文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

神鋼、米で小型炉新設 原料安価・投資も小額…日経新聞8月31日13面より

2011年08月31日 14時48分11秒 | 日記
【ホイットレイクス(米ミネソタ州)=中尾良平】
神戸製鋼所は安価な原料が使え、設備投資額も小さい次世代製鉄プラントを米ミシガン州に建設する。米社と共同で2012年春に着工、14年の稼働を目指す。投資額は約2億3000万ドル(約180億円)とみられる。

すでに稼働しているミネソタ州のプラントは生産を倍増させる。資源価格が高騰する中で、生産コストを抑えられる新技術の普及を急ぐ。米資源会社クリフスナチュラルリソーシズと組んで建設するプラントの年産能力は50万トンと、現在主流の高炉より一桁小さい。だが、高炉では使えないような低品位の鉄鉱石を原料にして鉄をつくれるのが特徴だ。

高炉は大量の鉄を効率生産するのに最適だが、使用する鉄鉱石や石炭も多く、港湾施設が整った臨海部につくられる。一方、神鋼のプラントは小規模で投資額も小さいため、鉱山近くの内陸部にも設置できる。

低品位の鉱石や粉末状の鉱石をその場で鉄に加工でき、高炉で生産した鉄と品質も遜色ないという。資源会社にとっては未利用資源を商品化できる有力な手段となる。

海外に高炉をつくる場合、大量の鉄をどう売りさばくかが課題。だが、新工法なら各国・地域の市場に応じた適正規模で、原料から自動車用鋼板など最終製品までの一貫生産体制を構築できる。

次世代プラントの商用1号は10年、米鉄鋼会社スチール・ダイナミックスと組んでミネソタ州で稼働させた。これも来年6月までに生産量を現在の月2万トンから4万トン強に引き上げる。

このプラントは基幹技術には問題はないとみているが、原料が当初計画から変更されるなどしたため調整に手間取り、予定の生産量を確保できずにいた。9月から10億円程度を投じて原料の選別装置や設備の冷却装置などを改良。フル生産体制を確立する。

新興国でも新工法を展開する。インドでは国営鉄鋼大手SAILと西ベンガル州での工場新設について、今秋から詳細な事業化調査に乗り出す。同社が所有する鉱山で生産する鉄鉱石のうち、低品位なものを使う予定。SAILは生産した鉄の塊を自社の鋼材原料として活用するという。

新日本製鉄やJFEスチールなど高炉大手は現地メーカーと組み、海外に高炉を建設する計画を進める。一方、神鋼は海外では小回りの利く新工法を各地に展開し、他社と一線を画す方針だ。

鉄鉱原料は中国をはじめとする新興国での需要増大で、過去最高値圏で推移している。神鋼の取り組みが軌道に乗れば、他社も高炉一辺倒の戦略を見直す可能性もある。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。