「ただよび」運営会社の倒産に関して:不透明な配分構造とやりがいの搾取

2023-07-09 10:52:16 | 感想など

 

 

 

 

大学受験に向けた動画を配信していた「ただよび」の運営会社が倒産したらしい。立ち上げに際して紹介したこともあるので、少し触れておきたい(ジャニーズ問題でも言及した組織論と構造的問題にも関わるためでもある)。

 

やたら大量の動画が投下される時期があったり、一方で動画の更新がストップしたりと、どうも運営が上手くいってないらしいことは感じていたが、様々な可能性のある事業だっただけにこのような結果になったのは残念である。

 

まあそこで教えていた方の動画をいくつか見てみると、

 

 

 

 

 

 

月並みな話にはなるが、「無料というマジックワードの独り歩き」「やりがいの搾取」「リスペクトの欠如」「不信感の広がり」というあたりになりそうだ。具体的に言えば、「無料」でやっているんだから授業のどこを切り取るかは自分で決めさせてほしい、「給料出ていないけど、生徒のためにも途中では投げ出せない」etc...という感じ。

 

授業が無料であることについては、「無料だったら集中して生徒が見ないでしょ」という批判は前からあったが、無料であることで職員間に食い違いが生じたり、そうなった時容易に切り捨てられる=軽く扱われるといった事象からすれば、生徒だけの問題では全くなかったという話である(なお、こういう時に世間知らずな人間は「報酬を求めるのはおかしい」といった無理筋な意見を言ったりするものだが、事業の継続可能性を考えた時、「拝金主義か無償奉仕か」という二項思考しかできないことほど有害なものはない)。

 

おそらく元々「教育格差を無くすという理念のもと」、「無料で動画を提供し」、「しかし一部の人間は儲かる仕組みを設計」していたものと予測される(これが前社長やら、立ち上げ時にいた国語講師が批判される所以のようである)。

 

黒字化したら講師に報酬が支払われる仕組みだったようだが、不透明な利益の配分があった結果、利益も出ないわ報酬も出ないわの中どんどんただ働きさせられていたと。

 

で、運営スタッフ達も新規授業の立ち上げで忙しい中、さらに入れ替わり立ち代わりしてとにかく業務を回すだけになり、連絡の不行き届きや方向性の食い違いなどがあって、手弁当で時間と費用を捻出している講師たちに不満が鬱積していったという事態のようである(ところで、動画でも言及されているが、動画内で仲が良さそう=実際に裏でも仲が良いという思い込みは一体何なのだろうか?それはあたかも、笑顔で接客している店員は誰もが心の底から客のことを歓迎していると思い込み、下手をすれば自分に個人的な好感を持っていると錯覚する程度にはナイーブである)。

 

この後、動画の扱いなども含め様々やり取りが行われるだろうが、ある種他山の石になればいいなとは思う。ひとまずは今後の動向を見守りたい。

 

 

一応7/8段階で確認できた最新のものも挙げてはおく。長くて必ずしもまとまってないが、一応参考までに(メンバーシップでより突っ込んだ話がされるようだ)。

 


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