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巨大与党でヒトラー化する安倍首相 国民生活の今後

2017-10-26 | いろいろ

より

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巨大与党でヒトラー化する安倍首相 国民生活の今後<上>

この選挙制度の悪魔的弊害と「健全な保守」などと言っている野党のバカぶり

 「力強い支持を国民からいただいた」――。

 衆院選から一夜明けた23日、自民党本部で開かれた会見で、安倍首相はドヤ顔で選挙結果を振り返り、こう威張っていた。つくづく国民は最悪の選択をしたと言わざるを得ない。

 3割台の支持率しかない政権で、大多数の国民が続投を望まない男が日本の最高権力の座に今後も居続ける。考えるほど頭がクラクラしてしまうが、この選挙結果でハッキリしたことがある。289選挙区のうち、自公、希望・維新、立憲・共産という3極対決となった208選挙区では、自公が173勝と8割超を制した。つまり、選挙区で1人しか当選しない小選挙区制度では、野党が分裂する限り、相対的に与党が漁夫の利を得る、ということだ。制度の「悪魔的弊害」と言っていい。

 野党が巨大与党を打ち負かすには、小異を捨てて大同につき、保守からリベラル、共産党まで含めた野党連合で対峙する以外に道はない。今回のように野党が3極にも4極にも分裂する限り、万年与党・野党の構図は決して変わらないだろう。そして何よりも不幸なのは、有権者が政権選択ができない状態が永遠に続くということだ。

 過去の選挙でその教訓を学んでいるにもかかわらず、選挙前に民進党の前原代表は「非自民・非共産」などと言い、希望の候補からも「健全な保守」なんて声が出ていたのだから、“野党ボケ”としか言いようがない。政治評論家の森田実氏がこう言う。

 「かつての中選挙区制であれば政権交代はとっくに起きていたでしょうが、今さら、選挙制度を戻すのは現実的ではありません。となれば、今の小選挙区制度で、いつ大暴走しても不思議ではない極限状態にある安倍独裁政権を止めるには、野党が大同団結するしか方法がありません。大義は『独裁阻止』で十分で、細かな主義主張は二の次で構わないのです」

 バカな野党のせいで、国民は危急存亡のときに立たされてしまった。

窮地の小池と希望は必ず安倍にすり寄るだろう

 希望が失望に転じた「小池劇場」の悲惨な結末には目が当てられない。側近の若狭勝は落選、お膝元の東京は1勝22敗の大惨敗。唯一当選した長島昭久は、選挙ポスターの小池とのツーショット写真をシールで隠す奇策が功を奏したというから、もはや笑い話だ。

 今夏の都議選で「都民ファーストの会」を躍進させたことで、政界の主役に躍り出た小池だが、求心力は急激に低下。希望は小池が出張先のパリから帰国する25日、両院議員懇談会を開き党人事と首相指名を協議する。

 その場で代表辞任を含め“小池批判”が噴出するのは確実だ。

 希望の落選者の中には「人生を狂わされた」と恨み節を口にする者もいるという。まあ、小池人気に群がろうとした連中がどの口で言うのかと呆れてしまうが、小池が崖っぷちに立たされているのは事実。

 離党者が続出し、崩壊状態に陥るのは時間の問題だ。小池がこの窮地を脱するには、選挙中に批判しまくった安倍にすり寄るしかなさそうだ。政治評論家の伊藤達美氏が言う。

 「小池氏が潔く代表を辞任すれば済む話ですが、小池氏はそんなことをすれば自らの政治家生命が絶たれると拒否するでしょう。復権を目指す小池氏に残されているのは、五輪の協力などで自公と緩やかに連携していく方法しかない。朝鮮半島有事や憲法改正で現実的な政策議論をしながら政策担当能力をアピールしていく。改憲勢力として安倍政権に加担していくことが政治家として生き残る道となりそうです」

