今朝、新聞の下段広告で今日発売の週刊新潮の広告を見た友人が、「あなたが今回の集中豪雨等の異常気象について書いた推論を、週刊新潮の編集部は読んでいたのではないですか」、と言って、週刊新潮を買って持って来てくれた。
読者も私の論説がまたしても100%当たっていた事を知るだろうが、もっと酷い現実として当たっていたのである。
同時に私は菅直人、孫正義、福島瑞穂の3人と朝日新聞などのメディアやNHKの報道部に対して、これ以上ない怒りを覚えた。
統一された形としてからなら2,600年、美しい国土で美しい心を育んで来た日本、この日本を愛する全ての日本人が今叫ぶべき言葉は
ストップ・ザ・太陽光発電!太陽光発電開発の即時全面禁止!
3,000kw以上の化石燃料による発電の即刻中止!原発54基の再稼働即刻開始!である。
何故なら、それ以外に私たちが、私たちの国土を荒廃させる悪党たちの目論見から国土を救う道はない事を知るための時間は、もう残されていないのだから。
見出し以外の文中強調は私。
ツケを払わされるのは被災者!
「太陽光エネルギー」という人災
夢物語はあくまでも夢のなかの話で、現実ではない。
クリーンで環境への負荷がないと喧伝された太陽光エネルギーも然り。
環境へ配慮すべく、日本列島のそこかしこに敷きつめられた太陽光パネルがいま、人災として私たちに襲いかかろうとしている。
人は切羽詰まると「藁にもすがる」という。
たとえば2011年の東日本大震災では、多くの人の心が潰えた。
とりわけ福島第一原子力発電所の事故では、漏れ出した放射能に世界が震撼した。
太陽光エネルギーを中心とした再生可能エネルギーに過剰なまでにすがったのも、無理はない面がある。
原発の有用性を説くことがタブーとなる一方で、代替策として再生可能エネルギーを導入すれば、ばら色の未来が開けるかのように説かれた。
その際、先頭に立ったのが、当時の菅直人総理である。
経済部記者が解説する。
「政府は12年、太陽光などの再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が高値で買い取る固定価格買取制度を拡充。当時、電力会社が既存設備で発電する際の単価は1キロワット時当たり6円程度だったのに、菅政権は再生可能エネルギーにかぎって、同42円という破格の値段で買い取ることにしたのです。
買い取りの単価自体は現在、20円ほどにまで下がりましたが、国民が賦課金として負担している再生可能エネルギーの買い取り総額は昨年、2.7兆円にも達しました」
現在、太陽光エネルギーによる電力は日本の総発電量の3%。
そのためにこれほどの費用を国民が負担しているのだ。
ちなみに電力の総売り上げは20兆円程度。
それでも、夢物語を地上に現出させるための原資であるなら価値もあろうが、「藁」にすぎなかったとしたら―。
15年9月、茨城県を流れる鬼怒川の堤防が豪雨によって決壊した。
実は、民間の太陽光発電事業者がパネルを設置するため、自然堤防を掘削したことが要因だった旨が明らかになっている。
これでは夢物語どころか悪夢だが、今回の豪雨でも事故は起きていた。
7月5日には、神戸市須磨区の斜面に設置された太陽光パネルが、約400平方メートルにわたって崩れ、すぐ下を通る山陽新幹線が一時、運行を見合わせた。
続いて7日には、兵庫県姫路市の傾斜地で、太陽光発電施設がおよそ3600平方メートルにわたって崩落した。
「あそこは太陽光発電所ができてから、土砂が国道に流れこんで問題になっとったんや。この辺りには太陽光の発電所が3つあって、2ヵ所は山崩して造っとるから怖いよな」
と語るのは姫路市の現場の近隣住民。
別の住人も、「今回崩れたのはたまたま全体の真ん中でしたけど、下のほうが崩れていたら、国道を走るクルマや、国道沿いの家にぶつかっていたかもしれません。次の大雨のときにどうなってしまうか、怖くて不安です」
しかし、同様に危険な箇所がいま、全国にどれだけあるか、もはや見当もつかない。
太陽光パネルはそれほど全国津々浦々で国土を侵食しているのだ。
「菅政権の政治主導で、太陽光パネル設置の規制が緩和され、事実上、無許可でどこにでも設置できるようになった。その結果、全国各地で森林が伐採され、パネルで覆われ、国民負担のもとに環境が破壊されることになったのです」と、先の記者。
東京工業大学特任教授の奈良林直氏も、こう語る。
「固定価格買取制度が合法的な搾取システムなのです。電気を使えば、いままでより電気代を約10%余計に徴収され、生活弱者にとっては迷惑な話。一方、お金持ちにとっては、いまも年11%の利回りになる、よい投資先です。このため太陽光バブルは続き、太陽光パネルの乱設につながっているんです」
災害警戒区域をハゲ山に
残念ながら、当時の菅総理たちは太陽光エネルギーが「藁」である可能性、すなわち負の側面には一切目を瞑った。
菅氏にせよ、小泉純一郎元総理にせよ、いまなお「太陽光発電を増やせ」の一点張りで、藁にすがり続けるかのように、負の面が目に入らないらしいのは、不思議である。
ともかく、現実にはすでに述べた愚策のせいで、危険は差し迫っている。
今回の被災地の近くでも、大規模なメガソーラーの開発は目白押しだ。
岡山県美作市の作東地区では、来年秋の稼働をめざし、東京ドーム87個分相当の約410ヘクタールの斜面が削られつつあり、住民は悲鳴を上げる。
