文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

ここらでお笑いを一席 節電不仲でますます暑い…AERA8月29日号より

2011年08月23日 11時13分28秒 | 日記
ライター 福光 恵

節電不仲-。
節電を火種にした争いは実は方々で起きている。真っ先に軋轢が生まれたのは、家庭だった。

たとえばこんなの。
40代のタカシさんは会社帰り、量販店で買った大きな荷物を手に帰宅の途についた。中身は、「扇風機」と「電動かき氷機」。妻へのプレゼントだった。「ほら一日中、テレビを見ていると、エアコンは悪だ、電気の無駄遣いだって、すり込まれるでしょう。妻はすっかり洗脳されて、この夏、ほとんどエアコンを使っていない。

そりゃ僕だって、暑い中帰ってきたら、エアコンで涼みたいですよ。でも妻の、鬼気迫る節電への取り組みに、とてもしゃないけど、『エアコンつけて』なんて言えない」前日、タカシさんが帰宅すると、足元もおぼつかない、へろへろの妻が出迎えた。

この日は風がなかったせいか、日当たりのいいマンション5階の部屋は、熱気をため込んで熱帯植物園の温室状態。夜になっても、エアコンの液晶温度計は「室温33度」を示している。

子どもたちが妻の実家に行って家にいないこともあって、妻は首に巻いた保冷剤とタンクトップ、短パンで1日、書いてるだけで暑いこの部屋で、エアコンオフを貫いたという。

努力を無にする存在

部屋に入るなり、ますます汗が噴き出したタカシさんは、ビール補給に冷蔵庫に走る。すると、中は食べ物でパンパン。熱帯雨林化した部屋に置いておくと傷むので、食べ物は片っ端から冷蔵庫に入れることにしているらしい。お楽しみのビールも、気のせいかぬるいんですけど。

「エアコンより、冷蔵庫を整理したほうが節電になるんじゃないか? これじゃ、熱中症になるぞ」
暑さのイライラも手伝って、思わず口をついたタカシさんの注意に、妻の顔色がさっと変わった。

「私の仕事に口を出さないで」 驚いたことに、首に巻いたタオルで、涙まで拭いてるじゃないの。いや、これはすべて33度の部屋の、黄色みがかった極限状態のせい。そう思うことにして、タカシさんはぬるいビールを流し込んで、口をつぐんだ。

翌日、仲直りの意味も込めて購入したのが「扇風機」と「電動かき氷機」というわけだ。
タカシさんは言う。
「どっちも電化製品っていうのが、引っかかりますけど(笑い)。しかし今年ほど、秋が待ち遠しい夏もないですね」

おつかれ!

…後略。
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最後に伊藤元重さんの略歴を見れば、彼は私のほとんど同級生ではありませんか。

2011年08月23日 10時09分54秒 | 日記

例えば、元重さんよ、貴方が私の発想に至る為の、いくつかのヒントを提示したいと思う。

最後の部分から一つ言えば、「不幸の原因はみんな異なる」、ここにも大きなヒントがありますよ。
もう一つ、世界経済にとって景気が回復軌道に乗ってくれるのが一番の良薬である。まさにその通りです。

問題は、あなたにも、財務省という、財務省の考え方というか、財務省の人脈というか、財務省にいる人間というのは、貴方にとっても私にとってもそうなのだが、同級生や先輩、後輩のようなもの。

私は全くのアウトサイダーとしての人生を生きてきたから、幸いな事に我が人生の中で、財務省のエリートと話をした事はない。
一方、貴方は、頻繁に話をする事があるだろう。
その結果として貴方の見事な頭脳にも、否応無しに、この20年超日本を覆ってきた、…つまり、たった3万人ではあるのだが、口を開けば言うところの発想=消費税増税、そういうバイアスがかかってしまっているのでしょう。

景気の悪影響を懸念して増税に踏み切れない結果、とあなたは書いている。
伊藤元重さんよ、一度、この増税という発想、観念を頭から外してみたらどうか、
そうすれば、私の発想があなたにも宿るかもしれない。

