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阪神間で暮らす

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山口敬之氏が詩織さんへあまりにも卑劣な反論!

2017-10-28 | いろいろ

より

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山口敬之氏が詩織さんへあまりにも卑劣な反論! 核心からは逃げ、印象操作と陰謀論で詩織さんを攻撃


 元TBS記者・山口敬之氏からのレイプ被害を告発したジャーナリストの伊藤詩織さんが、今月24日、外国特派員協会で記者会見を行った。会見で詩織さんは、日本の司法や社会システムが性犯罪被害者のために機能していないことを指摘しながら、捜査の過程で明らかにされない「ブラックボックス」に光をあてることの必要性をあらためて語った。

 そんななか、本日発売の「月刊Hanada」(飛鳥新社)12月号が、「私を訴えた伊藤詩織さんへ」と題した山口氏の“独占手記”を掲載。「週刊新潮」(新潮社)の第一報後に雲隠れしていた山口氏は、Facebookや代理人弁護士を通じてしかコメントを出しておらず、本人がメディアに寄稿して“反論”するのは初のことだ。

 しかし、その内容は、自分の一切の非を認めないだけでなく、詩織さんへの誹謗中傷・人格攻撃と陰謀論、そして矛盾だらけの自己弁護が混在したもの。納得できる反論どころか、山口氏の行為の悪質性を逆に浮き彫りにしている。

〈詩織さん、
 あなたは性犯罪被害者ではありません。そして、自分が性犯罪被害者でない可能性があるということを、あなたは知っています〉(手記より)

 手記の核心部分は、詩織さんへの「書簡」の形式で始まる。山口氏は、詩織さんのレイプ被害の訴えが、検察審査会への異議申し立てでも「不起訴妥当」と議決されたことをもって、〈これにより、刑事裁判によって私に犯罪者という汚名を着せようというあなたの企ては、最終的に失敗したわけです〉と書いている。

 「企て」などという表現からして、詩織さんを貶める卑劣な印象操作としか言いようがないが、その後、山口氏は詩織さんの主張は「事実と異なっている」として自らの主張を述べる。

 まず、仕事のビザの相談を目的にして詩織さんが山口氏と食事をした夜について、山口氏は、詩織さんが「自分の酒量を過信して飲みすぎただけ」として、詩織さんが使用の可能性を指摘している「デートレイプドラッグ」は存在そのものを知らないとする。

 また、山口氏によれば、〈見るからに酔っ払って〉〈足元が覚束な〉いほど「泥酔」している詩織さんは、〈誰が見ても、一人で電車に乗って帰すことは困難な状態〉だった。一方、自分はホテルでやるべき仕事が残っていた。ゆえに〈私はやむなく、当時逗留していたホテルで休んで酔いを醒ましてもらい、自分の作業を終えてから送って帰るしかないと判断した〉という。詩織さんがタクシー運転手に「駅で降ろしてください」と何度も言っていたことについては、〈嘔吐し、朦朧とした泥酔者が「駅で降ろしてください」と言ったからと言って、本当に駅に放置すべきだと思いますか?〉とホテルに連れ込んだことを“親切心”によるものだと理由づけている。

 いったいこの人は、何を言っているのだろうか。意識が朦朧としているような状態だったなら、病院に連れて行くなり、別の部屋をとるなりするのが常識的な対応だろう。なぜホテルに連れ込むことになるのか。

山口氏の反論手記にある、決定的なごまかし

 そもそも、詩織さんと山口氏を乗せたタクシーの運転手は、詩織さんが何度も「駅の近くで降ろしてください」「駅に行ってください」と言っていたこと、対する山口氏が「ホテルに行ってくれ」「何もしないから」と言っていたこと、そして、最終的に詩織さんは動かなくなり、山口氏が「体ごと抱え」(「週刊新潮」)、「引きずり出すように」(詩織さんの取材)タクシーから詩織さんを降ろしたと証言している。つまり、意識が朦朧とした状態の詩織さんが帰宅を懇願していたにもかかわらず、山口氏の判断でホテルに連れ込んだのは客観的事実なのである。

 しかもこの手記には、決定的なごまかしがある。

 それは、ホテルにおける自身と詩織さんの行動についてだ。山口氏の主張を要約するとこうなる。部屋のなかで嘔吐した詩織さんはトイレに駆け込んだ。トイレのなかから嘔吐する音が聞こえた。山口氏がトイレに入り吐瀉物を拭うと、詩織さんは〈なんとか自ら起き上が〉り、吐瀉物のついたブラウスを脱いで、〈部屋に戻るとベッドに倒れ込み、そのまま寝てしまった〉。以下、重要な箇所なので引用する。

〈部屋はツインで、シングルベッドが二つありました。前日まで私が寝ていたベッドはあなたに占領され、もうひとつのベッドは、ベッドメイキングを壊さないままパッキング前の衣類などを並べていました。私が全ての仕事を終えても、あなたは相変わらずいびきを書いて眠りこけていたので、私は荷物置き場にしていたベッドの、わずかに空いたスペースに身を横たえました。
 部屋に入ってどのくらい時間が経ったのか。
 私がまどろんでいると、あなたが突然起き出して、トイレに行きました。ほどなくトイレが流れる音がして、下着姿のあなたが戻ってきました。(中略)
 そして、ペットボトルの水を何度かごくごくと飲んだあなたは、私が横たわっているベッドに近寄ってきて、ペットボトルをベッドサイドのテーブルに置くと、急に床に跪いて、部屋中に吐き散らかしたことについて謝り始めました。面食らった私は、ひとまずいままでにあなたが寝ていたベッドに戻るよう促しました。
 ここから先、何が起きたかは、敢えて触れないこととします。あなたの行動や態度を詳述することは、あなたを傷つけることになるからです〉

 これほどおかしな「反論」はないだろう。そもそもレイプ被害をめぐっては、一般論として、当事者間に「合意」があったかどうかがしばしば争点となる。しかし見ての通り、山口氏の手記は、その重要な点を、詩織さんを慮るフリをして完全にネグっているのである。

「合意」があったかなかったについて、なぜか語らない山口氏

 言っておくが、性行為の事実とその際に山口氏が避妊具さえつけていなかったことは、山口氏自身も、詩織さんとのメールのやりとりのなかで否定していない。「敢えて触れない」のではなく“書けない”ということではないのか。実際、詩織さんは今月18日に出した著書『Black Box』(文藝春秋)のなかで、ホテルでのことをこう振り返っている。

〈目を覚ましたのは、激しい痛みを感じたためだった。薄いカーテンが引かれたベッドの上で、何か重いものにのしかかられていた。
 頭はぼうっとしていたが、二日酔いのような重苦しい感覚はまったくなかった。下腹部に感じた裂けるような痛みと、目の前に飛び込んできた光景で、何をされているのかわかった。気づいた時のことは、思い出したくもない。目覚めたばかりの、記憶もなく現状認識もできない一瞬でさえ、ありえない、あってはならない相手だった〉
〈私の意識が戻ったことがわかり、「痛い、痛い」と何度も訴えているのに、彼は行為を止めようとしなかった。(中略)何度も言い続けていたら、「痛いの?」と言って動きを止めた。
 しかし、体を離そうとはしなかった。体を動かそうとしても、のしかかられた状態で身動きが取れなかった。押しのけようと必死であったが、力では敵わなかった。
 私が「トイレに行きたい」と言うと、山口氏はようやく体を起こした。その時、避妊具もつけていない陰茎が目に入った〉(『Black Box』より)

 頭が真っ白になりながらも、その場から逃げようとする詩織さんを、再び山口氏は無理やりベッドに押さえつけたという。

〈抵抗できないほどの強い力で体と頭をベッドに押さえつけられ、再び犯されそうになった。(中略)
 体と頭は押さえつけられ、覆い被さられていた状態だったため、息ができなくなり、窒息しそうになった私は、この瞬間、「殺される」と思った〉(『Black Box』より)

 さらに、詩織さんによれば、さらに山口氏はこんなことを言ってきたという。

「早くワシントンに連れて行きたい。君は合格だよ」
「パンツぐらいお土産にさせてよ」
「今まで出来る女みたいだったのに、今は困った子どもみたいで可愛いいね」

 比喩ではなく、吐き気を催す言動だ。詩織さんの主張を聞く限り、合意のないまま性行為に及んだことになる。

 では、なぜ山口氏はこの核心部分について、手記で反論しなかったのか。それは、山口氏の主張に決定的な矛盾があるからこそ、言及を避けざるをえなかったのではないか。実際、山口氏が組み立てたストーリーは、詩織さんの主張だけでなく、第三者の証言とも明らかに食い違っているのである。

ツインベッドをめぐるホテル関係者の証言と山口氏の主張の矛盾

 ポイントは、“ホテルのツインベッドを誰がどうやって使ったのか”、という点だ。

 前述の通り、山口氏の手記によれば、〈前日まで私が寝ていたベッド〉は詩織さんが使い、自分は〈ベッドメイキングを壊さないままパッキング前の衣類などを並べて〉いたもう一つのベッドの〈わずかに空いたスペース〉に横たわっていたという。そして、山口氏は事件後の詩織さんとのメールのなかで、このように言い繕っていたこともわかっている。

「私はあなたの髪の毛などについた嘔吐臭が耐えられなかったので、別のベッドで寝ました。
 その後あなたは唐突にトイレに立って、戻ってきて私の寝ていたベッドに入ってきました。(中略)私もそこそこ酔っていたところへ、あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった」

 ようするに、山口氏は“詩織さんの意思で、自分のベッドに入ってきた”と言いたいのだろう。であれば当然、詩織さんが最初に寝ていたベッドと、山口氏が横たわっていたベッドの両方とも「使用された状態」になっていたはずである。

 ところが、すでに「週刊新潮」が報じているように、ホテルの関係者は「客室に2つあったベッドのうち1つしか使われた形跡がなく、しかもそこには血痕がついていた」と証言しているのだ。詩織さんの著書を読む限り、この証言はフロアを担当したハウスキーパーのものと思われるが、詩織さん自身もまた〈私は彼の話す「別のベッド」が、ベッドメイキングされ、カバーがかかったままの綺麗な状態だったことを、はっきり記憶していた〉(『Black Box』より)と書いている。

 これは明らかな矛盾だ。さらにいえば詩織さんは、事件の後には〈あざや出血している部分もあり、胸はシャワーを当てることもできなかった〉とも記している。山口氏は、詩織さんがベッドで泥酔しているところにまたがり、避妊具なしの性行為に及んだ。だから、ツインベッドには「1つしか使われた形跡がなく、しかもそこには血痕がついていた」。後日のメールではとっさに「私の寝ていたベッドに入ってきた」と嘘の説明をしたが、その矛盾は第三者の証言によって露見した。

 繰り返すが、だからこそ山口氏は、今回の手記で「敢えて触れない」ことにするしかなかった。そういうことではないのか。

「Tシャツを貸したから」「事件後メールが来たから」と否定する山口氏に詩織さんは明確に反論

 他にも手記では、詩織さんを貶める主張が多数展開されている。

 たとえば山口氏は〈もしあなたが朝の段階で私にレイプされたと思っていたのならば絶対にしないはずの行動〉として、貸した自分のTシャツを詩織さんがその場で着用したことあげ、〈レイプの被害に遭ったと思っている女性が、まさにレイプされた翌朝、レイプ犯のTシャツを地肌に進んで身につけるようなことがあるのでしょうか?〉〈結局、私はそのTシャツを未だに返してもらっていません。そのTシャツの存在を認めると、自分の主張の辻褄が合わなくなるからですか?〉と、鬼の首を取ったようにあげつらう。

 だが、実際には、詩織さんは「Tシャツの存在」を認めていないどころか、『Black Box』のなかでしっかり触れているのだ。一刻も早く部屋の外に出なければならないと思っていた詩織さんは、ブラウスを見つけるが〈びしょ濡れ〉であり、〈なぜ濡れているのか聞くと、山口氏は「これをきて」とTシャツを差し出した〉。そして〈他に着るものがなく、反射的にそれを身につけた〉。つまり仕方なく差し出されたTシャツを着たわけだが、さらに詩織さんは都内に借りていた部屋に戻ると、〈真っ先に服を脱いで、山口氏に借りたTシャツはゴミ箱へ叩き込んだ〉と書いている。

 まだある。山口氏は事件後の15年4月6日夜、詩織さんから〈山口さん、/お疲れ様です。/無事ワシントンへ戻られましたでしょうか?/VISAのことについてどのような対応を検討していただいているのか案を教えていただけると幸いです。〉(注:/は改行)という文面のメールが送られてきたことを〈物証〉として、〈これが、被害者がレイプ犯に送る文面でしょうか?〉〈このメールはあえて伏せている。それはなぜですか? 都合が悪いと思っているからですか?〉と書き立てている。