 落ち目の小池を延命させるために改憲論議が加速するなんてことがあってはならない。

権力亡者が身内も「飽きる」10年政権のおぞましさ

 自公大勝が招く最悪のシナリオは、安倍の自民党総裁3選、10年に及ぶ超長期政権の実現だ。政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。

 「台風直撃で投票率は戦後2番目の低さとなり、組織力のある自民党に有利な戦況ではありました。とはいえ、内閣支持率は不支持率を下回り、世論の半数がアベ続投を拒否している状況で、自公で3分の2の勢力を維持したなんて、にわかに信じられない。安倍首相は曲芸と禁じ手で総理のイスにしがみついてきた権力亡者。今回の圧勝でモリカケ疑惑の免罪符とフリーハンドの信認を得たとばかりに、やりたい放題になるのは明々白々でしょう」

 安倍のオツムにあるのは、祖父の代からの悲願である改憲だけ。一再ならず「私は立法府の長であります」と明言し、加計疑惑を追及した野党議員に「アナタ、責任取れるんですか!」と逆切れ。安倍の強引な国会運営に批判的な有権者を「こんな人たち」と切り捨てた。主権者である国民をないがしろにし、国会を蹂躙する世紀の自己チュー、反知性の問題人物が佐藤栄作元首相(2798日)、吉田茂元首相(2616日)の在任期間超えに“リーチ”をかけたのだからおぞましい。

 毛嫌いされる安倍の名代で選挙中に全国を飛び回った小泉進次郎筆頭副幹事長が「おごり、緩みだけでなくて、飽きだ。だんだん飽きてきている」などと世論を代弁する形でアベ批判を口にしたが、それは党内に渦巻く本音でもある。数の力をかさに独裁色を強め、アベ友だけが甘い汁を吸うデタラメ政治の横行は身内が一番よく分かっている。それでも引きずり降ろせない愚の骨頂。史上最低総裁に史上最長任期を与えようとする自民はまるでマンガである。

全ての法律が自動成立 大政翼賛会で加速する労働者と弱者、言論弾圧

 自公与党で定数の3分の2を上回る313議席を確保。「是々非々」の維新が11議席、希望は50議席を占め、改憲・安保法制容認の親アベは衆院の8割を占める巨大勢力に膨れ上がった。

 加速する国会の大政翼賛会化で最も苦しめられるのは、言うまでもなく国民だ。安倍政権は世論が猛反発した特定秘密保護法と安保法を強行採決。テロ対策だと大ボラを吹いた共謀罪法は、委員会審議打ち切りの中間報告なる禁じ手を使い、力ずくて成立させた。さらに数の力を増し、露骨に異論封殺に動くのは目に見えている。

 まず俎上に載るのが、「働き方改革」と称した裁量労働制の拡大だ。残業時間の罰則付き上限規制と、高年収の専門職を規制外にする「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」の導入を画策している。

 労働問題に詳しい政治学者の五十嵐仁氏は言う。

 「自公は残業時間の上限を〈年720時間まで〉〈月最大100時間未満〉と規制し、労働者保護を装っていますが、疑似餌に過ぎません。過労死ラインの100時間まで残業を認めるのはメチャクチャですし、高プロの実態は『残業代ゼロ』です。労働力を安価にコキ使うことに主眼を置いたこの法案に賛成する労働者がどれほどいるでしょうか。しかし、安倍政権と近い経団連が法制化を求めている。衆参両院で3分の2の勢力を再び手にした安倍政権は強引に押し通そうとするでしょう」

 安倍の胸三寸でどんな法律でも自動成立しかねない。

 政府の暴走にストップをかけるのが「第三の権力」と呼ばれるメディアの役割だが、囲い込みと恫喝で骨抜きにされた大マスコミにそうした気概はもはや期待できない。選挙戦の最中は公正中立を大義に、政権を直撃するモリカケ疑惑の報道を自粛。各党の主張を横並びで伝えて争点をボヤかし、与党大勝をアシストした。