一番のヒントは、あなたが日本という国をどういう風に考えているか、
或いは、自分の力で、自分の頭脳なら日本の国は救える、
日本はそういう国だと、
日本が潰れたり、縮んだりすることは、ありえないし、その事の方がおかしいのだと。

日本は、どんな国かを認識すれば、私の答えに到達するかもしれない。

何故、日本は元に戻らなければ駄目なのか。

まあ、私の「文明のターンテーブル」を是非ご購読下さい。

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世界経済にとって、景気が回復軌道に乗ってくれるのが一番の良薬。…日経新聞8月22日19面より

2011年08月23日 10時04分47秒 | 日記

伊藤 元重 東京大学教授
いとう・もとしげ 51年生まれ。ロチェスター大博士。専門は国際経済。

…前章からの続き。 文中黒字化は私。

世界経済にとって、景気が回復軌道に乗ってくれるのが一番の良薬である。経済が回復基調になれば、すべての厄介な問題を当面カバーしてくれるからだ。残念ながら、今の景気はそういう状況にはない。ギリシヤなどで始まった財政問題が欧州のより広範な地域に波及すれば、回復基調であったユーロ圏の経済の足を引っ張るだろう。

米国の景気先行きにも悲観的な見方が多い。大統領選を控えて、大胆な経済政策を打ち出すことは難しい。頼みの綱は金融政策だが、量的緩和第3弾(QE3)も含めて特効薬になるとも思われない。

日本では復興需要で年後半の景気回復に期待は持てるが、中長期的に経済成長につながるような政策はすべて頓挫してしまっている。
世界経済の回復が遅れるほど、ソブリンリスクの危険は拡大していく。背景に違いはあるものの、日米欧すべてで国債への資金シフトが起きたことが、この問題をグローバルな存在としている。

今や日本の財政問題は日本だけの問題ではない。欧州や米国で国債価格が下がるような動きがあれば、日本だけがその動きから遮断されることはあり得ないからだ。ソブリンリスクとは、財政リスクというより金融リスクである。国債市場におかしなことが起きれば、それは国債を大量に保有する金融機関の問題となる。

リーマン・ショックのとき、あるいは90年代の日本の金融危機のとき、金融機関が保有しているリスク資産の規模が問題となった。しかし、金融機関が保有している資産の規模をみると、国債の規模の方がはるかに大きい。

トルストイの話に戻ろう。不幸の原因はみんな異なる。この問題を解決するには、日本、米国、欧州がそれぞれの財政問題に手を打つしかない。リスクが金融危機として顕在化するのか、それともその前に有効な手を打てるのか、政治の力量が問われている。

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少しでもましな資産への逃避…日経新聞8月22日19面より

2011年08月23日 09時54分20秒 | 日記
伊藤 元重 東京大学教授
いとう・もとしげ 51年生まれ。ロチェスター大博士。専門は国際経済。

…前章からの続き。  文中黒字化は芥川。

リーマン・ショツク前に、こうした動きに少し変化が出てきているようにもみえた。物価はデフレ脱却の気配を示し、10年物国債利回りも1・8%近い水準まで上昇した。しかし、リーマン・ショツクで内外の資金が一斉に質への逃避を起こすことで、元の状態に戻ってしまった。

景気が悪いときには財政赤字を積極的に出して経済を刺激し、景気が良くなったときに借金を返していけばよい。これがケインズ的な経済政策の考え方だ。リーマンーショツク後の各国の大胆なケインズ政策の実行は、ケインズ政策が大きく復権した証しであった。ただ、残念なことに「景気が良くなったときに借金を返していけばよい」という部分が怪しくなっている。

リーマン・ショツク後まもなく、中国などの新興工業国経済は急速な回復を示した。新興国経済が引っ張る形で世界経済が回復していけば、ケインズ政策は成功といえるはずであった。残念ながらこうしたもくろみは崩れかかっている。

新興国経済は過熱に苦しみ、先進国経済の回復は期待通りの形で進んでいない。景気回復が遅れるほど財政への負荷は大きくなり、そうした中で各国が抱える財政問題は深刻さを増している。


市場は国債格付けの引き下げに注目し、それに反応する。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格下げでマーケットは大きく動き、フランス国債格下げの噂話だけで動揺している。日本国債がさらに格下げされれば、大変な状況になると警鐘を鳴らす市場関係者もいる。