 しかしだ。これも実際には、このメールを送った事実も文面も、詩織さんは『Black Box』で明記している。そして、理由についても〈忘れたい気持ちがあり、これはすべて悪い夢なのだと思いたかった。まだ体の痛む箇所もあり、混乱する頭も麻痺しているようだった。私さえ普通に振る舞い、忘れてしまえば、すべてはそのまま元通りになるかもしれない。苦しさと向き合い戦うより、その方がいいのだ。と、どこかで思ったのだろう〉と、隠すことなく正直に書いている。加えれば、詩織さんは警察への相談と同時に山口氏とのメールのやりとりを続けたが、これは山口氏に非を認めさせるための友人たちの勧めであったことなど、詳しく説明しているのだ。

「テロ等準備罪」を「共謀罪」と呼ぶのは偶然なのか?と陰謀論的イチャモン

 他にも山口氏は〈あなたの思考パターンには、まず強い自意識があって、自分を被害者、私を悪意ある犯罪者と思い込むことによって、全ての事象をそのストーリーにはめ込もうとしているのではないか〉などと中傷している。このように、核心部分についてはネグりながら、反論になっていないどころか、詩織さんへの人格攻撃を繰り返す山口氏。なかでもどうかしているとしか思えないのは、ネット右翼の陰謀論をそのまま垂れ流したことだ。山口氏は手記で、詩織さんの会見後に「大量の誹謗中傷のメッセージ」が届けられるようなったとしたうえで、こう述べている。

〈あなたは五月の記者会見で、「共謀罪よりも強姦罪改正を優先して審議してほしい」と主張しました。私に大量の陰惨な誹謗中傷を送りつける方々の多くも、「テロ等準備罪」を「共謀罪」と呼び、廃案を強く求めています。これはまったくの偶然なのでしょうか?〉

 いったい何を言っているのだろうか。確かに、詩織さんは5月の会見で、共謀罪の国会審議が優先されたことで後回しにされていた性犯罪の厳罰化法案について「きちんと取り上げられるべき」と主張した。しかし、「共謀罪の審議を止めろ」などとは一言も言っていない。会見の直後、ネトウヨが同種のいちゃもんをつけて詩織さんをバッシングしていたことは本サイトでも報じたが、それをトレースするような陰謀論をまくしたてるとは、開いた口が塞がらない。

 他方、山口氏は手記のなかで、〈「上からの力を感じた」「事件が消えてしまう」「ブラックボックス」というような抽象的な、あるいは情緒的な表現ではなく、具体的に問題点を指摘してください〉と強弁している。だが、この問題については、山口氏の逮捕が不可解にも直前で取りやめになり、その決裁をしたのが“菅義偉官房長官の子飼い警察官僚”である中村格刑事部長(当時)であることを忘れてはならない。さらに、山口氏が事件の対応を“官邸のアイヒマン”と言われる北村滋・内閣情報調査官を彷彿とさせる「北村さま」と相談していたことも明らかになっている。

 詩織さんは現在、山口氏を相手取って民事訴訟を起こしているが、裁判の場では、こうした山口氏の主張の矛盾や、政治権力の介入疑惑について、徹底して真相が明らかにされなければならない。

 一方で、気がかりなのは、山口氏が今回の手記公開を皮切りに、再び“政権の代弁者”としての活動を再開したことだ。事実、山口氏は安倍応援団雑誌「月刊Hanada」の他にも、同日発売の極右雑誌「WiLL」(ワック)12月号に「解散前夜の決断と懊悩 安倍総理の“どす黒い孤独”」なる原稿を寄稿。北朝鮮情勢をシミュレーションし、安倍首相の衆院解散を〈やはり、「臨時国会冒頭」しか、解散の選択肢はなかったのである〉と結論づける“安倍擁護記事”だった。安倍政権が司法への圧力も強めているなか、判断に影響を与えないかが懸念される。

 もっとも、詩織さんが司法記者クラブと日本外国特派員協会での記者会見にのぞんだのに対し、山口氏は反論にすらなっていない手記を公開しただけだ。山口氏はメディアに対する法的措置までチラつかせているが、少なくとも、記者会見を開くべきだし、マスコミも積極的に報じるべきだろう。本サイトでも、この問題をめぐる動きを今後もレポートしていくつもりだ。
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 山口は情けないことにこの手記を「新潮」や「文芸春秋」ではなく「Hanada」でしか取り上げてもらえなかったことだ。
 もっとまともな事を言っていたら他誌でも取り扱ってくれただろうが山口の言い分は極右の安倍洋書雑誌しか扱ってくれなかったと言う事だ。


巨大与党でヒトラー化する安倍首相 国民生活の今後

2017-10-26 | いろいろ

より

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巨大与党でヒトラー化する安倍首相 国民生活の今後<上>

この選挙制度の悪魔的弊害と「健全な保守」などと言っている野党のバカぶり

 「力強い支持を国民からいただいた」――。

 衆院選から一夜明けた23日、自民党本部で開かれた会見で、安倍首相はドヤ顔で選挙結果を振り返り、こう威張っていた。つくづく国民は最悪の選択をしたと言わざるを得ない。

 3割台の支持率しかない政権で、大多数の国民が続投を望まない男が日本の最高権力の座に今後も居続ける。考えるほど頭がクラクラしてしまうが、この選挙結果でハッキリしたことがある。289選挙区のうち、自公、希望・維新、立憲・共産という3極対決となった208選挙区では、自公が173勝と8割超を制した。つまり、選挙区で1人しか当選しない小選挙区制度では、野党が分裂する限り、相対的に与党が漁夫の利を得る、ということだ。制度の「悪魔的弊害」と言っていい。

 野党が巨大与党を打ち負かすには、小異を捨てて大同につき、保守からリベラル、共産党まで含めた野党連合で対峙する以外に道はない。今回のように野党が3極にも4極にも分裂する限り、万年与党・野党の構図は決して変わらないだろう。そして何よりも不幸なのは、有権者が政権選択ができない状態が永遠に続くということだ。

 過去の選挙でその教訓を学んでいるにもかかわらず、選挙前に民進党の前原代表は「非自民・非共産」などと言い、希望の候補からも「健全な保守」なんて声が出ていたのだから、“野党ボケ”としか言いようがない。政治評論家の森田実氏がこう言う。

 「かつての中選挙区制であれば政権交代はとっくに起きていたでしょうが、今さら、選挙制度を戻すのは現実的ではありません。となれば、今の小選挙区制度で、いつ大暴走しても不思議ではない極限状態にある安倍独裁政権を止めるには、野党が大同団結するしか方法がありません。大義は『独裁阻止』で十分で、細かな主義主張は二の次で構わないのです」

 バカな野党のせいで、国民は危急存亡のときに立たされてしまった。

窮地の小池と希望は必ず安倍にすり寄るだろう

 希望が失望に転じた「小池劇場」の悲惨な結末には目が当てられない。側近の若狭勝は落選、お膝元の東京は1勝22敗の大惨敗。唯一当選した長島昭久は、選挙ポスターの小池とのツーショット写真をシールで隠す奇策が功を奏したというから、もはや笑い話だ。

 今夏の都議選で「都民ファーストの会」を躍進させたことで、政界の主役に躍り出た小池だが、求心力は急激に低下。希望は小池が出張先のパリから帰国する25日、両院議員懇談会を開き党人事と首相指名を協議する。

 その場で代表辞任を含め“小池批判”が噴出するのは確実だ。

 希望の落選者の中には「人生を狂わされた」と恨み節を口にする者もいるという。まあ、小池人気に群がろうとした連中がどの口で言うのかと呆れてしまうが、小池が崖っぷちに立たされているのは事実。

 離党者が続出し、崩壊状態に陥るのは時間の問題だ。小池がこの窮地を脱するには、選挙中に批判しまくった安倍にすり寄るしかなさそうだ。政治評論家の伊藤達美氏が言う。

 「小池氏が潔く代表を辞任すれば済む話ですが、小池氏はそんなことをすれば自らの政治家生命が絶たれると拒否するでしょう。復権を目指す小池氏に残されているのは、五輪の協力などで自公と緩やかに連携していく方法しかない。朝鮮半島有事や憲法改正で現実的な政策議論をしながら政策担当能力をアピールしていく。改憲勢力として安倍政権に加担していくことが政治家として生き残る道となりそうです」

 落ち目の小池を延命させるために改憲論議が加速するなんてことがあってはならない。

権力亡者が身内も「飽きる」10年政権のおぞましさ

 自公大勝が招く最悪のシナリオは、安倍の自民党総裁3選、10年に及ぶ超長期政権の実現だ。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。

 「台風直撃で投票率は戦後2番目の低さとなり、組織力のある自民党に有利な戦況ではありました。とはいえ、内閣支持率は不支持率を下回り、世論の半数がアベ続投を拒否している状況で、自公で3分の2の勢力を維持したなんて、にわかに信じられない。安倍首相は曲芸と禁じ手で総理のイスにしがみついてきた権力亡者。今回の圧勝でモリカケ疑惑の免罪符とフリーハンドの信認を得たとばかりに、やりたい放題になるのは明々白々でしょう」

 安倍のオツムにあるのは、祖父の代からの悲願である改憲だけ。一再ならず「私は立法府の長であります」と明言し、加計疑惑を追及した野党議員に「アナタ、責任取れるんですか!」と逆切れ。安倍の強引な国会運営に批判的な有権者を「こんな人たち」と切り捨てた。主権者である国民をないがしろにし、国会を蹂躙する世紀の自己チュー、反知性の問題人物が佐藤栄作元首相(2798日)、吉田茂元首相(2616日)の在任期間超えに“リーチ”をかけたのだからおぞましい。

 毛嫌いされる安倍の名代で選挙中に全国を飛び回った小泉進次郎筆頭副幹事長が「おごり、緩みだけでなくて、飽きだ。だんだん飽きてきている」などと世論を代弁する形でアベ批判を口にしたが、それは党内に渦巻く本音でもある。数の力をかさに独裁色を強め、アベ友だけが甘い汁を吸うデタラメ政治の横行は身内が一番よく分かっている。それでも引きずり降ろせない愚の骨頂。史上最低総裁に史上最長任期を与えようとする自民はまるでマンガである。

全ての法律が自動成立 大政翼賛会で加速する労働者と弱者、言論弾圧

 自公与党で定数の3分の2を上回る313議席を確保。「是々非々」の維新が11議席、希望は50議席を占め、改憲・安保法制容認の親アベは衆院の8割を占める巨大勢力に膨れ上がった。

 加速する国会の大政翼賛会化で最も苦しめられるのは、言うまでもなく国民だ。安倍政権は世論が猛反発した特定秘密保護法と安保法を強行採決。テロ対策だと大ボラを吹いた共謀罪法は、委員会審議打ち切りの中間報告なる禁じ手を使い、力ずくて成立させた。さらに数の力を増し、露骨に異論封殺に動くのは目に見えている。

 まず俎上に載るのが、「働き方改革」と称した裁量労働制の拡大だ。残業時間の罰則付き上限規制と、高年収の専門職を規制外にする「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の導入を画策している。

 労働問題に詳しい政治学者の五十嵐仁氏は言う。

 「自公は残業時間の上限を〈年720時間まで〉〈月最大100時間未満〉と規制し、労働者保護を装っていますが、疑似餌に過ぎません。過労死ラインの100時間まで残業を認めるのはメチャクチャですし、高プロの実態は『残業代ゼロ』です。労働力を安価にコキ使うことに主眼を置いたこの法案に賛成する労働者がどれほどいるでしょうか。しかし、安倍政権と近い経団連が法制化を求めている。衆参両院で3分の2の勢力を再び手にした安倍政権は強引に押し通そうとするでしょう」

 安倍の胸三寸でどんな法律でも自動成立しかねない。

 政府の暴走にストップをかけるのが「第三の権力」と呼ばれるメディアの役割だが、囲い込みと恫喝で骨抜きにされた大マスコミにそうした気概はもはや期待できない。選挙戦の最中は公正中立を大義に、政権を直撃するモリカケ疑惑の報道を自粛。各党の主張を横並びで伝えて争点をボヤかし、与党大勝をアシストした。

 そうした中で国政選挙5連勝をモノにした安倍官邸が味を占め、ご都合主義の言論弾圧をさらに強めるのは言うまでもない。

もう他党との連携を言い出した改憲スケジュールの前倒し

「与野党にかかわらず、幅広い合意形成に努める」――。選挙期間中はほとんど触れなかったのに、安倍は23日の会見で早速、憲法改定の国会発議について、他党との連携の必要性に踏み込んだ。

