文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

日本の安倍首相は非常に戦略的な感覚を持った政治家なので、口シアのプーチン大統領が北方領土を容易に返還してくれるわけがないことを十分理解しつつも、プーチンとの関係強化に動いている

2019年05月25日 08時01分07秒 | 日記

昨日発売された月刊誌HanadaとWiLLには21世紀を生きる日本国民全員と世界中の人たちが知らなければならない事実が満載された論文や対談集が満載なのである。
以下は月刊誌Hanadap276の「トランプはファーウェイを潰す」と題して掲載された…E・ルトワック 戦略国際問題研究所上級顧問、取材・構成、奥山真司からである。
米中貿易戦争と安倍首相 
米中貿易関税の問題そのものは解決するだろう。
なぜなら、それは米中間の紛争における核心的な部分ではないからだ。未中間におけるほとんどの経済活動は、影響を受けずに続く。 
たとえば自動車などは普通に流通する、と私は見ている。
商業や貿易は管理できるからだ。
他方、影響を受けるのは戦略的な分野、つまりITやAIに関する分野で、これらは相当な制限を受けることになる。
あとで述べるが、その動きは非常に速く、効果も大きいはずだ。
なぜなら我々は中国人民への抑圧に加担すべきではないし、人民解放軍の戦力の向上に寄与してはならないからである。 
今般の米中間の戦いは、商業や貿易という「着物」をまとった完全に政治的なものだ。
したがって、中国の経済は崩壊しないが、その経済成長率は、以前のような10%という数字は出なくなる。
他の先進国と同じように、一桁台のものになるはずだ。
ただしそれが4%でも、アメリカやヨーロッパ、さらには日本などよりも、はるかに大きいことになる。
この点は冷静に見る必要があるだろう。 
現在のアメリカと中国の対立について言えることは、アメリカ国内の超党派で、つまりトランプを愛する人々も、トランプを憎む人々も、「中国と対決していく必要性がある」ともれなく合意できている点だ。 
この必要性は、大きく分けると以下の三点になる。 
第一は、東シナ海や南シナ海など、海洋面における中国の覇権主義への対処。 
第二は、アメリカ国内だけでなく、日本のような同盟国などからの
違法なテクノロジー獲得への対処。 
そして第三は、中国周辺に位置している国々への支援。 
三番目の必要性には、少し説明を要するだろう。
すなわち、ランドパワーの大国が大規模な艦隊を造り始めると、シーパワーの大国はその動きに対するリアクションとして、そのランドパワー周辺の国々と関係を強化し始めなければならないということを意味する。
現状として起こっていることは、まさにこのような動きである。 
日本の安倍首相は非常に戦略的な感覚を持った政治家なので、口シアのプーチン大統領が北方領土を容易に返還してくれるわけがないことを十分理解しつつも、プーチンとの関係強化に動いている。 
安倍首相は、ロシアが自分たちよりも中国が強大な国になることをよく思っていないことをしっかりと見抜いている。
だからこそ、ロシアが反中同盟に加わるというアクションを起こしつつあることを知っているのだ。 
安倍首相率いる日本政府は、中国にとって「陸の隣国」であるインドの動きにも注目しつつ、その他の中国の周辺国であるタジキスタンやラオス、そしてベトナムなどに対して、ODA(政府開発援助)を強化する動きも見せている。 
日本政府は他にも、近年に入ってからカザフスタンとの関係強化に動いている。
これは石油といった資源獲得を狙った動きではなく、実に「戦略的」な動きと言える。 
そして、モンゴルを支援する動きも出始めている。
モンゴルに対しては、無償ではないが、極めて重要になってくる鉄道関連の整備にも日本から資金を融資するとの覚書を交わした。
これは採掘される銅を、南の中国との国境ではなく、北のロシアとの国境を越えて海に持ち出すためのものであり、経済的のみならず戦略的にも有望な投資となる。 
そしてモンゴルは、銅だけでなく石炭も海へと持ち出せることになる。
すると日本だけでなく、韓国をはじめとする他のアジア全域にも資源を売ることができるようになり、中国だけの関係に縛られることもなくなるのだ。 
このようなことが現在同時進行で動いているのだが、その合間にもアメリカは、国内で中国が違法なテクノロジーの獲得といった浸透工作を行っていることに気づいている。
中国の工作は企業を買収するか、買収しなくてもその企業を抱き込んだり、学生を送り込んだり、研究者を送り込んだりと、まさに「想像できるあらゆる手段」を通じて行われているのだ。
この稿続く。


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