Sun Set Blog

日々と読書と思うコト。

水曜日と木曜日と

2008年08月01日 | Days

 今日一番驚いたのは、『ノルウェイの森』が映画化されること。
 しかも監督が『青いパパイヤの香り』、『シクロ』、そして『夏至』のトラン・アン・ユンであること。
 村上春樹も(当然)OKしたから進んでいる話であること。
 配役はまだ決まっていなくて、公開は2010年の予定であること。

 ものすごく複雑な感じだけれど、同時にものすごく期待してしまっている部分もある。
『ノルウェイの森』は個人的なオールタイムベスト10に絶対に入る作品で、思い入れだってものすごく強い。その映像化が変なものだったら憎しみさえ覚えてしまいそうだけれど、同時にトラン・アン・ユンならあの静謐で、あらゆる境目をゆっくりとたどっていくような世界を独特の視点から映像化できるんじゃないかと思ってみたりする。
 あー、なんだかすごく楽しみだ。絶対にこれは映画化できないだろうとずっと思っていて、こういう変化球でくるのかーと驚いてしまった。それは別に日本人じゃないからやってくれそうということではなくて、化学反応のような新しい側面に光が当たるような期待感があるということなのだと思う。

 何はともあれ、2010年はまだまだ先の話だ。どんな女優が緑の役をするのだろう? というのが個人的にはとても楽しみ。
 直子とか緑とか、絶対にこの役をやりたかったんですっていう女優はものすごーく多そうですよね。


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 水曜日は休日。消化できていない休みが溜まっていて、それを消化するための平日休み。
 朝昼ごはんにパスタを作って食べる。具は冷蔵庫に入っていたなすびなど。
 食べ終わって食器を洗ってから、コーヒーを飲んで一息つく。数年前にネスプレッソの機械を購入していて、定期的にカプセルをインターネットで注文している。結構苦い味のものも多いので、朝に気付的に飲むことが多い。休日の午前中、のんびりとコーヒーを飲むのだからのんびりしていていい感じだ。

 出掛ける準備をして、最寄り駅まで歩く。
 行き先は国立新美術館。「ウィーン美術史美術館所蔵静物画の秘密展」を見に行くことにしていたのだ。
 ただし、厳密に言うとその展示会も興味を惹かれはしたのだけれど、佐藤柏可士和がアートディレクションした国立新美術館自体を見てみたいということもあった。昨年『佐藤可士和の超整理術』と、その妻でクリエイティブスタジオ『SAMURAI』のマネジャーである佐藤悦子の『SAMURAI 佐藤可士和のつくり方』の2冊を続けて読んだときから、興味を持っていたのだ。

 地下鉄を乗り換え、乃木坂で降りる。6番出口から新国立美術館は直結で、独特の建物に入ることができる。よく写真などで使われている波打った壁は地下鉄駅側からはよくわからず、とりあえずチケットを購入して中に入る。黒川紀章が設計した建物は、開放感があって広い割りにその広さを負荷に感じさせない作りになっている。14000平方メートルにも及ぶ展示スペースがあるにも関わらずコレクションを持たない美術館であり、静物画の秘密展の隣で毎日書道展が開催されていた。他にも、公募展や自主企画展、共催展などが随時開催されているらしい。

 この国立美術館でありながら、様々な新しい試みに満ちている美術館のシンボルマークとして、佐藤可士和は「新」という文字をメインにもってきた。当初のコンペの条件としてイニシャルを用いた「NACT(National Art Center,Tokyo)」をモチーフにすることというのがあったらしいのだけれど、ビジョンを突き詰めて考えた結果様々な新しい試みがされている場所であるというコアな部分から、佐藤可士和だけが漢字を中心に据えたシンボルマークを提案した。そして、当初の発注者側の縛りのようなものから外れているにもかかわらず、その理由やデザインが本質的な部分を押さえていたからこそ、結局その案が採用されることになる。

 そのシンボルマークをあらためて見る。その辺の事情を著書で読んで知っていた分、シンボルマークひとつにも考えさせられる。印象的で忘れ難いマークだと思う。当初の「NACT」案から離れてこの漢字ベースのマークを採用した人たちも、作り手同様に柔軟な発想ができる人なのだろう。