 開票当日にテレビ各局の選挙特番では、「希望の党の皆さんは憲法改正に前向き、建設的な議論をしていこうという人が多い」と、選挙中に批判していた希望の党に秋波を送っていた。二階俊博幹事長も小池との連携について、「お話し合いをした上で、そういうふうになる場合もある」と、すっかり“ノーサイド”だ。

 解散する前に、安倍は来年9月の自民党総裁選で3選を果たした後に衆院解散。改憲を問う国民投票を同時に実施する青写真を描いていた。一部メディアは、新たに4年の衆院任期を得たことで改憲の手続きは焦らないと書いたが、安倍にその気配はない。

 19年春には4年に1度の統一地方選、夏には参院選を控えている。地方選直後では地方議員の活動量低下が懸念されるだけに、下手をすれば参院選で改憲勢力が3分の2を割り込む可能性もある。先送りすれば悲願の改憲が遠のく恐れがあり、安倍は何としても改憲発議のスケジュールを18年中にねじ込むつもりだ。

「安倍首相は選挙中、消費税の使途や北朝鮮危機の対応について何度も演説していましたが、改憲についてはほぼ口をつぐんでいた。改憲の是非について最後は国民に信を問う必要があるのに、国民の間で議論はほとんど深まっていません。それでも、安倍首相は『選挙で信を得た』とか言って、改憲に突き進むのでしょう。自らの悲願のためとしか思えず、まさに“自己都合改憲”と言わざるを得ません」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 こんな横暴を許してはダメだ。

自衛隊明記など自民改憲4項目で戦争国家完成へ

 安倍自民党が衆院選の公約に掲げた改憲4項目は①自衛隊の明記②教育の無償化・充実強化③緊急事態対応④参議院の合区解消――。中でも恐ろしいのは①と③だ。

 まず自衛隊明記は、最高指揮官である首相の権限を明治憲法の天皇大権に近づけるものだ。

 現状、憲法に根拠を持たない自衛隊の活動限度には裁判所のチェック機能が働いている。しかし自衛隊明記でその活動が憲法上、揺るぎないものとなれば裁判所の干渉の余地は狭まる。

 その分、自衛隊法に基づく首相の最高指揮監督権と防衛出動(=開戦)命令権が強化されてしまう。明治憲法下で天皇が独占した「陸海軍への統帥権」「編成・予算決定権」「宣戦権」に匹敵する巨大な権限を、暴走首相に与えかねないのだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう指摘する。

「朝鮮戦争のただ中の1952年、日米両国で交わした密約により、米軍は戦時に自衛隊を自由に指揮できる権利を有しています。9条改憲で自衛隊を認めると、米国の軍事戦略の下、自衛隊が世界中の戦争に利用される歯止めが利かなくなる。それこそが、安倍政権の狙いなのではないか」

 緊急事態対応はさらに危うい。自民の改憲草案には「首相が緊急事態を宣言すれば、首相の意向が法律と同等の効果を持ち、国民はこれに従わなければならない」旨が書いてある。

「問題は何をもって『緊急事態』と認定するかが、首相の一存で決められることです。ひとたび首相が緊急事態を宣言すると、国民のあらゆる権利と自由が制限されてしまう。いわば『国難』を奇貨とした独裁も可能なのです」(聖学院大教授・石川裕一郎氏=憲法・フランス法)

 教育無償化の美名に惑わされてはいけない。アベ改憲は戦争国家と独裁完成への総仕上げなのだ。

ナチスとヒトラーはこうして独裁体制を築いた

「ナチスの手口に学んだらどうかね」――。麻生副総理が4年前に発した妄言だが、安倍独裁の完成が近づく今こそ、国民は「ナチスの手口」を学ぶ必要がある。

 権力掌握のためにナチスとヒトラーが用いた手口が、ドイツ国民は内外の敵に脅かされているというプロパガンダだ。その敵とは「第1次世界大戦の戦勝国に押しつけられたドイツ制裁のベルサイユ体制」であり、「戦争の惨劇を利用して富を貯め込むユダヤ人」であり、「台頭する共産主義勢力」である。

 ヒトラーは演説で敵の脅威を散々あおり、民衆の理性より感情に訴えかけた。危機に怯える国民の感情を治安立法や軍備強化に悪用し、着々と独裁体制を築いていったのだ。典型的な「ショックドクトリン」であるが、ヒトラーがあおった敵をそれぞれ「押しつけ憲法」「中国人と朝鮮民族」「反安倍のリベラル派」に置き換えれば、今の日本の政治状況はナチ前夜とそっくりである。

 そして安倍は今回の選挙演説で、ヒトラーが独裁のために乱用したワイマール憲法の「大統領緊急措置権」に相当する「緊急事態対応」には一切触れず、北の脅威だけを連呼して突破した。まさにナチスの手口である。前出の石川裕一郎氏はこう言った。

 「危惧されるのは、世相までナチ前夜に酷似してきたことです。

 ユダヤ迫害を連想させるヘイトスピーチがネット上にあふれ、『憲法を変えないと戦争できないから北朝鮮になめられる』という、理性よりもシンプルな感情が先に出てしまう空気がはびこる。安倍首相の選挙演説では、日の丸旗を振る支持者と持たない反安倍派がいがみ合う。『日の丸』は国民統合の象徴のはずなのに、まるでナチス旗を持つか、持たないかのように国民を分断する道具になっている。これらの不穏な空気とナチス独裁を許した当時のドイツの世相はどこかリンクしているように思えてなりません」

 理性が感情にかき消される社会の行き着く先は独裁しか待っていない。

立憲による国民運動の高まりで独裁者の野望は砕けるのか

 「損得勘定でやっているのではない。憲法を軽んじる安倍政権を倒すためにやっている。見返りは民主主義だ」。開票日の選挙特番で、立憲などとの野党共闘に臨んだ理由を問われた共産党の小池晃書記局長はこう説明していた。

 「壊憲」に突き進む安倍政権を阻止するために候補者を取り下げるなど、党利党略はもちろん、政党間の垣根を越えて選挙戦に挑んだ姿勢には本当に頭が下がる。「見返りは民主主義」なんてセリフは安倍首相の口からは逆立ちしたって出てこないだろう。いずれにしても、一時は絶望的となった野党共闘が再び実現したのは、何と言っても立憲民主党が結党したからだが、本当に重要なのはこれからだ。衆参3分の2議席超を握った独裁者・安倍の野望を打ち砕くために残された手段は、もはや国民運動の広がりしかないからだ。

 2015年8月、安保法に反対する国民が国会議事堂を取り囲んだデモには、およそ12万人(主催者発表)が参加した。いくら安倍が改憲を望んでも、さすがに10万人以上の国民が国会周辺で反対の声を上げたら踏みとどまる可能性はゼロではない。立憲結党で奮起した国民の政権打倒の運動をどこまで広げられるかがカギになるのだ。

 「沖縄、新潟、北海道……のように有権者が手を握り、自民打倒に向けて野党を盛り上げる地域はどんどん出てくるでしょう。今はまだ規模は小さくても、こうした草の根の地域運動を全国に広げていくしかありません。一つ一つがつながれば、必ず与野党逆転のチャンスは生まれると思います」(森田実氏=前出)

 「自由と権利は毎日獲得し続けなければならない」。米国のミシェル・オバマ前大統領夫人はこう言っていたが、今こそ国民一人一人が立ち上がる時なのだ。
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どの政党もハッピーになれない総選挙結果

2017-10-25 | いろいろ

ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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どの政党もハッピーになれない総選挙結果

 総選挙の結果、議席の増減だけで見ると、解散前の議席を増やしたのは立憲民主党だけ、解散前と同じが自民党と社民党、他はみな解散前の議席を減らす結果になった。

 議席を減らした希望の党、公明党、共産党、日本維新の会にとってこの選挙結果はアンハッピーである。それぞれ7議席、5議席、9議席、3議席を減らしたが、何が議席を減らしたかについて各党は分析を始めることになる。

 一方、減ることを覚悟して解散に踏み切った自民党の現状維持は予想外の結果である。しかも公明党と合わせ改憲発議に必要な3分の2以上の議席を得たことは憲法改正を掲げる安倍政権にとって大勝利と言える。

 ところが自民党にとってそれがハッピーかと言えばもろ手を挙げて喜ぶ話にならない。二階幹事長が憲法改正に慎重姿勢を見せるように、選挙が追い風となり自民党内の意見調整が安倍総理ペースで進む保証はない。公明党の議席減が安倍政権との連立に対する批判という分析が出ればむしろ慎重姿勢は強まる。

 選挙戦を戦った自民党候補者たちは「追い風をあまり感じなかった」と言う。この選挙勝利は安倍自民党に対する支持の強さではなく野党分裂によって選挙の構図が見えなくなった「敵失」によるものと受け止められている。

 応援演説で全国を回った自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長は国民が安倍政権に対する「飽き」を感じていると言った。2012年の総選挙は民主党政権に対する批判が安倍自民党を勝利させ、その後の2度の参議院選挙と3年前の総選挙はアベノミクスの成果を訴えて安倍総理は選挙に勝利し続けた。

 今度の選挙もそれしかないのかと言いたくなるほど国民はアベノミクス自画自賛を聞かされた。野党がそれに代わる経済政策を打ち出していないため黙って聞いているが、生活実感のない鼻先のニンジンにはさすがに「飽き」がきたのである。自民党にとって安倍総理の続投は必ずしもハッピーとは言えない状況が選挙戦から浮き彫りになった。

 その小泉進次郎氏に「ボタンの掛け違えがなければ政権交代の可能性あった」と言わしめたのが希望の党である。希望の党の登場は政権交代の絶好のチャンスを思わせた。ところがチャンスを作った小池百合子氏がわずか4日でチャンスを自ら摘み取った。それがこの総選挙の全てである。

 9月25日に「消費増税の使い道」と「北朝鮮危機から国を守る」を争点に臨時国会冒頭解散を宣言した安倍総理に対し、小池百合子東京都知事は希望の党立ち上げを発表し、選挙公約に「消費増税凍結」と「原発ゼロ」を掲げ、総選挙を「政権選択選挙」と位置付けた。

 「消費増税凍結」、「原発ゼロ」、「政権選択選挙」、どれをとっても明確な安倍政権打倒の意思表示である。東京オリンピックを3年後に控え、総理と都知事は連携が必要な関係にある。にもかかわらず安倍政権打倒を表明することは、自らが都知事を辞めて総理を目指すか、あるいは安倍総理を退陣させ次の総理と手を組むことを意味する。

 26日に小池代表と前原民進党代表が秘かに会談して合流に向けての調整が始まり、前原氏は冷戦後のイタリアで共産党も含めた野党共闘「オリーブの木」が政権交代を実現したように「1対1」の選挙構図を作ることを念頭に合流を決断する。だが小池氏の考えは異なっていた。

 「消費増税凍結」や「原発ゼロ」の選挙公約は小池氏個人の考えと異なる。そこには細川護熙元総理や小泉純一郎元総理、さらに小沢一郎自由党代表らの影響を感じさせた。また突然の新党立ち上げは1993年に小沢一郎氏が主導した政権交代劇の日本新党を思わせる。そしてそこに小池氏の政治家としての原点がある。

 一方、前原氏の考えは小沢氏の年来の主張である「オリーブの木」そのもので、当初は希望の党の立ち上げと民進党合流の背景に細川、小泉、小沢氏らの影響を感じた。希望の党と民進党が合流し小池氏が総理を目指す選挙にすれば、自公を過半数割れに追い込み安倍総理を退陣させることは可能であった。

 「ボタンの掛け違い」はそもそも小池氏が希望の党の候補者を既にある程度決めていて民進党全員の合流を受け入れられない事情があったことから始まる。その一方で、米国との関係を考えた場合、安倍政権の安保法制強行採決に反対であっても、政権を奪った後に直ちに安保法制を廃止できない現実的な事情もある。それが「安保法制の容認」を条件とする「排除の論理」となった。

 もう一つ小池氏には「郵政解散」で小泉元総理が徹底した「排除の論理」を振りかざし選挙に勝利した記憶があり、それを真似しようとしたのではないかと思う。しかし小池氏が出馬せずすぐに政権を奪わないなら選挙前に安保法制を条件に「排除」する必要はない。なるべく幅を広げて基盤を築き、自分が総理を目指す選挙で現実路線に切り替えればよい。

