今日岡山から帰ってきた。19時過ぎの新幹線に乗って、23時過ぎに帰着。
新幹線の中で、『編集者という病い』を読了。著者は見城徹。太田出版。
著者はかつて角川書店の名物編集者として名高かった人で、その後角川書店を退職し、幻冬舎を立ち上げた。幻冬舎の躍進はミリオンセラーを連発という、出版界の話ではなく音楽業界の話かと思うようなエピソードからも窺い知ることができる。
それにしても、と読み終えて思う。
なんて劇的な人だろうと。
たとえば、角川ではない別の出版社(ビジネス書などを主に作成)に入社してすぐに、たまたま休日に見かけた公文について知る機会があり、これはいけると確信し公文の教育法についての本を作り、それをベストセラーに導いている。いまでこそ全国に教室を構える公文だけれど、そのブレイクするきっかけを作ったのがその本であり、公文の社史にはいまも若き見城氏を讃える文章があるのだという。
それが24歳くらいの話なのだからすごい。
さらに、角川書店に入社し最初に手がけたのが森村誠一の『人間の証明』(300万部売れた当時の大ベストセラー)であり、その後も当時後発だった角川とは仕事をしないと思っていたような大物を落とすことにやりがいを感じていたというだけあって、かなりのビックネームと次々に大きな仕事をしている。
一方、新人を発掘する眼力も持っていて、銀色夏生もつかこうへいも、見城が見初め育ててきたようなところがあるのだという。
他にも、尾崎豊や坂本龍一との公私にわたる密度の濃いつきあい、ユーミンにあなたならとエッセイ(『ルージュの伝言』)を書いてもらうなど、現在の流れのはしりを作ってもいる。
また、幻冬舎を設立してからも、郷ひろみの『ダディ』を初回50万部という正気の沙汰とは思えないような部数で発行し、しかもその本の出版によって離婚が明らかになったり、数十年来の交流があった石原慎太郎に『弟』を書いてもらったり(ともにミリオンセラー)と、あまりにも劇的なエピソードがありすぎる。
この本自体は様々な雑誌のインタビューや記事を再編集したものでもあるので、同じエピソードが様々な形で繰り返し語られるのだけれど、その同じことについて様々な媒体で語っている内容からも、この人の基本的な軸のようなものがぶれていないということを強く感じさせられる。言葉尻や細かいことが違っていても別にいいのだ。軸がまっすぐなこと。だからこそ、強く個性が際だっていることがよくわかる。
濃い人だなと、そして濃くあることを希求し切望している人なのだろうなと思う。
世の中には、こういう濃くて熱い人がいるのだなということがわかるだけでも、とても興味深い本。
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先日、はじめて飲むメンバーと飲みに行った。
僕を入れて6人で飲んだのだけれど、駅前の古びた繁華街にある昭和風の居酒屋の2階。
4つの大きな座卓が置かれた2階の広間には僕らの他には客の姿はなくて、貸し切りのような感じだった。イメージとしては昭和で、海の家の2階風。壁には「ルイビンリキ(=キリンビール)」と書かれた昔風のポスター(たぶんこれは雰囲気を出すためにわざと貼ってある)や、その町の観光地の大きな写真ポスターが貼られていた。
メニューに書かれている食べ物も、その地方の名物的なものが少なくない。やたらと長いピーマンも食べた(おいしかった)。
出身地方の内訳を言うと、大阪出身(男2人)、関東出身(男1人)、北海道出身(男2人。僕を含む)、九州出身(女1人)の6人で、構成だけ見ると全国からだなと思う。
案の定僕が一番年上で、一番若くて23歳。はじめて飲むメンバーでも同じ会社なので、結構盛り上がる。
若いメンバーに、若くてびっくりしましたと言われる。エリアを回っていて、ときどき言われる言葉だ。これは童顔ということなのか……とかなしくなってしまうのだけれど、地区長という職位の一般的なイメージからは乖離しているからということなのだろうと思っている。でも同期でも数人同じ職位のメンバーはいるし、それだけ会社の頭数が足りないということなのだろう。個人的な話で言えば、こういう仕事をやらせてもらえるのは嬉しいことだし、学ぶことが多いなと思うのだけれど。
いずれにしても、そのメンバーとはこれから1ヵ月くらい頻繁に会うことになるので、まあ親睦を深めましょうということでの飲み会だった。
そして、その狙いはある程度以上は達成できたのではないかなとは思う。
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お知らせ
新幹線を降りると、大分涼しくなっていて、秋冬の空気の感じを思い出したのでした。
そして、コンビニで買ったTULLY'Sの抹茶ラテがおいしくて、しばらく買い続けてしまいそうな感じなのです。