以下は前章の続きである。
朝日にとっての平成
平成の御代を、「反安倍一面トップ」という朝刊で締めくくり、御代替わりを祝う国民に嫌味を言い続ける朝日新聞にとって、この30年はどんな時代だったと言えるのか。
同日の素粒子はこう言う。
サ 30年余、いろいろあった
ヨ 予期せぬ災害次から次に
ナ 涙にくれた東日本大震災
ラ 楽観できない原発の廃炉
へ 平和憲法は解釈改憲され
イ 今や集団的自衛権行使も
セ 正規でなく非正規が増え
イ いつの間にやら格差社会
レ 歴代政権の放漫な財政で
イ いまの国債残高897兆円
ワ 若い世代ヘッケを回した
へ 減る人口で縮む国どこへ
読んで目眩がした。
心に刺さったからではない。
哀れになったからだ。
格差社会の頂点に立ち続けた挙げ句、「若い世代」に見放されたこの素粒子の書き手には、自社の平成30年余の歩みがまったく見えていないようである。
そこで、余計なお世話かとは思ったが、不肖私が、数字と報道内容とで朝日新聞の30年余を振り返ってみることにした。
まず、平成元年の朝日新聞の報道で真っ先に頭に浮かぶことといえば、「サンゴ記事捏造事件」である。
別名「K・Y事件」ともいうこの事件を、若い方はご存じないかもしれないので概略を書いておく。
平成元年(1989)4月20日、朝日新聞夕刊に「サンゴ汚したK・Yつてだれだ」と題した写真付きの記事が載った。
沖縄の、ギネスブックにも載った世界最大のアザミサンゴに、ナイフで「K・Y」というイニシャルの傷がつけられていたという内容の記事は衝撃をもって広がったが、そこには日本人のモラルの低下を嘆いた「日本人の精神の貧しさとすさんだ心」というくだりもあった。
だが、実はこの写真は、朝日新聞のカメラマンが、自らナイフでサンゴに傷をつけて撮った悪質な捏造記事だったのである。
捏造が露見するまでの朝日新聞の対応も最悪だったが、その経緯はここでは割愛する。
どんなメディアにも間違いや誤報はあるが、こんなデタラメをやってまで日本人を貶めようとする新聞社はさすがに他にない。
本来なら、この一件のみをもっても廃刊していておかしくない新聞なのだが、当時の朝日新聞は、朝刊8,108,004部、夕刊4,756,037部という部数を誇っていた(平成元年7~12月・ABCデータ)。
この稿続く。
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