 この「出馬せず」と「排除の論理」のちぐはぐさが疑心暗鬼を生み、希望の党は安倍政権の補完勢力と思われ、安倍政権を打倒する勢力と看做されなくなった。補完勢力と思われたら野党第一党にはなれない。国民の意識の中で受け皿は希望の党から排除された立憲民主党に移った。

 それでは唯一議席を40も増やし野党第一党になった立憲民主党はハッピーなのだろうか。今はハッピーな顔をするしかないが、しかしこれから先を考えると必ずしもハッピーとは言えない。野党第一党であるから「政権交代を目指す」ことが期待される。立憲民主党にそれができるだろうか。申し訳ないがはなはだ悲観的にならざるを得ない。

 票数ではなく議席数で比較するので民意と少しずれるかもしれないが、正しい政策を掲げているかどうかは別にして現実的な政治を目指している政党は自民党、公明党、希望の党、日本維新の会などである。今回の選挙で得た議席数は374議席ある。

 一方、リベラルと言われる政党には立憲民主党、共産党、社民党などがある。今回の総選挙ではお互いに選挙協力を行った。それらの議席数は合わせて69議席。現実派の5分1である。その主張には正しいことが多く、国民も耳を傾けエールを送るが、しかし政権を任せるかとなれば国民はそれほど信頼を寄せない。

 官僚機構をコントロールする力と知恵を信用できないからだ。民主党政権時代の記憶がそれを蘇らせる。前にも書いたが、安倍政権の安保法制強行採決は立憲主義を否定するもので許されないと私は考えている。しかし政権を奪ったその日から米国と立ち向かわなければならない政権が直ちに安保法制を廃止すれば大混乱に陥る。

 できることは安倍政権のように米国の言いなりになるのではなく国益を第一に米国の言いなりにはならない政治を行うことである。それは廃止して混乱するのを避け限定的な運用で事実上の廃止に近づけることである。そのため政権を取ろうとする政党が政略的に安保法制を認めることはありうる。

 しかし立憲民主党はそう考える政党ではない。原理原則にこだわる政党である。それはかつての社会党や現在の共産党と同じで一定の支持は得られるが権力を奪うところまではいけない。さらに心配なのはこれから憲法論議が高まる中で立憲民主党の代表である枝野幸男氏は「9条改憲」を唱えており、必ずしも「護憲」の共産党や社民党と同じでない。それをどうするかが問われると思う。

 民進党の問題は現実派とリベラル派が共存しそれが足を引っ張り合う関係にあったことだ。自民党にも右派、現実派、リベラ派が存在するが足の引っ張り合いが民進党より少ない。イデオロギーや原理原則を重視する政党とそれより現実と利益を重視する政党の違いが民進党と自民党の間にはあった。

 その民進党が分裂して現実派とリベラル派に別れリベラル派が野党第一党になった。その陰には共産党の選挙協力がある。その分共産党は議席を減らしたということかもしれないが、今後も共産党は立憲民主党に協力し政権を担える政党に育てようとしているのか。

 それとも希望の党に結集した現実派が自民党の補完勢力としてではなく、自民党の反安倍勢力と手を組んで政界再編を仕掛け、政権交代可能な政治体制を構築する方に向かうのか、どの政党もこの選挙でハッピーになれなかったことが政治の先行きを面白くする方向に向かうことを私は期待する。
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さすがに国民の一票一票の積み重ねは、重い

2017-10-24 | いろいろ

白川勝彦氏の「永田町徒然草」より

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さすがに国民の一票一票の積み重ねは、重い。

17年10月23日

No.1941


 九州ブロック・2小選挙区の開票作業が、台風のために遅れて出来ない。そのため、4人の当落が決められない。しかし、どちらも非常に重みのある選挙区である。夜通し開票即票を見ながら、いろいろなことを考えていた。

 一つひとつの選挙区の開票結果を見ると、国民が候補者の動きをどう見ているのか、ハッキリと見えてくる。日本国民は決して、ボケていない。ボケているのは、政治家とマスコミと似非評論家たちである。

 それにしても、さすがに疲れた。少し時間を置いた上で、これからのわが国の政治課題を述べる。

 それでは、また。
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大敗も“厚顔”小池百合子は続投宣言

2017-10-24 | いろいろ

より

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大敗も“厚顔”小池百合子は続投宣言

 「あきれた」と希望議員らは猛反発 パリから帰国後は居場所なし

 衆院議員選挙の結果を待つために都内のホテルに設けられた希望の党の開票センターは10月22日夜、白けたムードが漂った。“総大将”の小池百合子代表の姿はなかった。東京都知事としての公務で前日の21日からパリに出張したためだ。

 代わりに設立メンバーである細野豪志氏と選対事務局長の樽床伸二氏が都内のホテルで開票結果を待ったが、開票時間の20時に報道陣の前に現れた2人にはいずれも笑顔がなく、厳しい表情。すぐに当確の花がついたのは数名のみで、21時になっても花は8つのみ。

 細野、樽床両氏の当確が決まった時も、樽床氏が黙って花をつけるのみで、2人は会話も交わさず目も合さなかった。
 
 野党第一党の座を立憲民主党に奪われる可能性もあり、当初は政権交代を目指していた同党にとっては嵐の船出。細野氏は報道各社の取材に次のように語った。

 「自民党に代わり得る、政権をになえる政党が必要だという我々の存在意義は、失われることはない。数字は非常に厳しい」

 党の人事や臨時国会での首班指名をどうするかなどについては、25日に小池氏が帰国した後に協議して決めるという。

 小池代表の進退について樽床氏は「代表は小池さんなので当然、そのまま。小池さんが立ち上げた政党なので」と、辞任の可能性を打ち消したが、当面の国政対応で国会議員らをまとめる幹部人事も含め、先行きは不透明だ。

 小池氏のパリ出張中の代表代行には設立メンバーの細野氏ではなく、復活当選した樽床氏が務めたが、この人選について様々な憶測を呼んでいる。

 開票センターで配られた式次第でも当初、「代表補佐」だった細野氏の肩書が赤ペンの二重線で消され、「チャーターメンバー」(設立メンバー)に書きかえられるなど、混乱が透けて見える。小池氏に近い関係者はこう語る。


 「昔の仲間で小池さんに比例単独にしてもらった樽床さんはポチだもの。みんな自分の選挙で忙しいし、樽床さんはヒマだから代行に指名したんだろう。希望の国会議員代表は本来は前原誠司民進党代表が代表の適任者だろうが、入党するには一定の時間が必要なので、当面は樽床さんが幹事長、長島昭久政調会長といったような布陣が適当ではないか」

 小池氏自身はパリからのテレビ中継で、衆院選の敗北については、「おごりがあった。みなさんを不快にさせた私の言動があった」と責任を認めたものの、「今後の党の運営など責任をもって進めていきたい」とちゃっかりと続投宣言。

 ちなみに、この中継について、民放関係者は「パリからのインタビューの衛星回線には約1千万円も費用がかかり、各局が割り勘で分担したんです」とボヤいていた。

 開票速報が流れている間も、希望の党の候補者たちの中からは悲鳴や不協和音が聞こえてきた。小選挙区での落選が濃厚となったある希望の前職候補者はこう語る。

 「小池さんの続投宣言には呆れた。きちんとした党本部もつくらず、中枢への唯一の連絡先だった若狭さんも落選という有様では、もうしょうがないね。今は自分の比例復活を信じて待つしかない。小池や希望の党がどうなるかなんて、もうどうでもいい。先のことなんか何も考えられないよ」

 一方、民進党出身の別の希望候補者の関係者はこう憤る。

 「選挙は最初、渡辺喜美氏や若狭氏の陣営が仕切っていたが、その後、樽床氏が途中から選対事務局長として来て、ただでさえ支持率が伸びないのに、ますます混乱してしまった。小選挙区で当選した議員の一部は、すぐに離党して新党を立て、立憲民主党と組んで野党第一党になる、という話もすでに浮上しています」

 同じく深刻なのは、希望への予期せぬほどの「逆風」によって落選の憂き目を見た候補者らにも、不満が鬱積する。東京ブロックから小選挙区に出馬したある候補者の周辺はこう語る。

 「選対本部からの指示などはまったくなかった。選挙中、小池氏の応援を何度も要請しましたが、とうとう最後まで一度も来てもらえなかった。隣の選挙区の候補者は幹部候補だからなのか何度も応援に入っていたのに、あまりに不公平と感じました。すぐ近くで小池氏が複数の候補者と演説会を行った時にもうちの候補は参加させてもらえず、事前に連絡すらなかったんです」

 こうした声に対し、前出の小池氏に近い関係者も、急ごしらえだった党の体制の問題点は認め、次のように語る。

 「今回の選挙戦でも事務局機能含め、やっつけ感が否めなかった。来年1月に予定する党大会までに党規約、綱領をしっかり固めたい」


 小池氏にとってもう一つの難題は、本業のはずだった都政だ。小池氏が都政を脇に置いて国政への関与を深めてから、都知事としての支持率は30%台に急落。小池氏の立ち上げた地域政党「都民ファーストの会」からも離党者が出るなど、足元がおぼつかないのだ。

 「国政に関与したことで都議会公明党と決裂した代償は大きく、公明に配慮しないと議会が回せない。とりあえず、都民ファーストと希望が合流し、19年4月の統一地方選に向けて足場を固める。小池氏は都知事選を統一地方選と同日で前倒し行い実施、再戦を果たしオリンピック後の国政出馬にかけるしかないのでは」(前出の小池氏に近い関係者)
 
 古巣の自民党からも厳しい声が聞こえる。反安倍の急先鋒の中堅議員はこう吐き捨てた。

 「せっかく安倍退陣がそこまで見えていたのに、小池の自滅でぶち壊しだ。小池の“排除”発言さえなければ、今頃、自民党は大変なことになっていたぜ。過半数ぎりぎりで、政局になり、安倍さんは代わっていたよ!せっかく、期待していたのに、もう小池人気も終わりだろう。小池の自滅が今回の選挙戦のすべて」

 パリから帰国後、小池氏はこの難局をどう乗り切るのか。
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自動化が進む株式市場

2017-10-23 | いろいろ

賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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自動化が進む株式市場

 技術進歩によりあらゆる分野で自動化が進む現代、株式市場も例外ではない。特に米国では、株の売買の半分以上がコンピュータプログラムによって実行されている。

 2014年、米国のノンフィクション作家、マイケル・ルイス氏が「Flash Boys」という本を出版した。この本が暴いたのは10億分の1秒単位の超高速ネットワークを活用して、他の投資家より「ナノ秒」の速さで取引を実行することで勝率100%の金融取引を合法的に行う集団の存在だった。

 株取引をするには投資家が証券会社に電話をし、証券会社から人を介して取引所へ発注されていたものだが、今では立会場で大きな声で叫ぶトレーダーの代わりにコンピュータの中で売り買いの注文がなされるようになった。本のタイトル「フラッシュボーイズ」は、このコンピュータ化された市場で高度な技術や光ファイバー、マイクロ波回線などを使い、数千分の1秒単位で他の投資家の注文を先回りして、取引を先に執行する「超高速取引業者」のことである。

 本の主人公である日系カナダ人のカツヤマ氏はカナダの銀行でトレーダーをしている時に、株取引のコンピュータ画面では注文できることになっている値段で株取引ができない場合があることに気づいた。米国では規制緩和によって多くの証券取引所ができているが、超高速取引業者がスピードを武器にし、複数の取引所のデータを受け取り、注文を執行するのにかかる時間の差を利用して取引をしていたのである。

 たとえば証券会社が注文情報を入力し、それが実行されていない段階で超高速取引業者がその株を買い入れる。それにより株価が上がり、最初に買おうとしていた証券会社は上がった価格で株を買うことになる。一連の取引がコンピュータ化されているため、情報を先に手にした超高速取引業者が先回りして利益を得ているのである。

 カツヤマ氏は超高速取引業者とそれ以外の人が公平に取引できる場を提供することを目指して2012年に自身で株の取引所を設立したが、これで問題が解決したわけではない。現在、株の売買の半分以上はボットと呼ばれる、インターネットの上で自動化されたタスクを実行するソフトウエアによって行われている。それは高速でWebページから情報を自動的に集め、内容を分析し、分類している。株式市場は企業が資金調達を行うためという元来の目的を失い、最も速くもうけを出すためのスロットマシンになったのである。

 米国の銀行や証券会社は人員削減を進め新しいAIとスーパーコンピュータを使った取引に移行しつつある。より良い教育を受けた従業員ではなく、より高速な回線に投資しているのだ。どんなに優れたAIが株取引に使われようとも、富裕層をさらに富ませるため多くの利益を出すようにプログラミングされれば、株価は企業価値や業績とは関係なく上下するようになる。そしてそれは経済や社会に予想もつかない影響を及ぼすことになるだろう。
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 こうなると素人の入るスキはないと言う事だ、そして株は企業の業績には連動しないと言う事。個人のレベルでは太刀打ちできない世界になっている。


選挙戦の投票日における私の願い。

2017-10-22 | いろいろ

白川勝彦氏の「永田町徒然草」より

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選挙戦の投票日における私の願い。

17年10月22日

No.1940


いよいよ、投票日が来た。今回の総選挙ほど、いったい何のための解散総選挙なのか問われた解散総選挙はなかった。それがまさに、多くの国民の声であった。また、解散が具体的になってからの、これを闘う政党の立ち位置や勢力構造がグジャグジャな総選挙も、私の60年近くの政治生活のなかで、初めてだった。そんな中、私も体調を崩し、生死を境を彷徨いながら闘ったことは、なかった。

そのために、私の最大の武器である永田町徒然草を通じて、私の考えを訴えることもできなかった。選挙の後半戦になってようやく発信できるようになったが、これとて極めて不満足なものであった。しかし、いつものように私自身の政治スタンスは、極めて単純なものである。このことは、永田町徒然草No.1936「檄」に、ハッキリと表明していた。短いので、再掲をお許しいただきたい。

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17年10月10日


前の永田町を書き終えてから私の体調は急変し、何とか持ちこたえているものも、最悪の状態であった。パソコンも明らかにおかしいが、私の手では何ともできない。

さて、選挙の対して戦いの譜を発するのは、私の生きざまであった。今回の戦いの譜は、最後になって立憲民主党など起ち上げた枝野幸男さんたちに贈りたい。

老兵は死なず。ただ消え去るのみ。

I shall return.