 一方、静物画の秘密展では、メインの絵のひとつであるヤン・ブリューゲル(父)の『青い花瓶の花束』がやっぱりすばらしかった。必ず花の実物を見て絵を描いたというブリューゲル(父)は、様々な花のデッサンを行っており、その大量のデッサンをベースにこのありえない花束を描き出した。盛りの時期も違うたくさんの花々をひとつの中に閉じ込め、リアルな生物画でありながら、現実には存在し得ない花束を生み出した。リアルなのに幻想的、そういう相反するような要素が同居しているのは奥行きを深めている。

 平日にも関わらず展示会は混み合っていて、たくさんの人が思い思いのスピードで絵の前を横切っていく。もっとずっと若かった頃、たとえば10代後半の頃には、全部の絵をちゃんと見なくちゃというような思いがあった。真面目だったのだろうし、こうあるべきというような頑なさがあったのだと思う。ある程度年をとってきて、いくつもの美術館を訪れるようになって、その辺は大分柔軟に(あるいは適当に)なってきている。てくてくと歩きながら、気に入った絵の前では時間をかけて、あるいはちょっとルール違反だけれど逆に歩いて戻ってみたりする。それほど惹かれない絵の前はすぐに通り過ぎてしまう。乱暴と言えば乱暴だけれど、時間は限られているのだ。好きな絵、惹かれる絵に時間をかけて、そうでない絵には時間をかけないことは悪いことじゃないのだと思えるようになった。そういうのもたぶん成長のひとつの発露のようなものだと思う。単に面倒くさがりでいい加減になっただけなのかもしれないけれど。

 美術展を見終わった後は、地下にある「スーベニア フロム トーキョー」で雑貨を見る。シボネが経営しているミュージアムショップで、セレクト雑貨の店のような雰囲気。こういう店は楽しいのだけれど、難しいのだろうなといつも思う。こういった店が好きなセンスのよい人は、こだわりがあって、そのストライクゾーンに入ったものであれば購入するだろうけれど、そこから外れたら見向きもしない。しかも人の数だけ微妙に(あるいは決定的に)ストライクゾーンが異なる。それらにできるだけ多く最大公約数的に応えようとする品揃えはどうしたって難しい。だからこそ購入頻度が少なくなるし、そうなれば大商圏でしか存在し得ないし、価格だって高くなる。でももちろん、地方に量販店があって、大都市にこういった店がないと消費世界の裾野は広くならないし、多様性だって失われてしまう。
 難しいなと、あらためて思う。
 カメラの形をしたカレイドスコープと、国立新美術館のロゴ入りサクマドロップ(!)、何枚かのポストカード、そしてSECCOの廃キーボードを利用したマグネットを購入する(文字はいくつかあったのだけれど、「HELLO」のやつ)。帰りの地下鉄駅のホームで、さっそくサクマドロップを1粒なめる。緑色。昔よく食べたなあと思う。何年ぶりだろう? また、さっそくカレイドスコープ越しに様々な景色を見る。虫の複眼のように同じ景色がいくつもに見える。かなり楽しい。これで本棚を見ると結構おもしろい感じ。

 美術館を出て、再び地下鉄を乗り換えて最寄り駅まで戻ってくる。近くのケーキ屋(お気に入り)でミルフィーユとマカロンを購入し、部屋に帰ってから紅茶を沸かしてケーキを食べる。そして、電車の中で読み始めた『のぼうの城』の続きを読む。これは、豊臣秀吉が北条氏を征討に出た際に、石田光成が攻めてついに落城することができなかった忍城の攻防戦を描いたものだ。タイトルにもあるのぼうというのはでくのぼうの略で、そう揶揄されるのも当然の何を考えているのかわからないでくのぼうな男が主人公だ。
 人物が生き生きとしていて、それほど豊富とはいえないだろう史実から、魅力的な物語を作っているのだと思う。先の展開をほのめかし気味な文章がちょっとくどい部分もあったけれど、マニアックな題材だけに、興味を惹くためにはそういう仕掛けも必要だったのかもしれない。
 映画か年末のテレビ特番かになるような感じ。

