ジャーナリストのまさのあつこ氏のヤフーニュースのコラムより
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「危険除去をどうする」と菅官房長官がすごむが「普天間基地の5年以内の運用停止」の日米統一見解なし
沖縄県が許可を与えた区域外で、沖縄防衛局が岩礁を破砕した可能性が高いとして、作業停止を指示した問題で、国会では3月27日にも国を諫める質疑が行われた。
一方、菅義偉官房長官は、同日午後の記者会見で民意をどう汲むのかとコメントを求められ、普天間基地を持ち出し「危険除去をどうするんでしょう」と記者に恫喝口調で切り返した。「一日も早く、あの世界で一番危険と言われる普天間飛行場の危険を除去するのは政府の大きな役割だ」と述べたのだ。
ところが、同日の参議院沖縄及び北方問題に関する特別委員会では、菅官房長官「一日も早く」どころか、沖縄県が求めてきた「普天間基地の5年以内の運用停止」は、日本政府が「ナントカの使い」のように米側に伝えてきただけで、日米の統一見解ではないことが明らかになった。
「5年以内の運用停止」と聞けば「負担軽減」

露呈させたのは藤田幸久(民主党)議員だ。前沖縄県知事が日本政府に求めた「5年以内の運用停止」の「定義」が2019年2月を目処とすることを確認した上で、それを米軍のサミュエル・J・ロックリア太平洋軍司令官が知らなかった事実を持ち出されると、城内実外務副大臣は「5年以内の運用停止」とは「沖縄の負担軽減」であるとしか答えられなくなってしまったのである。
藤田議員が「国会で議論をしている際に「5年以内の運用」について聞くのに、「負担軽減」と言う言葉しか返って来ないのは、答弁拒否なのか。答弁回避なのか」と畳み込むと、城内実外務副大臣は次のように答え、藤田議員は委員会への明解な説明を要求した。
城内外務副大臣:「普天間飛行場の5年以内の運用停止」をはじめとする仲井眞前知事からの要望については、米国に対して首脳・閣僚レベルで繰り返されており、「沖縄の負担軽減」について米側の協力を求めている。米軍からも「沖縄の負担軽減」のコミットメントが示されている。
藤田議員:今言われたことは全部「沖縄の負担軽減」だ。「はじめとする」と言い「前知事」と言うが、「5年以内の運用停止」とは言わない。実態として「5年以内の運用停止」についてやり取りがあったことを、権威ある「沖縄及び北方問題に関する特別委員会」に出していただきたい。
そして、質問を終えようとすると、説明責任を後日果たすことを回避しようとしたのであろう、官僚が手を上げて、次のように答弁した。
外務省官房鈴木参事官:平成26年7月24日、日米首脳会談において、総理より、普天間飛行場の5年以内の運用停止を含む沖縄県知事からの要望には、我が国としてできることはすべて行うとの姿勢で対応する考えなので、米国と十分に意思疎通しつつ検討を進めていきたいということを申し入れている。平成26年7月6日、岸田外務大臣とヘーゲル米国務長官の会談において、岸田外務大臣から普天間5年以内の運用停止をはじめとする沖縄の負担軽減に関する仲井眞県知事からの要望について説明し、「沖縄の負担軽減」について、米国の引き続きの協力を求めている。(*)
藤田議員:沖縄からの要望について説明をしたというだけで、司令官は日本政府からの要請はないと。(略)つまり御用聞きと言うか、ナントカの使いと言うか。これは「沖縄が言っていますよ」と言って協力を求めた。日本政府を主語に、アメリカ側に要望はしていないということだ。
政府答弁を踏まえて藤田議員は、「『5年以内』の政府としての統一見解をまとめて対応をお願いしたい」と結んだ。

「危険除去をどうするんでしょう」とすごんだ菅官房長官の台詞は沖縄県民のものである。これを踏まえれば菅官房長官はまず沖縄県民に対し、日米交渉で「普天間基地の5年以内の運用停止」について統一見解を得られてないことを詫びるべきである。
そして、「世界で一番危険と言われる普天間飛行場の危険を除去するのは政府の大きな役割だ」と本心から思うのであれば、前沖縄県知事時代から要望されている「5年以内の運用停止」について、県民を反映しようとしている現・翁長知事の意向を確かめるべきである。
辺野古移設を巡って争うのは、その後の話ではないか。
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