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私の考えは、多くの国民が望んでいるものであったようだ。それが、立憲民主党への期待が極めて大きくなっていることに伺える。今回の選挙の最後の攻防は、ここに現れると思っている。だから、今日も大事な選挙戦なのだ。覚醒した国民の最後の闘いに、私は望みを賭けている。

それでは、また。
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また安倍ペテン首相に騙されている国民 その先に待つ地獄

2017-10-22 | いろいろ

より

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また安倍ペテン首相に騙されている国民 その先に待つ地獄

 22日のことは、日本の歴史にどう刻まれることになるのだろう。

 各社の情勢調査では「自民300議席に迫る」「自公で3分の2確保」と、与党の圧勝が確実視されているが、この悪辣政権を勝たせるなんて、正気の沙汰ではない。圧勝させれば、白紙委任状を渡すも同然だ。数々の疑惑も帳消しにされてしまう。国民は本当にそれでいいのか。

「そもそも今回の解散は、森友・加計学園疑惑で行き詰まり、このままでは国会も開けない安倍首相が、疑惑隠しのために仕掛けたものです。自分の保身と延命のために全衆院議員のクビを切ったわけで、どこにも大義がない。首相は解散の理由を『消費税の使途変更を国民に問う』と説明しましたが、選挙戦では北朝鮮の脅威をひたすら煽り、『この国を守り抜く』と叫ぶだけです。『選挙戦を通じて丁寧に説明する』と約束したモリカケ問題も一切触れようとしない。これで勝たせたら、憲法違反の安保法や共謀罪を数の力で強行成立させ、縁故政治で国家権力を私物化してきた安倍政治の異様な5年間を是認することになる。自民党は消費税10%も公約しているわけで、税金を上げて、軍事費を増やし、社会保障は削る冷酷政治が続くことになるのです。自民圧勝なら、国民を待ち受けるのは暗黒社会ですよ」(政治評論家・本澤二郎氏)

 北朝鮮の脅威より、このまま安倍政権が続いて国民生活の底が抜けてしまうことの方が深刻な脅威だ。本当に飛んでくるか分からないミサイルよりも、この国の将来を心配すべきではないのか。大体、国民の財産である国有地をタダ同然で売却して知らん顔している政権に、本気で国民の命と財産を守る気などあるわけがない。北の脅威を利用し、国民を不安に陥れて票をかっさらおうとしているだけだ。

洗脳されているのか、おバカなのか

 街頭演説でアピールするアベノミクスの成果もデタラメそのもの。株式市場は57年ぶりの14連騰に沸いているが、庶民に景気回復の実感はない。給料は増えず、負担ばかりが増えて、生活は厳しくなる一方だからだ。今年9月の日銀の調査でも「暮らし向きにゆとりが出てきた」と答えたのは、わずか7.3%だ。

 精神科医の和田秀樹氏もこう言う。

 「街頭演説で安倍首相は、民主党時代は『暗黒時代だった』と言い、自民党政権で景気が上向いたと主張していますが、実際は民主党政権の方がGDP成長率は高かった。雇用が改善したという言い分も疑問で、安倍政権では非正規雇用が200万人以上も増え、相対貧困率が上がっている。貯金ゼロ世帯も急増しています。異次元緩和で1ドル=80円から120円になったなら、円で支給される給料も1.5倍程度にならなければおかしいのに、そうなっていない。逆にいえば、ドル換算で見ると、安倍政権下で日本は急速に貧しくなっているのです。出まかせの数字に騙されていると、国民生活は早晩、破綻しかねない状況ですが、安倍首相がすごいのは、『国民はすぐに忘れる』と確信していることです。だから、その場しのぎのウソも平気で言えるのです」

 ここまでコケにされても、自民党に1票を投じる有権者は能天気すぎる。世論調査では安倍の続投を「望まない」人が半数いて、内閣支持率を不支持率が上回っている。それでも「他に投票先がない」という消極的な理由で自民党に投票すれば、安倍は何をしても許されると勘違いし、ますます増長する。消極的な投票結果が、安倍続投の原動力になる。そして、権力の私物化が続くのだ。

 首相夫人は「私人」でも公務員の秘書がつき、懇意にしていた学校法人には国有地が与えられる。国民生活はカツカツなのに、首相の親友には巨額の公金がつぎ込まれる。権力者と近しければ犯罪も見逃され、歯向かえば逮捕され口封じされる。これではもう法治国家でも民主主義国家でもない。そんな暗黒社会を国民は望んでいるのか。権力者のやりたい放題の犠牲になるのは国民だ。安倍のご都合主義に騙されて自民党に1票を投じるなんて、まるで、肉屋を支持するブタみたいなもんだ。

 「結婚詐欺師もそうですが、騙されている間は気付かないものです。数十年後には『安倍長期政権が日本を破滅させた』と認定されるのでしょうが、渦中にいる人は気が付かない。ひと昔前は、自民党が悪いことをすれば、選挙で“お灸をすえる”という民意が働いたのに、それもなくなった。ゆとり教育に代表される愚民化政策の効果もあるでしょうし、メディアの洗脳も奏功しているのでしょう。庶民にとっては、現状を変えた方が明らかにメリットが大きいのに、それを避ける選択をしてしまう『現状維持バイアス』も働いている。日本人は、なぜ北朝鮮の人民があんな独裁者の暴君に従っているのかと不思議に思っているでしょうが、日本の現状も変わりません。DVの恋人から離れられないのと同じで、日本人が貧困に慣れてしまい、変化を恐れて、自分たちの生活が良くなる可能性がまったくない自民党政権を支持している。国民が北朝鮮化しているのです。こうした集団洗脳は解けるのに時間がかかる。あと何回、選挙をやっても自民党が圧勝する可能性もある。それで落ちるところまで落ちないと、目が覚めないのかもしれません」(和田秀樹氏=前出)

■選挙の本質をえぐらず問題を矮小化するメディアの罪

 こんなことになってしまったのは、メディアの責任も大きい。今回の選挙でも、各党の公約比較や注目選挙区など愚にもつかない企画でお茶を濁し、安倍政治の是非という本質に切り込もうとしない。「野党分裂」とか「連合また裂き」とか、野党の内輪モメに選挙の構図を矮小化し、希望の党を悪者にして、結果的に与党の圧勝に手を貸している。消費税10%時の軽減税率で首根っこをつかまれているのかもしれないが、この国が民主主義国家でいられるかどうかの瀬戸際なのに、権力に忖度している場合か。そんなことだから、「報道の自由度ランキング」で年々順位を下げ、今では72位という不名誉に甘んじているのだ。前出の本澤二郎氏が言う。 

 「マトモなメディアなら、安倍首相の退陣キャンペーンをしているはずです。モリカケ問題で国民の不信が高まり、内閣支持率が急落した安倍首相は引きずり降ろされる寸前でした。その後、納得できる説明もないし、この政権の体質は何ひとつ変わっていない。そんな政権に国政を任せていいのですか。安倍1強がおごりを生み、国民無視の独裁的な国会運営を許してきたことは誰の目にも明らかです。こういうイビツな状況を是正し、民主主義が機能するように啓蒙するのがメディアの役目でしょう。安倍圧勝の情勢調査を垂れ流すのではなく、『こんな危険な状況だ』と警鐘を鳴らすのが本来のあり方です。総選挙で自民党が大勝すれば、この国には絶望の2文字しかない。それに圧勝報道を垂れ流す大メディアが加担しているのです」

 日本は曲がりなりにも国民主権をうたっている国だ。国民が本気で立ち上がれば、悪政を止めることができる。投票権を行使して、自分たちの代表を選ぶのである。心ある有権者がすべきことはハッキリしている。政権と確かに対峙する野党に投票することだ。立憲民主党、共産党、社民党、あるいは、リベラル系の無所属候補。自民党支持者でも、「安倍続投は嫌だ」と思うなら、今回は目をつぶって野党に投票するしかない。立憲民主党は78人しか候補を立てていないから、全員当選しても政権与党になる可能性はゼロだ。安心して投票すればいい。

 自民単独過半数は崩せなくても、「絶対安定多数」の261議席を割ること。それが、この国の民主主義にとって、せめてもの救いになる。
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 なんと言ってもメディアの堕落、寿司友の上層部が記者の書いた記事を差し替え安倍よいしょ記事を載せる。
 日本のジャーナリストは、ジャーナリストの矜持はどこへ行ったのか、と諸外国から笑いものにされて居るんだろう。


文春スクープ「韓国軍に慰安婦」記事に捏造疑惑 山口敬之のもう一つの“罪”

2017-10-22 | いろいろ

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文春スクープ「韓国軍に慰安婦」記事に捏造疑惑 山口敬之のもう一つの“罪”

 伊藤詩織さん(28)によってレイプ行為を告発された山口敬之・元TBSワシントン支局長(51)。その山口氏が保守派の論客として頭角を現すきっかけとなった「週刊文春」の記事に、捏造疑惑が浮上した。

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 件の記事は、TBS時代の山口氏が「週刊文春」2015年4月2日号に寄稿した〈歴史的スクープ 韓国軍にベトナム人慰安婦がいた! 米機密公文書が暴く朴槿恵の“急所”〉。“ベトナム戦争当時、韓国軍が南ベトナム各地で慰安所を経営していた”という、慰安婦問題における韓国の加害者としての側面を取り上げたものだ。山口氏はアメリカ政府の公文書に当たったほか、関係者への取材をし、慰安所の存在や韓国軍の蛮行を裏付ける証言を得た、としている。

 一読すれば、何の綻びもないように映るこの“スクープ”記事は、大宅壮一ノンフィクション賞の候補作にもなった。だが実態は、嘘や勘違い、そして捏造が絡み合ったシロモノだったのだ。

 例えば、山口氏が問題の根拠として記事で取り上げた米国の公文書に「慰安所」や「慰安婦」という単語はない。売春宿として利用された施設の存在を示す記述はあっても、それが韓国兵専用であったとは読み取れないのだ。

 また、当初TBSでの放送を狙っていた山口氏を中心とする取材班が接触した、ベトナム従軍経験者であるアンドリュー・フィンレイソン元大佐(73)の証言にも問題が。記事の中で山口氏は〈サイゴンをはじめ南ベトナム各地を転戦。(中略)韓国軍の実情に詳しかった〉とその経歴を紹介しているが、「週刊新潮」の取材にフィンレイソン氏自身はこう答える。

 「そんなことは一度も言っていません。私はサイゴンでは戦闘に参加しておらず、現地をよく知っているわけではない。韓国軍海兵隊と過ごしたのも僅か2時間だったと思います」
 
 この応答だけで、インタビューにふさわしくない相手だというのがよく分かる。また山口氏は〈「米軍司令官が指摘している韓国の慰安所とは、韓国軍の兵士に奉仕するための大きな性的施設です。韓国兵士にセックスを提供するための施設です。それ以外の何ものでもありません」〉とフィンレイソン氏に“断言”させているが、

