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亡国のエネルギー基本計画見直せ…経済負担と中国依存

2021年08月20日 12時16分18秒 | 全般

以下は6月4日に発信した章からである。
私が、世界最高の学者の一人である古田博司が定義する「直感」で言及して来た事を、真の研究者である杉山大志は世界最高の論文として発表してくれている。
前述したように、彼は東大で学んだに相応しい頭脳の持ち主である。
政界、官界、学界、経済界、言論界には多くの東大出がいる。
にも拘らず、温暖化対策について彼と同様に至極当然な事を言う人間がいないのは何故か?
東大に入って出てくる者も玉石混交であるという事なのだろう。
受験優等生に過ぎない者達も多い事を証明している。
本論文は日本国民のみならず世界中の人たちが必読の、今、最も重要な論文である。
杉山大志は本論文だけでノーベル賞受賞に値する。
だが、本論文が明らかにしている事は、如何に世界は愚かであるかという事でもあるのだ。
ここで簡潔に言える事は、菅首相が、杉山大志のような本物の研究者の意見を聞かずに、あろうことかトラウデン直美等と言う女子大生や、実は、偏差値35の頭脳しか持ち合わせていないポピュリストであるだけの政治屋を環境大臣として重用している愚劣さにあるのである。
私が菅首相を殆ど批判して来なかった事は御存知の通り。
だが、私は杉山氏が指摘し続けている事に菅首相が気づかないとすれば、それは亡国に繋がるとする、杉山氏の論文に私は100%同意する。
菅内閣が彼の本物の論文=真の憂国の論文を理解できないのだとしたら、どうすれば良いか、については後述する。

以下は本日の産経新聞に掲載された彼の論文からである。
杉山大志 キャノングローバル戦略研究所主幹
亡国のエネルギー基本計画見直せ
菅義偉政権の下で温暖化対策の暴走が止まらない。日本のエネルギー政策の根幹を定めるはずのエネルギー基本計画の案にまで無謀なC0₂削減目標が書き込まれた。
日本の経済および安全保障に重大な悪影響が生じかねない。
数字合わせに終始した
昨年秋の「2050年C0₂ゼロ」宣言に続き、今年4月には30年度のC0₂削減目標を、13年度比で従前の26%から46%にまで一気に20ポイントも深掘りした。
いずれも官邸主導である。
良く言えば高い目標を掲げたトップダウンだが、悪く言えば経済や安全保障という重要な国益を無視した暴走だ。 
日本はエネルギー政策の方向性を定めるために定期的に基本計画を策定してきた。
今般の改訂では、C0₂目標の深掘りが反映されることになった。 
環境省の地球温暖化対策計画案では、どの部門でも大幅なC0₂の削減が見込まれている。
30年度の排出削減は、13年度比で、家庭部門で66%、業務部門で50%、産業部門で38%となっている。
また発電部門では、エネルギー基本計画案で30年度の電源構成として太陽光発電等の再生可能エネルギーの割合を「36~38%」とし、3年前に策定された第5次計画の「22~24%」から大幅に引き上げた。
ただし、これまでと異なり、業種や取り組みごとの詳細な削減目安は示されず対策が列挙されるに留まった。経済負担も示されていない。
つまりは46%という削減目標を具体策の裏付けなく振り分けただけで、数字の辻褄合わせに終始した。
実現可能性については、異論が噴出している。
経済負担と中国依存 
いまのC0₂削減幅は13年度比で13%で、僅か9年で46%にする。
13年といえば原子力発電が全て止まっていた年である。
全て再稼働させても26%までの削減がやっとであると見られていたところ大変な目標の深掘りとなった。
計画案で達成手段として挙げられているのは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの大量導入と大幅な省エネである。 
案の検討中には、太陽光発電はいまや原子力発電よりも安くなったという試算も報じられたが、太陽が照っていないときのバックアップのための火力発電のコストなどが入っていないとう、極めてミスリーディングなものだった。 
これまでの太陽光発電の実績はどうかといえば、日本のC0₂を2.5%削減するために毎年2.5兆円の賦課金を国民が電気代への上乗せとして負担している。 
つまりこのペースであれば、20ポイントの深掘りには毎年20兆円が追加で掛かる。
20兆円といえば、今の消費税の総額に等しい。
ということは、46%の目標達成のための追加の国民負担は、30年までに消費税率を20%に上げるのと同程度になる。
深刻な経済負担だ。 
太陽光発電は今後安くなるという主張は多く聞かれる。
だが景観や土砂災害等の問題が顕在化し、コスト増加の要因になる。
のみならず、太陽光発電パネルの世界市場の8割を占める中国製品は、ウイグルの強制労働との関係の疑いが濃厚であり、米国は6月に中国製太陽光パネルの輸入を禁止した。
日本も同様な措置をとるべきだが、計画案ではこの重大な問題を無視し、逆に太陽光発電の大量導入を図るとしている。 
また省エネについても、過大な目標設定の下で経済負担が膨らむことが懸念される。省エネは経済的にメリットがある場合もある。
だが何十年経っても投資資金を光熱費の節約で回収できない筋の悪い省エネ投資も存在する。 
国を誤らせるな 
海外では経済負担が明確になるにつれ国民の反乱がはじまった。 
スイスでは、2030年までにC0₂を半減するという「C0₂法改正案」が検討された。
だがガソリン代の上昇などが明らかになると、反対運動が起き、国民投票で同案は否決された。 
英国政府は、家庭の暖房でガスを禁止して電気式のみにする、といった施策を検討した。
だがその費用が世帯当たりで数百万円に上るという試算が明るみに出ると、ジョンソン政権の保守党議員らのグループが反旗を翻し、再検討を余儀なくされた。 
日本のエネルギー基本計画案にも経済負担が明らかになるにつれ多くの異論が出てくるだろう。 
同案では、数値は「様々な課題の克服を野心的に想定した場合に、どのような見通しとなるかを示すもの」とされている。
どうやって可能かはともかく、実施にあたっては経済負担を抑制し安定供給を確保する、と書いてある。 
同案はパブコメを経て閣議決定される段取りになっている。
それが画餅であり日本の指針にならず、むしろ経済負担と中国依存で国を誤らせるものである以上、閣議決定は見送るのがベストである。
だがもしも閣議決定するならば、数値は強行されるべきではないこと、実施にあたっては経済負担などの負の側面について逐一検討し、必要に応じて柔軟に計画を見直すよう、今一度その性格付けをはっきりさせておくべきだ。

 

     


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