格付け会社には問題もありそうだが、それでも格付けにこれだけの反応が出るということは、市場はそれだけ国債のリスクを意識し始めているのだろう。

日米欧のすべての地域でソブリンリスクが意識されるようになると、質への逃避もおかしな形をとり始める。より安全な資産への逃避というよりは、(どれにもリスクがあるが)少しでもましな資産への逃避ということになる。

円が買われ続けるのもその結果である。
円高になるのは、日本経済が強いからではなく、ユーロやドルヘの不安感がより強いからである。しかし、こうした「敗者競争」のランキングは容易に変わりうる。日本の政策運営への不安感が高まれば、急速な円安方向に振れる可能性すらある。

ソブリンリスクは厄介な代物である。ギリシャや英国で起きている暴動は、財政健全化が政治的にいかに難しいかを物語っている。日本では国民の反発を恐れて政府は財政健全化に着手できない状態が続き、財政状況の劣化が進行している。

財政健全化策という劇薬に手を付けて国民の反発を受けるのか、それとも国民の反発を恐れて財政健全化から逃げ続けるのか、どちらにしても大変な問題である。

…以下続く。
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質への逃避 日本における家計部門の金融資産の増加が目立つ…日経8月22日19面より

2011年08月23日 09時31分07秒 | 日記
伊藤 元重 東京大学教授
いとう・もとしげ 51年生まれ。ロチェスター大博士。専門は国際経済。

…前章からの続き。 文中黒字化は芥川。

全体として経済は順調に回復していたが、ギリシヤやポルトガルといった一部の国が深刻な財政危機に陥ったために混乱が続くユーロ圏。政治の対立から財政関連の法案が通らず財政に緊張感が走った米国。

そして長引くデフレの下での税収不足と財政健全化への政治的決断ができないまま債務が拡大し続ける日本。それぞれ背景は異なる。この点に留意することが重要だ。

背景は違っても、結果的にはグローバルソブリンリスク(政府債務の信認危機)という大きな危機が世界経済を覆い始めている。リーマンーショックから3年しかたっていないが、世界経済は次の大きな危機に直面している。

いうまでもないが、今回のグローバルソブリンリスクはりーマン・ショツクと深い関係がある。50年に1度といわれるリーマン・ショツクは世界経済にとって大きな危機であり、各国がとった政策的な対応は先例のない大きな規模のものであった。大規模なケインズ政策と前代未聞の大胆な金融緩和政策が実施された結果、多くの国で財政に過度な負担がかかり、政府債務の膨張という形になった。


皮肉にもりーマンーショックにより起きた金融混乱が、政府の財政運営を助ける結果になった。サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題やリーマン・ショックで、資金は安全資産への逃避先として国債に向かった。

これを「質への逃避」(fly to quality)という。国債市場の視点からみればケインズ政策の財政負担から国債の供給は拡大しているのに、質への逃避から国債への需要はそれ以上に強くなっており、大量発行にもかかわらず国債価格は高値(利回りは低い状態)で推移した。


リーマン・ショック以降実施されてきた大胆な金融政策も、国債利回りを低くすることに貢献してきた。中央銀行は積極的に国債を買い増し、政策金利を下げていった。大胆な金融緩和にもかかわらず、当面インフレが懸念されるような状況にはなかった。

日本では国債への逃避は1990年代後半の金融危機以降ずっと続いている。デフレマインドが定着する中で、企業も家計も支出を抑え、金融資産の保有を増やしている。グラフは主要国の家計部門の金融資産額(負債を引いたネット)の年間可処分所得に対する比率を示したものだ。

96年と2006年を比べると、日本における家計部門の金融資産の増加が目立つ。企業や家計で増えた金融資産が流れ込む金融市場では、質への逃避からその多くが国債などの安全資産に回った。

この間、日本政府は金融危機対策や経済対策で大幅な財政赤字政策を続けてきた。景気への悪影響を懸念して増税に踏み切れない結果、膨大な国債の増発が続いているが、金融市場での国債購入意欲はそれを補って余りある状況だ。

…以下続く。
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