以下は7/4に発売された週刊新潮の掉尾を飾る櫻井よしこさんの連載コラムからである。
本論文も彼女が最澄が定義した国宝、至上の国宝である事を証明している。
日本国民のみならず世界中の人たちが必読。
以下は前章の続きである。
中国が最も恐れている手
もう一点、西側諸国はロシアの物的能力が侮り難いことを忘れてはならない。
ウクライナはロシア軍の兵力の90%近くを壊滅させたが、ロシアは損失を補い、軍需産業を約3倍に拡大させた。
戦車乗りだった岩田氏が説明する。
「ウクライナ侵攻前、彼らは2927両の戦車を持っていました。今回の戦争で失った戦車は約3000両に上りますが、軍需産業の規模拡大によって現在1750両を保有しています。彼らは生産態勢の大幅拡大で年に200~300両を作り、古い戦車の修理でも年に300両程調達できます。我々は追いつけません」
砲弾の生産でロシアが年産210万発、北朝鮮が230万発で計440万発。
対して米国は40万発、欧州が140万発、チェコなどが50万発で計230万発。
440万対230万で西側はその差を埋めきれない。
兵についても、ロシアは日々、1000人ずつ失っている。
死者は1年で36万人にも達する。
このような犠牲に西側は耐えられないが、プーチン氏は全くひるまない。
こうしたとんでもない状況の下で西側の私たちは敗北するかもしれないのだ。
この事実を岸田首相以下全ての政治家が世界の事実として認識せよ。
国民に世界の実情を知らせ、対策を考え出せ。
問題の元凶は中国だ。
中国を牽制するには彼らが最も恐れている手を打てばよい。
それは軍民共用の物資、石油などの対露貿易決済に携わる中国の大手商業銀行に対し、ドル取引を打ち切ることだ。
田村氏のこの指摘こそ正しいと私は思う。
バイデン米大統領はその影響の大きさに尻込みするだろうが、岸田氏は強く進言するのがよい。
日米欧が協力して軍事関連産業を拡大強化していく国際的枠組みも必要だ。
だが、こうした提言をするには、わが国が憲法改正をやり遂げ、一人前の国であることを証明しなければならないのは自明の理であろう。
2024/7/5 in Okayama