表題の本を読んだ。
著者は関川夏央さんである。
関川さんは1949年新潟生まれであり、私のとって数々の作品でわかりやすく歴史や世界を教えて
くれる先輩、兄貴のような存在である。
いままでも、「『ただの人』の人生」、「司馬遼太郎の『かたち』」、「豪雨の前兆」「昭和が明る
かった頃」などを読んできた。
この、「おじさんは・・・・」も時代小説、歴史小説の好きな私にいろいろなことを教えてくれた。
目次を書くと、
第1章 「小僧」は神様を信じないー山本周五郎
第2章 吉川英治の『宮本武蔵』と「修養主義」
第3章 「戦後」を問い続けた司馬遼太郎
第4章 「海坂藩」の原風景ー藤沢周平
第5章 山田風太郎ーその教養と奇想
第6章 「侠客」その孤影と集団の両像ー長谷川伸、村上元三など
第7章 「おじさん」はなぜ時代小説が好きかー森鴎外ほか
あとがき
である。
この本は2006年に出版され、2010年に文庫化されました。
あとがきで、著者が語っていますが、「若いころは江戸時代は遅れたダメな時代と認識していた」が、
その後「西欧型近代にも大いに問題ありそう」と思うようになり、「進歩」への疑いがきざした、
と言っています。そして、「進歩した世の中で人間そのものはちっとも進歩していない」と思うように
なったといいます。
私も年を取るにつれてそのように思うようになりました。
さて、この本の内容ですが、表紙裏解説によると「それぞれの時代と社会をを詳細に読み解き、
日本人にとって時代小説が持つ意味を分かりやすく語る必読書」ということです。
第7章には、森鴎外の歴史小説がでてきます。さらに、吉村昭、佐藤雅美、司馬遼太郎などの作品が
出てきます。森鴎外の「阿部一族」「興津弥五右衛門の遺書」などが出てきますが、名前を知って
いるだけで読んだことのないものでした。
歴史的にあったことを題材にした小説でも、その中に現代にも通じるようなことも感じて、今の世の
中を理解していくうえでも、役に立つことがあると思ったものでした。