 そうした中で国政選挙5連勝をモノにした安倍官邸が味を占め、ご都合主義の言論弾圧をさらに強めるのは言うまでもない。

もう他党との連携を言い出した改憲スケジュールの前倒し

「与野党にかかわらず、幅広い合意形成に努める」――。選挙期間中はほとんど触れなかったのに、安倍は23日の会見で早速、憲法改定の国会発議について、他党との連携の必要性に踏み込んだ。

 開票当日にテレビ各局の選挙特番では、「希望の党の皆さんは憲法改正に前向き、建設的な議論をしていこうという人が多い」と、選挙中に批判していた希望の党に秋波を送っていた。二階俊博幹事長も小池との連携について、「お話し合いをした上で、そういうふうになる場合もある」と、すっかり“ノーサイド”だ。

 解散する前に、安倍は来年9月の自民党総裁選で3選を果たした後に衆院解散。改憲を問う国民投票を同時に実施する青写真を描いていた。一部メディアは、新たに4年の衆院任期を得たことで改憲の手続きは焦らないと書いたが、安倍にその気配はない。

 19年春には4年に1度の統一地方選、夏には参院選を控えている。地方選直後では地方議員の活動量低下が懸念されるだけに、下手をすれば参院選で改憲勢力が3分の2を割り込む可能性もある。先送りすれば悲願の改憲が遠のく恐れがあり、安倍は何としても改憲発議のスケジュールを18年中にねじ込むつもりだ。

「安倍首相は選挙中、消費税の使途や北朝鮮危機の対応について何度も演説していましたが、改憲についてはほぼ口をつぐんでいた。改憲の是非について最後は国民に信を問う必要があるのに、国民の間で議論はほとんど深まっていません。それでも、安倍首相は『選挙で信を得た』とか言って、改憲に突き進むのでしょう。自らの悲願のためとしか思えず、まさに“自己都合改憲”と言わざるを得ません」(高千穂大教授・五野井郁夫氏=国際政治学)

 こんな横暴を許してはダメだ。

自衛隊明記など自民改憲4項目で戦争国家完成へ

 安倍自民党が衆院選の公約に掲げた改憲4項目は①自衛隊の明記②教育の無償化・充実強化③緊急事態対応④参議院の合区解消――。中でも恐ろしいのは①と③だ。

 まず自衛隊明記は、最高指揮官である首相の権限を明治憲法の天皇大権に近づけるものだ。

 現状、憲法に根拠を持たない自衛隊の活動限度には裁判所のチェック機能が働いている。しかし自衛隊明記でその活動が憲法上、揺るぎないものとなれば裁判所の干渉の余地は狭まる。

 その分、自衛隊法に基づく首相の最高指揮監督権と防衛出動(=開戦)命令権が強化されてしまう。明治憲法下で天皇が独占した「陸海軍への統帥権」「編成・予算決定権」「宣戦権」に匹敵する巨大な権限を、暴走首相に与えかねないのだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう指摘する。

「朝鮮戦争のただ中の1952年、日米両国で交わした密約により、米軍は戦時に自衛隊を自由に指揮できる権利を有しています。9条改憲で自衛隊を認めると、米国の軍事戦略の下、自衛隊が世界中の戦争に利用される歯止めが利かなくなる。それこそが、安倍政権の狙いなのではないか」

 緊急事態対応はさらに危うい。自民の改憲草案には「首相が緊急事態を宣言すれば、首相の意向が法律と同等の効果を持ち、国民はこれに従わなければならない」旨が書いてある。

「問題は何をもって『緊急事態』と認定するかが、首相の一存で決められることです。ひとたび首相が緊急事態を宣言すると、国民のあらゆる権利と自由が制限されてしまう。いわば『国難』を奇貨とした独裁も可能なのです」(聖学院大教授・石川裕一郎氏=憲法・フランス法)