「いま木を伐採して根を掘り起こしてるから、ちょっとの雨でもな、土が山から落ちて川が濁るんよ。完成したら土砂が大変なことになると思って反対しとったんやけど、土地を買われてしまうと、どうしようもないんやな。業者は下に流れ出んように3つ、ダム造るって言うけど、豪雨がきたらたちまち埋まってしまうんやて。木の根も掘り起こしてしまうけん、土がどんどん下に落ちるのは当たり前やな。発電所が完成して豪雨が来たら、山が崩れ落ちてしまうわ」
また岡山市大井地区でも、東京ドーム39個分に当たる約186ヘクタールの森林を切り倒し、メガソーラーを設置する計画が進んでいる。この地区の連合町内会長の萱野英憲さんが懸念する。
「昨年2月に計画を知ったのですが、東京の業者が木を切ってハゲ山にし、27万6000枚もの太陽光パネルを設置するそうです。すでに土地の9割近くを取得したとか。平地には適当な場所が少なくなっていますが、パネル自体が安くなっているので、山林が狙われている。山を切り開く工事費を差し引いても儲かると考えているのでしょう。日本中あちこちで同じことが起きています」
エコの旗印の下、防災より私企業の利潤が優先されているのである。
「今回、この辺りでも土石流が発生し、亡くなられた方もいます。計画地の直下流域は、多くの場所が土砂災害警戒区域です。専門の方に聞いても、開発予定地は真砂土という柔らかい土で、コナラなどが根を張ることで、なんとか地盤を支えているのだとか。だから今回の豪雨では、着工前なのに土砂崩れが起きた。それなのに広大な面積で木を切り倒せば、もっとひどい山崩れが起きそうで恐ろしい。県や市にも、要望書や反対決議書などを提出していますが、岡山は県を挙げて“晴れの国おかやま”と謳って、太陽光発電を誘致していますから……」
“晴れの国”が土砂災害ののちの炎天下のことだとしたら、洒落にもならない。
前出の、防災や水理に詳しい中央大学理工学部の山田正教授も言う。 「一般論として、山はそこに生えている木の根が表土を支え、斜面の表層の崩落や崩壊を抑え込んでいます。だから、木がなくなれば表面が滑り、土砂崩れは起こりやすくなります」
エコとはほど遠い
それにしても、今日の太陽光バブルは、福島の教訓を少しも生かせていないのではないか。
東京大学大学院の岡本孝司教授は、「福島の事故は、地元の人たちに大変な迷惑がかかった。同様に太陽光発電についても、行政がしっかり管理していく必要があります。ところが、太陽光は急に事が進んだため、規制がまったくないのです」と指摘して、続ける。
「ソーラーパネルを山の斜面に置くなど最悪。安全面を考慮し、なにもないだだっ広い場所に置くべきです。ところが現状、造ろうと思えばだれにでも、どこにでも造れてしまう。その結果、山梨県北杜市のように、山林を伐採した急斜面にソーラーパネルが乱設されたり、長野県諏訪市の国定公園周辺を丸裸にしてパネルを置こうとしたりするケースが、問題になっています」
それが周辺の住民にどれだけ迷惑をかけることになるか、考えられていないというのだ。
また岡本教授は、太陽光発電の本質的な弱点にも触れる。
「夜中に発電できないことですね。また、雨や雪の日はもちろん、少し曇っただけで発電量はかなり下がる。ですから、太陽光発電を利用するためには、日中に発電した電気を大量に溜めておける蓄電池が重要ですが、現在の蓄電システムは機能が不十分。イノベーションが不可欠ですが、いまの技術力から考えると、ここ10年、20年で十分な性能で安価な蓄電システムを開発するのはとても無理です」
前出の奈良林氏が補う。
「日本では太陽光発電が可能な日照時間は、1日平均6時間程度。晴天率は50%ほどなので、太陽光発電の実質稼働率は12.5%にしかなりません。しかも電力シェアはわずか3%。これに水力や風力を加えて、再生可能エネルギーは14%で、残り約84%を火力発電に頼っている。しかし、火力発電はCO2を大量に排出し、最も環境にやさしくないわけです」
原発の大半が稼働していない日本は、ヨーロッパ諸国との比較でもエコとはほど遠いという。
「日本は発電量1キロワット時当たりCO2を540グラム排出していますが、これは世界でも最悪レベル。ヨーロッパは平均311グラムで、中では日本と同様に原発を半分止め、石炭による火力発電に切り替えているドイツが、450グラムと多い。一方、電力の78%を原子力で補っているフランスは46グラム、49%を風力から生み出しているデンマークも174グラム。要は、声高にエコが叫ばれている日本こそが、エコではないんです」
さらには、こうして排出されるCO2が、以前なら未曾有であった豪雨を頻繁にもたらす地球温暖化の元凶とされているのは、ご存じの通り。
危険性が一顧だにされない太陽光発電、結果としてもたらされるCO2の増加と気候変動。
わが国はもはや、人災を幾重にも上塗りしていると言っても、過言ではあるまい。
では、どうすべきか。
岡本教授は、「太陽光発電が勝っている部分も、原子力発電が勝っている部分もあるので、両方を上手に使っていかなければいけません」 と、こう提言する。
「太陽光パネルも、悪質なケースがあるからすべて悪い、と結論づけるのは間違いで、きちんとやっている業者のほうが多い。原発もほとんどはまともで便利なものなのに、福島の事故で全部がダメだと思われてしまった。でも、一部だけを見てマルやバツをつけるのではなく、全部を見て判断すべきなのです」
この世に不老長寿がないように、負の面がない策もエネルギーもない。
だから太陽光にせよ、原子力にせよ、正と負のそれぞれを冷静に見極め、上手に利用し規制すべきは厳しく規制する。
人災を防ぐにはそれしかない。
問われるのは藁にすがらないこと、すなわち冷静でいることである。