 「私は取材時に慰安所(Comfort Station)という言葉を使っていない。そういう用語が出ていたならば、発言に気を付けていたでしょう」(同)

 伝聞に基づいた推測を取材で答えただけのフィンレイソン氏が、記事では“慰安所の証言者”に仕立て上げられてしまっているというのだ。

 「私は取材の最中に何度も言いました。自分は、このことについて、自分の目や耳で確かめた情報を持っているわけではないということを。だから彼のやり方にはとても失望している。プロのジャーナリストがするとは想定外です」(同)

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 取材では、山口氏の記事に“安倍総理の援護”を狙った虚報発信の可能性があることも明らかに。10月19日発売の「週刊新潮」にて、本件を詳しく検証した特集記事を掲載する。フィンレイソン氏へのインタビュー動画を公開中。



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日本国民はこの選挙で初めて増税に賛成の意思を示すことになる  (抄) Plus

2017-10-21 | いろいろ

ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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日本国民はこの選挙で初めて増税に賛成の意思を示すことになる

 公示前に劇的な展開を予想させた総選挙は、小池百合子希望の党代表が「政権選択選挙」と言いながら選挙に出馬しないために期待は裏切られ、民進党分裂だけが注目されて自公優勢の選挙情勢が作り出された。

 さらに公示前とは裏腹に公示後には何のドラマも起こることなく、このままでは「消費増税の使い道」と「北朝鮮危機から国を守る」の二つを選挙争点に掲げた安倍政権の勝利に終わりそうである。

 そもそも臨時国会の冒頭で安倍総理が衆議院を解散したのは「森友・加計問題」の追及とトリプル補選の取りこぼしから逃げるためで、2年先の消費増税の使い道と北朝鮮危機を解散の理由とするには無理があった。

 そのためか選挙戦では野党が「森友・加計問題」を取り上げ追及するのに対し安倍総理はほとんどその問題に触れないですれ違いに終わらせ、アベノミクスの成果を力説することに終始する。野党はアベノミクスが暮らしに反映されていないと反論するが安倍総理の言う成果の一々を覆し論争する形になっていない。

 憲法問題では社民、共産が相変わらず「護憲」を訴え、立憲民主はそれと近いように見せているがしかし枝野幸男代表はれっきとした「9条改憲派」である。これまでのメディアの報道に問題があるが、与党が「改憲」で野党が「護憲」という図式はもはやない。社民、共産以外の政党は少なからず「改憲」を認め、「改憲」の中身に違いがあるだけである。

 従ってこの選挙は与野党の主張ががっちりと組み合うことがない。すれ違いとあいまいさが浮き彫りになるだけの選挙である。有権者は何を選んでよいのか分からないのではと思うが、しかしただ一つ、2年後の「消費増税」を巡ってだけは対立がはっきりしている。

 自公は2年後の消費増税を前提に教育費の無償化を訴えている。つまり2年後に消費税を10%にすることに賛成である。これに対し野党は「凍結」または「反対」を訴える。景気に悪影響を与えるとして「凍結」をいうのは希望の党、立憲民主党、日本維新の会、日本のこころであり、消費税そのものに反対するのが共産党と社民党だ。

 自公がこの選挙に勝利すれば、消費増税賛成を訴えて反対勢力に勝つ画期的な選挙になる。消費税増税を国民に問うて選挙に勝利した政権はこれまでない。そのためこれまでは選挙の争点とせずに消費税を導入し税率も上げられてきた。今回は「増税の追認」ではあるがそれが初めて選挙で勝利することになる。

 初めて消費税導入を掲げて総選挙を行ったのは大平正芳元総理である。1973年の第一次石油ショックで日本の高度経済成長は終わりを告げ、75年に三木内閣の大蔵大臣となった大平氏は初めて赤字国債を発行した。それ以来日本の財政は借金に頼る国債依存体質になる。

 「将来の子孫に借金のツケを回してはならない」と責任を感じていた大平氏は総理になると直接税中心の税制を間接税中心にし、借金のない健全財政に戻すため、79年の総選挙で「一般消費税の導入」を公約する。しかしその選挙で自民党は過半数を割る大惨敗に見舞われた。

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別Webより  Plus

 それ以来、自民党は消費税を選挙の争点にしなくなる。中曽根元総理は「大型間接税は導入しない」と選挙公約に掲げて選挙に勝利すると「売上税」を導入しようとした。しかし社会党から「公約違反」を批判され撤回する。次の竹下元総理も選挙で国民の声を聴くことなく3%の消費税を強行採決で導入した。

 実は竹下氏は消費税を福祉目的税にすることで社会党や公明党の同意を得ていたが大蔵省の反対で目的税にすることが出来なかった。細川元総理は消費税を廃止し福祉税を導入しようとして連立内の社会党やさきがけから反対され断念する。

 しかし本来社会党は消費税に反対でない。その証拠に村山元総理は消費税を1%上げて4%にする。さらに橋本元総理が5%に上げた。

 「4年間は消費税を上げない」と公約して政権交代を果たしたのは民主党の鳩山元総理である。しかし翌年「10%に上げる」と言った菅元総理は参議院選挙に敗れた。次の野田元総理は2014年に8%、15年に10%に上げる法案を自民・公明との3党合意で成立させる。その時、政権奪還を狙う自公から「成立したら選挙で信を問う」と約束させられた。

 2012年の総選挙はそのために行われたが、増税を主導した民主党は惨敗し、安倍政権が誕生した。自公も消費増税賛成であるが自公の勝利は国民が消費増税に賛成したからではないと思う。むしろ消費増税しないと公約した民主党の裏切りに怒ったからである。

 安倍政権が14年に8%に増税するとそれは日本経済にマイナスの影響を与えた。そのため安倍政権は14年12月の総選挙で10%の増税延期を争点に勝利し、16年の参議院選挙ではさらに19年10月まで延期すると公約して勝利してきた。

 それが今回は延期せずに増税し、しかし使い道を教育費の無償化に充てるとおいしいエサをちらつかせたのである。一方で財政健全化は遠のき将来の子孫へのツケは減らせないことになる。

 少子化社会に対応するためと言うのが安倍総理の選挙戦での訴えである。教育費の無償化が子供を持つ家庭の負担を減らすことはその通りだが、非正規社員が増えて結婚もままならない事情が一方にはあり、この政策がどれほど少子化を食い止めることになるのか。

 また大平元総理が案じたように財政のツケを将来の世代に回すことにならないか。国民は考えなければならない。

 民主党政権が誕生した時に打ち出されたのは消費税を4年間上げないと同時に子供手当の拡充だった。財源は官僚機構に隠された「埋蔵金」を発掘すれば増税しなくとも可能だと言うことだった。

 しかし霞が関の官僚機構と渡り合うには相当の政治力が必要になる。そう思っていると小沢一郎氏の秘書が突然逮捕され、小沢氏が政治的実力を発揮できない状況に陥った。

 代わりに「事業仕分け」が行われ、それは国民の耳目を引き付けたが、しかしフーテンには官僚に対する「公開処刑」に見え、官僚機構は民主党政権に反発を抱いただけではないかと思った。いずれにしてもすぐに民主党は選挙公約を撤回し消費税10%に舵を切ったため国民の信頼を失った。

 今回の選挙で当初の民主党に近い主張をしているのは日本維新の会である。教育無償化をするなら増税ではなく議員や官僚の「身を切る改革」だと主張している。本当はこの消費税を巡る議論、教育無償化を含めた少子化問題の議論に焦点が合えば選挙戦は与野党の主張が組み合えるのではないかとフーテンは思った。

 おそらく財務省の官僚が麻生大臣を通して選挙の争点に「消費増税の使い道」というクセ球を進言したのではないか。子供を持つ家庭が反対できなくなるようにして実は消費増税に国民が賛成するよう仕向けている。

 この選挙が終わると日本国民が初めて選挙で増税に賛成したと記録されると思う。
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《拡散希望》自公が圧勝なんて言っているのは、マスコミだけ

2017-10-21 | いろいろ

白川勝彦氏の「永田町徒然草」より

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《拡散希望》自公が圧勝なんて言っているのは、マスコミだけ。

17年10月20日

No.1939


 私は、今日無事に退院しました。残念ながら今日からピンピン動き回る訳にはゆきませんんが、ネット上は大丈夫ですから、ご安心下さい。周りの同志の方にも、この旨お伝えください。

 ここで、私の直感で申し上げますが、自公はマスコミがいうほど強くないですね。今週のニュースを注意深く見ていると、自公が圧勝する証拠はどこにもないですね。たた虚しく、自公が強い強いと言っているだけですね。もともとその前提で、このバカらしい解散総選挙をマスコミもグルになって始めたのですから、最後までそうするしかないのでしょう。

 覚醒した国民は、ここは心をシッカリと持って、最後まで戦うしかないですね。必ず、そういう結果が出る筈です。

 今日はこのくらいにしておこう。それでは、また。
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長谷部恭男教授が指摘 目的が分からない安倍首相は不気味

2017-10-21 | いろいろ

より

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長谷部恭男教授が指摘 目的が分からない安倍首相は不気味

小池希望と安倍自民はよく似ている

 安倍自民も小池希望も憲法を破壊した安保法を認め、さらなる改憲まで突き進もうとする政党だ。モリカケ疑惑によって、ようやく醜悪政権が追い詰められたのに、目くらましの選挙で改憲大政翼賛会ができつつある。憲法学界の重鎮、早大法学学術院の長谷部恭男教授に問題点を浮き彫りにしてもらった。

  ――まず、小池新党の希望の党についてはどういう印象をお持ちですか?なんだか、白紙委任状を取って、とにかく改憲を目的とする乱暴な政党のように見えますが。

 一方で安倍政権打倒を掲げてはいますが、自民党との連携は否定していない。国政全体を右に持っていこうとする点は、安倍政権と共通する。今現にある安保法制のみが「現実的」だという偽りの現実主義を掲げて違憲状態を固定化しようとする点も同じです。改憲に前向きで、しかもその内容が茫漠としていることも、安倍さんとよく似ています。

  ――有権者は惑わされてはいけないと思いますが、とにかく、安倍政権は打倒しなければいけませんね。今回も憲法53条による野党の臨時国会召集要求を無視して、内閣改造後の代表質問すら受けずに解散した。みんな小池新党の騒動で忘れていますが、驚きました。

 憲法53条後段には「いずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とあります。現憲法の草案が議論されていた当時は、国会の召集は内閣ではなく国会自身の判断によって決めるという「国会常設制」という理念が有力だったんです。でも、政府の事情もあるので、4分の1の少数の要求で開けるようにした。担当だった金森徳次郎国務大臣がそう答えています。

  ――そうした理念は押しやられて、安倍政権は召集時期が明記されていないことをいいことに開かなかった。

「諸般の条件」を勘案して合理的な時期に開くというのは安倍さんだけでなく、過去の内閣も示してきた考え方ですが、準備に必要な期間はせいぜい2、3週間でしょう。それ以上に引き延ばすのは憲法違反だというのが、憲法学界の通説です。

解散の理由はとってつけたようなものばかり

  ――モリカケ疑惑を追及されたくないから臨時国会を開かない。そんなふうに見えますが、この解散の大義についてはどうでしょうか。

 解散の理由として提示されているものは、とってつけたようなものばかりです。消費税の使途を変えるというのは、見ようによっては、民進党の公約を単に横取りしたような話です。選挙における争点を潰そうとしたのではないか。北朝鮮危機は国難だと言っているが、焦眉の急だというのであれば、総選挙なんてやっている場合ではないでしょう。与党が有利なときにやりたいという動機があからさまです。

  ――安倍政権の場合、大義なき解散はこれが初めてではありません。アベノミクスの信を問うとか、消費増税先送りとか、そうやって、国会が紛糾しているわけでもないのに解散権を乱用し、野党を疲弊させ、小選挙区制を上手に使って、一党独裁体制を築いてきたように見えます。

 その結果、有権者の政治不信を深めることになっていると思います。政治のプロセス自体が信用できないと多くの有権者は棄権をしてしまうからです。

  ――憲法上、首相の解散権についても議論がありますね。

 従来の憲法慣習として、内閣に解散の権限があって運用されてきたのはその通りです。ただ、それにどれほど合理的な根拠があるのかということが今問われているところでしょう。内閣に自由な解散権を認めれば、政府与党にとって有利、もしくは不利ではない時期に解散・総選挙を打てる。そういうことがあってよいのかという問題があります。与党に特権を認めることになるので、公平な競争の場にならない。競技場が与党に有利になるように傾いているわけです。

 諸外国の例を見ると、日本が手本にしてきたイギリスでは、従来、内閣の首相に自由な解散権があるとされてきましたが、キャメロン連立政権が成立した後、立法期固定法というものができて、解散は原則認めないことになりました。

  ――日本も導入すべしという議論があります。

 メイ首相はブレグジットの結果を受けて解散・総選挙をやりました。野党の労働党も受けて立とうということで議会の3分の2の賛成多数で総選挙になったのです。日本においても、解散には衆院議員の3分の2の賛成が必要だという規定を設けても、何も困らないのではないかと思います。そうすれば、今回のように、どうみても正当な理由のない、あるとすれば与党の都合のためだけにやる総選挙はできなくなります。

改憲で北朝鮮はミサイルをやめますか?