 夕方、Amazonで注文していた本が届き受け取る。
 いつもより早く、20時前にジョギング開始。休日なので、12km走る。1kmあたり4分58秒のいつもと変わらないペース。

 帰ってきて洗濯機を回し、お風呂に入り、それから夕食を作る。仕事の日はほとんど夕食を作らないのだけれど、休みの日はせっかくだからと作る。エビのリゾットを作る。黙々とブラックタイガーの皮をむき、包丁で切れ目を入れていく。エビを炒めた後(エビっていつも思うけれどすごくよい香りがする)、残った油でごはんを炒めはじめる。白ワインと熱湯で順に煮ていきながら、少しずつごはんを柔らかくしていく。お酒をそもそもあまり飲まないので、お湯だけで煮ればよかったかなと少しだけ思う。リゾットに出来合いのサラダ、それからスーパーでやっていた豆腐フェアで買ったおぼろ豆腐(生姜風味のたれつき)と一緒に食べる。飲み物はペリエ(ライム風味)と一緒に。最近ペリエがお気に入りで、冷蔵庫には常に2本常備しておく。瓶のサイズがあまり大きくないので、買い置きしておかないとなくなってしまうのだ。
 難点は他の飲料に比べるとちょっと高いことだけれど(近くのスーパーでは750mlで298円)、煙草も吸わないのでそれくらいの贅沢はいいだろうと思っている。ささやかな贅沢(これくらいで贅沢というのもどうなのだろうという感じもするけれど)というやつだ。それに、炭酸がどうしても飲みたいけれどコーラはちょっとなあというときに、ぺリエの炭酸は喉に小気味よいし。ジョギングの後はついつい水分を求めすぎて水やらスポーツ飲料やらを飲みすぎてしまうのだけれど、ペリエだと炭酸なのでそんなに飲まないし。
 食器やフライパンを洗って、翌日の準備をして眠る。


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 木曜日は 7時半に会社に到着し、20時過ぎに会社を出る。金曜日がいつものように休日なので、休日前夜のお約束であるレイトショーへ。ジャッキー・チェンとジェット・リーが競演している『ドラゴン・キングダム』を観る。別にそれほど観たい! というわけではなかったのだけれど、せっかくの習慣なのでレイトショーには行こうということでほとんど期待もせず観る。
 でもその分気楽に楽しめた。カンフーものはやっぱり単純に楽しい。ファンの人にはジャッキーとリーの競演というだけでかなり嬉しいものらしいけれど、あまりその点はよくわからない。ただ、2人のバトルシーンなどは、昔よく金曜ロードショーなんかでこういう映画を観たよなという懐かしいもの。それにしても、ジャッキー・チェンにせよシルベスター・スタローンにせよ、もういい年なのに本当にすごい。
 ストーリーも軟弱な学生が不思議な世界に飛ばされ、予言にある導かれし者として元の世界に戻るために悪の将軍を倒す旅に出る。途中、カンフーの達人の師を得、修行を受けながら困難に立ち向かっていく。弱虫だった主人公は、様々な出会いや修行の中で、少しずつ強さを身につけていくのだが……といった感じ。展開は誰だって読めるし、むしろそうであることが大切な映画。なんだかロールプレイングゲームのような展開。
 こういう映画は、構えずに大画面の前で惹き込まれながら観るのが楽しいのだろうと思う。

 映画が終わり、ショッピングセンターの駐車場に戻ったときには23時30分を過ぎていた。たくさんの車で溢れていた駐車場には、ごくわずかな車が点在するだけになっている。夜には5分も掛からずにマンションまで到着してしまう。こんな近くに映画館があるなんてやっぱり随分と幸せなことだ。ものすごくお金をかけて製作したものを、大分リーズナブルな価格で体感できるのだからすごいよなと改めて思う。レイトショーだと1200円だし、本当は800円くらいだともっといいのだけれど、それはまあしょうがない。


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 お知らせ

 映画館に『パンダフルライフ』という映画のポスターがあったのですが……ドキュメンタリーなのですね。

コメント (2)
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