 教育無償化の美名に惑わされてはいけない。アベ改憲は戦争国家と独裁完成への総仕上げなのだ。

ナチスとヒトラーはこうして独裁体制を築いた

「ナチスの手口に学んだらどうかね」――。麻生副総理が4年前に発した妄言だが、安倍独裁の完成が近づく今こそ、国民は「ナチスの手口」を学ぶ必要がある。

 権力掌握のためにナチスとヒトラーが用いた手口が、ドイツ国民は内外の敵に脅かされているというプロパガンダだ。その敵とは「第1次世界大戦の戦勝国に押しつけられたドイツ制裁のベルサイユ体制」であり、「戦争の惨劇を利用して富を貯め込むユダヤ人」であり、「台頭する共産主義勢力」である。

 ヒトラーは演説で敵の脅威を散々あおり、民衆の理性より感情に訴えかけた。危機に怯える国民の感情を治安立法や軍備強化に悪用し、着々と独裁体制を築いていったのだ。典型的な「ショックドクトリン」であるが、ヒトラーがあおった敵をそれぞれ「押しつけ憲法」「中国人と朝鮮民族」「反安倍のリベラル派」に置き換えれば、今の日本の政治状況はナチ前夜とそっくりである。

 そして安倍は今回の選挙演説で、ヒトラーが独裁のために乱用したワイマール憲法の「大統領緊急措置権」に相当する「緊急事態対応」には一切触れず、北の脅威だけを連呼して突破した。まさにナチスの手口である。前出の石川裕一郎氏はこう言った。

 「危惧されるのは、世相までナチ前夜に酷似してきたことです。

 ユダヤ迫害を連想させるヘイトスピーチがネット上にあふれ、『憲法を変えないと戦争できないから北朝鮮になめられる』という、理性よりもシンプルな感情が先に出てしまう空気がはびこる。安倍首相の選挙演説では、日の丸旗を振る支持者と持たない反安倍派がいがみ合う。『日の丸』は国民統合の象徴のはずなのに、まるでナチス旗を持つか、持たないかのように国民を分断する道具になっている。これらの不穏な空気とナチス独裁を許した当時のドイツの世相はどこかリンクしているように思えてなりません」

 理性が感情にかき消される社会の行き着く先は独裁しか待っていない。

立憲による国民運動の高まりで独裁者の野望は砕けるのか

 「損得勘定でやっているのではない。憲法を軽んじる安倍政権を倒すためにやっている。見返りは民主主義だ」。開票日の選挙特番で、立憲などとの野党共闘に臨んだ理由を問われた共産党の小池晃書記局長はこう説明していた。

 「壊憲」に突き進む安倍政権を阻止するために候補者を取り下げるなど、党利党略はもちろん、政党間の垣根を越えて選挙戦に挑んだ姿勢には本当に頭が下がる。「見返りは民主主義」なんてセリフは安倍首相の口からは逆立ちしたって出てこないだろう。いずれにしても、一時は絶望的となった野党共闘が再び実現したのは、何と言っても立憲民主党が結党したからだが、本当に重要なのはこれからだ。衆参3分の2議席超を握った独裁者・安倍の野望を打ち砕くために残された手段は、もはや国民運動の広がりしかないからだ。

 2015年8月、安保法に反対する国民が国会議事堂を取り囲んだデモには、およそ12万人(主催者発表)が参加した。いくら安倍が改憲を望んでも、さすがに10万人以上の国民が国会周辺で反対の声を上げたら踏みとどまる可能性はゼロではない。立憲結党で奮起した国民の政権打倒の運動をどこまで広げられるかがカギになるのだ。

 「沖縄、新潟、北海道……のように有権者が手を握り、自民打倒に向けて野党を盛り上げる地域はどんどん出てくるでしょう。今はまだ規模は小さくても、こうした草の根の地域運動を全国に広げていくしかありません。一つ一つがつながれば、必ず与野党逆転のチャンスは生まれると思います」(森田実氏=前出)

 「自由と権利は毎日獲得し続けなければならない」。米国のミシェル・オバマ前大統領夫人はこう言っていたが、今こそ国民一人一人が立ち上がる時なのだ。
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