  ――安倍首相が今年5月、唐突に行った9条見直しについてはどうですか。自民党は公約に入れたし、小池新党も中身を明らかにしないまま、改憲支持を公認の条件にして、総選挙に突入しています。

 不思議な話ですね。まず自衛隊の現状を書き込むと言うが、現状は自衛隊に集団的自衛権の行使を認めています。それを追認するかのように憲法に書き込まれ、固定化されるのは困ります。自衛隊の現状を書き込むというのであれば、2014年の閣議決定で曖昧な解釈変更をした前の状態に戻してもらわなければならない。その書きぶりもどうなるのか分かりませんね。具体的な条文案が何も出てこない。ぼんやりしたまま、とにかく賛成ですか反対ですかと言われても有権者は判断しようがありません。

 私自身は、自衛隊は現在の9条のもとでも認められるという立場です。自衛隊を憲法にあえて明記しないということに重要な意味がある。政府は自衛隊に何ができて何ができないのかを国民に説明する責任が課されることになる。自衛隊が憲法に書き込まれてしまうと、いまの政権は説明する必要はないと言い出しかねない。

  ――そもそも政治家は憲法にどう向き合うべきなのでしょうか。

 憲法は中長期的に守っていくべき基本原則を定める文書なので、よほどのことがない限りむやみに触ってはいけない。むしろ、政治は目の前の課題に注力すべきだ。だからこそ、憲法は変えにくくなっているのです。そのことをまず政治家は頭に入れないといけません。さらに、憲法を変えることで何とかなる問題と、何とかならない問題がある。

 例えば、仮に9条を全て削れば、北朝鮮はミサイルを撃つのをやめますか? 核実験もやめないでしょう。日本が憲法をどうこうしたって、北朝鮮問題が解決するわけではない。高等教育無償化にしても、予算措置を講じなければ無償化はできないし、予算措置ができるなら、憲法に書き込む必要はない。憲法を変えようとする前に、憲法を変えることにどういう意味があるのかを考えていただきたい。改憲が自己目的化しているなかで、何かと理由をつけて変えようというのはよろしくない。

  ――自己目的化どころか、安倍首相は自らの野望実現のために北朝鮮危機をやみくもに煽っている印象すら受けます。そうやって危機をつくり出しておいて、国難だから自分に強いリーダーシップを与えてくれと、選挙をやる。こういう手口はどうですか。

 きわめて危ない手口です。北朝鮮の暴発を招きかねません。安倍政権は日本の過去の歴史をきちんと学んでいないのではないでしょうか。1941年8月1日にアメリカは日本に対して石油を全面禁輸にしたことで、それまで戦争に慎重だった海軍まで、燃料があるうちにという気にさせて太平洋戦争の開戦に至った。北朝鮮を「何を考えているか分からない国」というのであれば、そんな危ないことはするべきではないと思います。

  ――今度の選挙後に安倍首相が何を企んでいるのか。小池新党と大連立で、国をつくり替えてしまうのではないか。そんな危惧はありませんか。

 安倍首相は目的が分からないだけ不気味です。言うことがころころ変わる。96条を変えると言って、すぐ引っ込めたり。場当たり的に言うことが変わるので、予測不能です。外国でスピーチするときは、人権の保障、民主主義、法の支配などの普遍的な価値を尊重しますと言うが、本気で言っているとは思えない。むしろ、本当に考えていることがあるのか心配です。

 いやしくも首相という職に就いているのであれば、何か実現したいことがあってしかるべきでしょう。そのために改憲がひとつの手段であれば分かるが、安倍さんは改憲そのものが自己目的化している。改憲で何をしたいのかが見えないのです。

(聞き手=本紙・高月太樹)

 ▽はせべ・やすお 1956年10月22日生まれ。東大卒。学習院大、東大で教授を務めた後、早大大学院教授。「安保法制から考える憲法と立憲主義・民主主義」(有斐閣)など著書多数。
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本当に、「こんな首相」を信任して良いのか

2017-10-20 | いろいろ

ヤメ検で弁護士の郷原信郎氏の「郷原信郎が斬る」より

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本当に、「こんな首相」を信任して良いのか

「緑のたぬき」の“化けの皮”が剥がれ、安倍自民圧勝の情勢

 衆議院選挙の投票日まであと3日、各紙の情勢予測では、「自民300議席に迫る勢い」と、安倍首相率いる自民党の圧勝が予想されている。しかし、世論調査で「安倍首相に首相を続けてほしくない」との回答が50%近くに上っており、また、内閣支持率は30%台に低下し、不支持率を下回っている。「自民圧勝」の情勢は、決して安倍首相が支持されているからではない。

 最大の原因は、衆議院解散直前に「希望の党」を設立し、自ら代表に就任した小池百合子東京都知事の“化けの皮”が剥がれたことにある。都議選圧勝で最高潮に達した小池氏の人気は、民進党リベラル派議員を「排除」するという小池氏自身の言葉や、音喜多都議と上田都議が「都民ファースト」から離脱し、閉鎖的で不透明な党の実態を暴露したことなどによって大きく低下した。さらに、「政権交代」をめざして国政政党を立ち上げたのに、代表の小池氏が衆院選に出馬せず、「希望の党」は首班指名候補すら示せないまま衆院選に突入したことで、小池氏への期待は失望に変わった。

 私は、昨年11月以降、ブログ等で、小池都政を徹底批判してきた。都議選の直後には、【“自民歴史的惨敗”の副産物「小池王国」の重大な危険 ~代表辞任は「都民への裏切り」】と小池氏を批判した。そういう意味では、「小池劇場」を舞台に、都民、国民に異常な人気を博してきた小池氏の実像が正しく認識されること自体は、歓迎すべきことである。そして、小池氏に化かされ、「緑」に染まってしまった民進党系の前議員の多くが「希望の党」もろとも惨敗するのは自業自得だ。しかし、問題は、それが「自民党の圧勝」という選挙結果をもたらしてしまうことだ。

 【“憲政史上最低・最悪の解散”を行おうとする「愚」】でも述べたように、今回の衆議院解散は、現時点で国民の審判を仰ぐ理由も「大義」もないのに、国会での森友・加計学園疑惑追及を回避するための党利党略で行われたものであり、憲法が内閣に認めている解散権を大きく逸脱した「最低・最悪の解散」だ。

 疑惑隠しのため解散を強行した安倍首相への批判から、自民党が大きく議席を減らすことが予想されていたが、「希望の党」の結成、民進党の事実上の解党によって、野党は壊滅、その「希望の党」も化けの皮が剥がれて惨敗必至の状況となり、結局、「最低・最悪の解散」を行った安倍首相が、選挙で圧勝して国民から「信任」を受けることになりかねない状況になっている。

 しかし、本当に、それで良いのであろうか。

 10月11日のテレビ朝日「報道ステーション」の党首討論での安倍首相の発言に関しては、【「籠池氏は詐欺を働く人間。昭恵も騙された。」は、“首相失格の暴言”】で、一国の首相として、いかにあり得ない暴言であるかを批判した。それに対しては、大きな反響があり、朝日、毎日、共同通信、週刊朝日等でも取り上げられたが、安倍首相の正確な発言内容が把握できたので、籠池氏の事件や解散に至る経緯も踏まえて安倍首相の発言内容を整理してみたところ、その発言の“恐るべき意図”が明らかになった。

安倍首相発言の“恐るべき意図”

 安倍首相の発言は、後藤キャスターの

   総理にお伺いしたいんですが、この森友・加計学園というのは、最高責任者としての結果責任が問われている。

   森友問題については、交渉経過を総理の指示によって検証する、そういうお考えはないのでしょうか。


 との質問に対して行われた。(番号、下線は筆者)。

   まず森友学園の問題なんですが、私が一回も、お目にかかっていないということは、これは、はっきりしています。私が一切指示していないということも明らかになっています。うちの妻が直接頼んでいないということも、これも明らかになっていると思います。

   あと、問題は、松井さんが言われたように、①籠池さん自体が詐欺で逮捕され起訴されました。これは、まさにこれから司法の場に移っていくんだろうと思います。

   値段が適正だったかどうかも、財務省が、これは民間の方々から訴えられているわけでありますから、捜査当局が明らかにしていくんだろうなと思います。

   ②こういう詐欺を働く人物の作った学校で、妻が名誉校長を引き受けたことは、これはやっぱり問題があったと。③やはり、こういう人だから騙されてしまったんだろうと…


 この発言の第1の問題は、行政府の長であり、検察に対しても法務大臣を通して指揮監督を行い得る立場にある首相が、検察が逮捕・起訴した事件に言及した上で(下線①)、「『こういう詐欺』を働く人物」と決めつける発言をした(下線②)ことだ。籠池氏は、検察に逮捕され、身柄拘束中だが、取調べに対して完全黙秘しており、公判で弁解・主張を行って公正な審理を受けようとしている。このような被告人の起訴事実について、一国の総理大臣が、「詐欺を働く人物」と決めつけることは、「推定無罪の原則」を首相自らが破るものであり、絶対に許されない。

 第2に、安倍首相は、森友・加計学園問題について「丁寧な説明」をすると繰り返し述べながら、野党に国会召集を要求されても応じず、臨時国会の冒頭解散によって国会での説明の場を自ら失わせた。そして、国会に代わって、森友・加計問題についての「説明の場」となったテレビの党首討論の場で、安倍首相が行った「説明」が、「籠池氏は詐欺を働く人物であり(下線②)、そういう人物だから妻の昭恵氏が騙されて(名誉校長になった)(下線③)」というものだった。

 そして、安倍首相が、森友学園問題について、上記の「説明」を行うことが可能になったのは、まさに、検察が籠池氏を詐欺罪で逮捕・起訴したからだ。

 検察の逮捕・起訴に関しては、籠池氏自身が逮捕前から「国策捜査」だと批判し、マスコミ等からも、そのような指摘が相次いだ。その逮捕事実が、告発事実の補助金適正化法違反ではなく詐欺であったことは従来の検察実務の常識に反する(【検察はなぜ”常識外れの籠池夫妻逮捕”に至ったのか】【検察は、籠池氏を詐欺で起訴してはならない】。また、大阪府からの補助金の不正受給も、通常は「行政指導」の対象であり、刑事事件で取り上げるような問題ではない。

 検察が、「常識的な判断」を行っていれば、安倍首相が、上記のような「森友学園問題についての説明」を行うことはできなかった。籠池氏に対する検察の逮捕・起訴は、法務大臣を通じて検察を指揮し得る(或いは「検察から忖度される」)立場にある安倍首相自身を利するものだった。安倍首相の発言は、そのことを自ら認めるものなのである。

 一国の首相が推定無罪の原則を無視する発言を行ったことだけでも、「首相失格」であることは明らかだが、それ以上に問題なのは、その「籠池氏が詐欺を働くような人物だから妻が騙された」という、森友学園問題に対する「説明」は、検察の籠池氏逮捕・起訴によって初めて可能になったということだ。安倍首相の発言は、検察の国策捜査を自ら認めたに等しいのである。

刑事司法が政治権力のための道具として悪用される恐れ

 安倍首相と籠池氏は、もともと敵対関係にあったわけではない。少なくとも、森友学園問題が国会で追及されるまでは、安倍首相の妻昭恵氏は籠池夫妻と親密な関係にあり、安倍首相自身も、国会答弁で「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と述べていた(2月17日衆院予算委員会)。

 ところが、籠池氏が、森友学園の小学校設置認可申請を取り下げた後、3月16日に、「安倍首相から100万円の寄付を受けていた」との発言を行った時点以降、自民党は「安倍首相を侮辱した」として籠池氏を証人喚問、3月29日には、大阪地検が籠池氏に対する補助金適正化法違反の告発を受理したと大々的に報じられ、7月28日、国会が閉会し安倍首相の記者会見が終了した直後に強制捜査着手、そして、7月31日に、籠池氏夫妻が逮捕され、さらに大阪府等からの補助金不正受給について再逮捕。籠池氏は、詐欺の犯罪者として処罰される方向で事態が進行していった。

