しばらくぶりに村上春樹氏の本を読んだ。
この本は村上氏が父との思いでや父の経験、自らのルーツについて語っている本である。
この本を読むきっかけになったのは、村上氏の父が中国で戦争体験があるが、そのことを息子にはあまり語らず亡くなり、そのことを周囲の方からの話や自分で調べたことから書いているので、興味があったのである。
それは、私の父にも似た経験があるので、知りたかったのである。
私の父の件については、以前に西村京太郎さんの本を読んだときに投稿している(2017年8月記事)が、私の父は終戦の年の3月に中国戦線に行き、翌年5月に復員したということを聞いている。
この本は副題に「父親について語るとき」という題がついていた。
本の帯には、「父の記憶、父の体験、そこから受け継いでいくもの。村上文学のルーツ」と書いてあった。
村上氏の父は、お寺の住職をしている家の次男に生まれたという。
長男の方がお寺を継ぎ、村上氏の父は仏教家の学校に入学したが、戦争に召集され、1年後復員して京都大学に入学、しかし在学中に2度目の召集があり、さらに大学在学中にも3度目の召集があり、終戦後ようやく大学に復帰、その後私立学校の国語教師になったようである。
この後、村上氏の生まれた後の事など語られるが、村上氏が成人になり、作家となった後は父とはあまり話をすることはなくなったようである。
私も社会人となり、家族をもってからはあまり父とは話をしなかったし、話も聞かなかった。
父と話すことは、同じような年代や経験を経て来ないとできないのかもしれない。
父が亡くなってから、父の書類や写真を整理して、父のやってきたことや思っていたことなどを知ったようなものである。
村上氏も父の体験などを後追いして、自らに引き継いでいることなどを感じたようである。
私には子供たちに引き継いでいくようなことはないが、いつかの時に私の経験も子供たちや孫たちに話をしてみたいと思っている。