一人でオニ退治を続ける16歳の少女サヤ。彼女の目的は全てのオニの起源である“オニゲン”を倒すこと。それは、殺された父の仇討ちだった。オニの殲滅を目的に創設された秘密組織の手引きで、オニの活動が活発化しているアメリカ空軍関東基地内の高校に潜入したサヤ。彼女はそこで、同級生のアリスをオニの襲撃から救い出す。やがて2人は行動を共にするようになるが…。」(allcinema.net/より。)

6月2日って何?休日じゃないだろうが。ガキだらけで待たされること20分。最初の3分が観れない。したがって字幕不明。それと上の解説が正しいとすると、本作品はオリジナル。

製作国は香港/フランスながら、殺陣は日本だろう。刀の持ち方が正しい。これがハリウッド作品となるとデタラメの「拝一刀、水鴎流」。GIANNA(チョン・ジヒョン)は韓国女優。

ストーリー的にはイマイチながら、香港のアクション技術は圧倒的。GIANNAは元ファッションモデルながら、かなりアクションも出来るだろう。膝から下が筋肉隆々。香港のアクション技術と相俟って、カッコ良すぎる。GIANNAが着る制服は「標準物」(という事はダサい)ながら、これは意図的だろう。今どきの制服だったら逆効果。女子校生の制服、見るなら高校野球。最近は御無沙汰ながら、ミニだったら似合わないだろう。「標準物」だからこそエロい。と言うと誤解を招くが。GIANNAの人物像は、人間である父親を「オニ」に殺された人間とオニのハーフ。小雪演じる「オニゲン」は、実は○○だったというのが、最終展開。ただしこの点に関しては、やや物足りないが。

邦画のレベルが上がったとはいえ、こういう作品を観ると、やはりアクション俳優の欠乏は致命的。ただしこれも観る側の責任なのでしょうがないだろう。千葉真一が「サニー千葉」じゃなくて「千葉真一」だった頃、JAC(ジャパンアクションクラブ)を設立して志穂美悦子や真田広之を輩出しながらも、当時のCGとアクション技術の低さもあって、殆ど無視された。というか芸能界にオチョくられた。志穂美悦子のデビュー EP(レコード)が「13階段のマキ」。「二代目はクリスチャン 」(1985年、角川映画、シスター今日子役)でも見られる通り、本来は優しい女性なのが、空手映画に多く出演するハメになったため、その流れで「13階段のマキ」。レコードとしては「恋のサタディーナイト」、「スリー・ディメンション」などで本来の性格を発揮できたに過ぎない。千葉真一に至っては、ほとんど国外追放だろう。言ってみれば国民がアクション俳優と映画を葬り去ったとも言える。その意味では最近の邦画の好調ぶりは、こうした事にもメゲず頑張った結果であり成果として誉めるべきだろう。

邦画にもう一つ欠乏しているのがGIANNAタイプの女優だろう。アクションの過小評価もあって、顔だけ美人の女優は居るが、「美人」ではなくても、独特の雰囲気を持った女優が少ない。これが、そのままアクション系作品の出来の悪さにも繋がる。結局のところ、上のような邦画界の歴史が、そのまま、今の邦画の問題点に結果したとも言える。しかし「レッドクリフ」などを観ると、改善の兆しは見られるので、今後、中国(香港、韓国、台湾ふくむ)と組めば、この点は自然と改善されるだろう。そうなったら、今や落ち目+ネタ切れ+ヤキ回りのハリウッド作品は観ないで済む。今週上映の洋画は、17本中4本。これは記録的。この中で観たいもの、無し。例外があるとすると「お買い物中毒」ぐらいか。しかしこれも想像できる。「天使と悪魔」「スター・トレック」はネタ切れヤキ回り作品だろう。今どき天使やら悪魔なんてのは時代錯誤の代物だろう。「スター・トレック」はオリジナルと派生の「Voyager」のイメージをぶち壊しかねない。

しかし中国(系)の女優には不思議なものがある。GIANNAにしてもそうだが、日本語、英語ともに様になっている。内容を理解しているかどうかは別として。これも中国の世界制覇路線の表れなのだろうか。という事は、日本も世界制覇を目標にしないと、世界に通用する俳優は育たないという事になる。

アクションと、国籍不明の雰囲気とセットの面白さ、それとGIANNAは見所だろう。製作国にフランスも加わっているので、「オールドファン」なら、古のフランス映画っぽい雰囲気も味わえるだろう(「フレンチ・フィルム・ノワール」)。「R-15」指定は暴力/残虐性。エッチシーンは無し。


ヒアリング度:★★★★
感動度:★★★★
二度以上見たい度:★★★★★
劇場で見たい度:★★★★★
ビデオ/DVDで欲しい度:★★
ビデオ/DVDで見た方がいい度:★
ムカつく度:
考えさせられる度:★
(「ヒアリング度」は英語のヒアリングの勉強になるかどうかの度合)