 そして、今回の安倍首相の発言があり、行政府の長である首相が、籠池氏が逮捕・起訴された事実に関して、「詐欺を働く人物」と明言したことで、少なくとも、検察は、今後、籠池氏側・弁護人側からいかなる主張がなされようと、首相の意向に反して、「籠池氏の詐欺」を否定する対応をとることは困難になる。そして、有罪率99.9%と、検察の判断がほぼそのまま司法判断となる日本の刑事司法においては、結局のところ「籠池氏の詐欺」が否定される余地は事実上なくなるのだ。

 今回の安倍首相発言が容認されれば、今後の日本では、首相に敵対する側に回った人間を、籠池氏と同様に、刑事事件で逮捕・起訴することで、「犯罪者」として「口封じ」をすることが可能となる。まさに、刑事司法が権力の道具になってしまいかねない。

 このような発言を、公共の電波による党首討論で堂々と行った首相が、選挙で国民の信任を受けるなどということは、絶対にあってはならない。

「こんな首相」を信任して良いのか

 今年7月都議選での街頭演説で安倍首相は、「こんな人達に負けるわけにはいかない」と叫び、国民からの強い反発を受けた。今回の選挙に関しては、本記事で述べた、党首討論での安倍首相発言がいかなる意図によるもので、いかなる意味を持つものかを、改めて認識した上で、「こんな首相」を本当に信任しても良いのかということを、真剣に考えて頂きたい。
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「今後の日本では、首相に敵対する側に回った人間を、籠池氏と同様に、刑事事件で逮捕・起訴することで、「犯罪者」として「口封じ」をする」 北朝鮮より怖いかも


安倍自民300議席は狂気の沙汰 暗黒社会になる国の行く末

2017-10-20 | いろいろ

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安倍自民300議席は狂気の沙汰 暗黒社会になる国の行く末

 「自民 最大300超も」――。16日、毎日新聞が1面で報じた衆院選中盤情勢の結果に、目を疑った有権者も多いのではないか。安倍自民が公示前の284議席を上回り、単独で300議席を超える可能性があるというのだ。

 安倍首相は解散権を乱用し、“もり・かけ”問題の国政私物化疑惑にはフタ。公約に「憲法改正」を掲げながら、街頭演説ではおくびにも出さない。そんな逃げ回る選挙戦でも自民は議席減どころか、逆に増やす見込みとはすさまじい。

 ホンの数カ月前に安倍政権は、もり・かけ疑惑に揺れ、内閣支持率は「危険水域」の20%台まで沈んだ。7月の都議選でも自民は歴史的惨敗。その窮地を救ったのは北朝鮮の核・ミサイル開発問題だ。

 8月末に金正恩が日本上空を通過する弾道ミサイルをぶっ放して以降、安倍は「脅威」をいたずらにあおり立て、メディアも便乗して朝から晩まで大騒ぎ。この「作られた危機」により支持率は回復。9月上旬に安倍は「今なら勝てる」と解散を決断した。

 その際、自民の選挙情勢調査の予想議席数が、通常国会閉会直後の「50以上減」から「30~40減」まで縮小し、安倍の背中を押したとされる。つまり安倍本人だって解散表明の時点では、議席減を覚悟したはずだ。その証拠に安倍は勝敗ラインについて「与党で過半数」と発言。自公両党で90議席近く減っても「勝ち」という異常なまでに低いハードルを設定したほど。それなのに……。

 いざ選挙戦に突入すれば自民党は序盤情勢から優位に立ち、ついに中盤で「単独で300議席を超える可能性」である。毎日の調査だと、比例代表も前回の68議席を上回る勢いで、70議席超えも見込めるという。

 最近まで安倍は「帰れコール」を恐れて、遊説日程を直前まで明かさなかった。有権者に顔向けできないようなトップを担ぐ政党に、なぜ比例第1党予想なんて数字が出てくるのか。何かの間違いではないのか。

アベの「敵」も「味方」も自由を奪われる

 実際、毎日が同時に衆院選後も安倍が首相を続けた方がよいと思うかを聞くと、「よいとは思わない」が47%で、「よいと思う」の37%を上回った。安倍の続投を望まない有権者は、ほぼ半数に達している。

 さらに各社の世論調査でも内閣の不支持率の方が支持率を上回る。日経の最新調査でも支持率の37%に対し、不支持率は48%。支持率が比較的高めに出る日経調査でも、支持率3割台とは、よほどのことだ。

 「支持率3割台の政権が大勝すれば、議会制民主主義は死んだも同然。民意が全く反映していない政権のやりたい放題を許すことになる」と言うのは、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)だ。こう続ける。

 「それもこれも野党共闘を破壊した希望の党の小池代表の“アシスト”の責任で、多くの有権者は『首相は嫌いだけど、野党には政権を任せられない』と思い込んでいるのでしょう。しかし、安倍政権の勝利は、これまでの政治手法に免罪符を与えるだけ。お友達を優遇しても悪事をしでかしても関係者が『記憶にない』を連発し証拠を破棄すればいい。それでも有権者が許したのですから、と。今は街頭で首相が口に出さなくとも、選挙に勝てば『自衛隊明記に民意を得た』とか言い出し、9条改憲に突き進むに決まっています」

 9条改憲には対外的な脅威が必要だ。恐らく選挙に勝てば安倍外交は、より北朝鮮に敵対的となり、緊張はいや応なく増していく。そんな外交姿勢を批判しようにも時すでに遅し。すでに安倍は政権を批判する人々を「こんな人たち」と切り捨て、国民の間に「敵と味方」の線を引いている。

 自民の改憲草案によると、自衛隊改め「国防軍」は〈公の秩序の維持〉のため活動できることになる。政権に逆らう「こんな人たち」は「公の秩序」を破壊する「敵」と見なされ、いずれ自衛隊の攻撃対象となってもおかしくない。

 アベ様の「味方」だって油断できない。安倍は選挙公約の改憲項目に「緊急事態条項」を忍び込ませた。自民の改憲草案には「首相が緊急事態を宣言すれば、首相の意向が法律と同等の効果を持ち、国民はこれに従わなければならない」との趣旨が書かれている。いわば「国難」を理由にした「独裁」だ。安倍の号令一下で、すべての国民の全権利がなぎ倒されてしまいかねないのだ。

 安倍自民への投票を予定している有権者は、こんな暗黒時代の到来を本当に望んでいるのか。

■危機だけをあおる印象操作に侵される日常

 解散を決断して以降、安倍政権は選挙に勝つために、あの手この手。狡猾で薄汚い謀略に精を出してきた。

 北の危機は言わずもがな。トランプ米大統領に国連演説で拉致被害者の横田めぐみさんに言及させ、来月のトランプ来日時に横田さんの両親を引き合わせるのも選挙目当てだろう。

 16日まで10日続伸、平均株価は2万1000円台を突破し、約21年ぶりの高値に沸き上がる東京市場も怪しい。日銀が営業日に連日、12億円ずつETFを購入。それとは別に解散表明の前後にはETFの大量購入で計2217億円を投入する“官製相場”の様相である。

 「選挙期間中の株の買い支えの代償が財政規律の大幅な緩みです。第2次安倍政権発足直後の12年度末に705兆円だった国債発行残高は、本年度末に865兆円に達する見込みです。安倍政権が国の借金を増やし続けても、株高に浮かれるメディアは批判しない。トランプ大統領の横田さんへの言及もそうです。トランプ頼みの外交無策で拉致問題の進展のなさを露呈しているのに、追及の声は上がらない。米大統領が無関心でいるよりマシとはいえ、選挙に向けたイメージ戦略に、トランプと拉致家族を利用したのなら、究極の外交の私物化です」(五野井郁夫氏=前出)

 議会制民主主義の崩壊が間近に迫っても、周到に練られた謀略選挙を見逃し、安倍政権を側面支援する大マスコミの情けなさ。さらに自民大勝後は意気地なしのメディアから順々に萎縮し、政権の御用コメンテーターが今以上に乱立。危機だけを扇動する印象操作の中に国民の日常は侵されていくに違いない。

■北の脅威を理由に疑惑リセットは戦前の二の舞

 今だって、ネット配信が盛んな安倍応援団のメディアと保守系の一部論客は、米朝間の緊張が高まる中での選挙戦をことさらに強調。目の前にある北朝鮮危機を考えれば、もり・かけ疑惑なんてチンケな問題だと言わんばかりの論陣を張っている。政治学者の五十嵐仁氏はこう言った。

 「果たして現政権は強大な国権を与えるに足りるのか。主権者である国民がその判断を下させる唯一の機会が国政選挙です。メディアも有権者に判断材料を提供するうえで、政権を監視し、疑惑を追及してこそ民主主義の『安全弁』となり得る。北朝鮮問題を理由に疑惑まみれの政権私物化のリセットなんて断じて禁物。仮に北の脅威が『国難』だとしても、なおさら権力の正しい行使を見張ることが重要になる。権力は常に誤る。だから、ウソやゴマカシ、隠蔽を許してはいけないのです。『国難』の名の下に有権者が権力のチェックを緩め、政権の暴走を許せば戦前の暗黒社会の二の舞いです。『国難』『非常時』『危機』を連呼する首相や一部メディアに有権者は惑わされてはいけません。今こそ歴史の教訓を学ぶべきです」

 安倍自民に300議席超など狂気の沙汰だ。歴史には後戻りが利かなくなるポイントがある。その岐路は今だ。誰だって、この国の行く末を誤らせた当事者として歴史に名を刻みたくないはずだ。その汚名を回避できる機会もまた、その一票にかかっていることを忘れてはいけない。
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配車サービスビジネス

2017-10-19 | いろいろ

賀茂川耕助氏の「耕助のブログ」より

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配車サービスビジネス

 新技術の適用により世の中が大きく変わっていくという話を聞いても、変化の途中においては、当事者でなければそれを実感するのは難しいかもしれない。

 世界最大級の投資銀行米ゴールドマン・サックスは、巨額の株式売買を行い、株式トレーダーは高額の報酬を得ていることで知られている。2000年には米国本社に600人の株式トレーダーが在籍し、顧客の注文に応じて株を売買していたが、この部門には今、たった2人のトレーダーしか残っていない。株式売買がすべてコンピューターによって自動化されたためである。

 トレーダーに代わって200人のコンピューター・エンジニアが株式取引を支えており、同社はさらに自動化を進めるとし、新しい消費者金融プラットフォームなどはすべてソフトウェアだけで稼働し、人間は一切関わっていないという。

 日本ではまだ普及していない「配車サービス」のウーバーも、新技術によってもたらされたビジネスである。お金を払うと目的地まで運んでくれるタクシーのようなものだが、違いはドライバーが一般人という点だ。スマートフォンの機能を使い、利用したい人が現在地を特定すると、ウーバーに登録している車の中で最も近い車に通知され、迎えに来るという仕組みである。

 支払いも事前にクレジットカードを登録しているため、ドライバーに支払う必要はない。米国にはウーバーの競合のリフトというライドシェア企業もあり、ドライバーの多くはウーバーとリフトの両方のアプリを使用、つまりかけもちで仕事をしているという。そして今ウーバーは、自動運転車による運転テストを開始している。

 自動車が登場した頃、車を持つことはステータスでもあった。その後、米国は自動車社会となり、誰もが車を所有し、運転するようになる。その米国で、車が「所有するもの」から「ライドシェアリング(相乗り)」という概念が受け入れられ始めたのである。米国のある調査によれば、自動運転車に関しても肯定的な見方が少なくなく、特に高齢者に関しては本人が運転するよりも事故が少ないのではと期待されているという。

 一方、日本においては、京都府最北部の京丹後市で昨年から地域住民の足として「ウーバー」の技術を利用したライドシェアが行われている。利用はしたいがITに弱い高齢者にはタブレットの貸し出しやサポートも行っているという。公共交通機関のない地域で、高齢になり自分で運転ができなくなった人に、ライドシェアは柔軟な移動手段となることは間違いないだろう。

 常に先を行く国として日本が手本とする米国を見れば、これからもコンピューター化は進み、自動運転車もそう遠くないだろう。トヨタ自動車も米ウーバーとの資本業務提携を昨年発表している。配車サービスが普及すれば、自動車を所有しようと考える人は少なくなり、販売面でマイナスの影響がありそうに思えるが、それでもトヨタがウーバーと提携するということは、今後ライドシェアが大きく伸びるとトヨタが考えているということだろう。
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