今後6年間で300万台の上積みを狙う日産自動車の中期経営計画は、2008年秋のりIマンーショツク前のトヨタ自動車と同じくらい速いペースとなる。トヨタは急激な国際化に品質管理が追いつかず、大量のリコール(回収・無償修理)を招く結果となった。だが、仏ルノー会長を兼務する日産のカルロス・ゴーン社長にためらいはない。
自前で海外拠点を築くトヨタやホンダと異なり、日産の海外戦略の強みはルノーの工場や資本提携している自動車メーカーを存分に活用できる点にある。その分、投資負担が少なくて済む。ルノーが先に25%出資していたアフトワズを、共同買収するケースでも同じことがいえる。 。
成長著しい新興国を見渡せば、中国には東風汽車、インドではアショック・レイランドやバジャジ・オートヽルーマニアにはルノー子会社のダチアかおる。ロシアを押さえることで、主要地域をカバーする体制が整う。
日産の世界販売台数はルノーと提携した1999年、約260万台にすぎなかった。10年度は過去最高の419万台に達した。業績不振に陥っていた日産がルノーの経営資源を最大限に活用した結果といえる。
「ゴーン社長が掲げる最後の中期経営計画になる可能性もある」(日産幹部)とされる今回の計画では、ルノーとの融合が進む。日産・ルノー連合では16年度に「世界販売1000万台超」が視野に入る。両社で部品や車台の共通化をさらに進めてコストを削減し、世界首位を狙う。
日産・ルノーの世界販売合計に占める日産の比率は、16年度に7割を超える見通し。ルノーが資本の論理で日産を支配しつつも、’実態は日産の成長力に依存する構図がより鮮明になる。現在、ルノーは日産に44・3%、日産はルノーに15%を出資しているが、資本構成の見直しが今後の課題となりそうだ。