崩壊する猿山でポジション争いを止められない者たち

2023-05-12 12:27:50 | 感想など

地方(田舎)、ジャニーズ(芸能界)、大手マスメディア。

 

某アニメに「放っておけば勝手に死にます」てセリフがあるけど、まあそれに近い感じだなあと個人的にはみている。

 

地方はまさに生き残りがかかっており、少子高齢化・経済衰退の前提で人の流動性が変わらない以上、どんどん淘汰が進んでいくだろう(住民にとっては別にそこに住み続ける必要はなく、都市部や観光資源の豊かな地方に移住すればよい、という生存戦略になる)。

 

その中で地方創生だとか田舎への移住・起業だとか取り沙汰されているが、ネガティブな情報の流出も早いので、人が行かなくなった場所は縮小してますます人材流出が進むものの、多くの場所においては旧来のやり方を変えるのは難しく、回復の見込みはない(観光資源の有無など元々のポテンシャルもかなり影響することだし、努力だけではどうにもならない差が元々ある)。おそらく死屍累々になって、ようやく変化が生じる場所がちらほら出てくる、というレベルに止まるだろう。

 

まあ前にも書いたように日本が今のホンジュラスやソマリアのようになるという極端な話ではもちろんなく、真綿で首を締めるように、徐々に弱っていき、その状態ではやれる事も限られるため、坐して死を待つほかなし、となるのではないか。

 

ジャニーズについては、すでに問題の構造について何度か書いたので、殊更繰り返すことはしない。水面下でも様々な動きがなされているようなので、今はその動向を静観しておくことにしよう。変わるならそれでよし、変わらなければ沈みゆく船の中で一時は誤魔化しで席次を保てるかもしれないが、もはや海外への進出には相当な障害ができ、かつ競合勢力も表れつつあるので、どんどんジリ貧になっていくものと思われる。

 

ただ、今回の事件に絡めて枕営業の話も出ているが、まさしくその通りで、ひとりジャニーズだけでなく、芸能界や芸能事務所という存在の特殊性にも話が及ぶべき事案だと言える(例えばハリウッドでワインスタイン問題が大きく取り上げられたのは5年ほど前の話)。まあとはいえ、そこにメスが入るのは相当先のことだろう。日本の芸能事務所や邦画などの業界も、縮小する日本社会において生き残りを迫られていくが、まあこちらも実際に破綻が続かないと、変化は難しいと思われる(視聴する人口が減る・経済界が衰退する・他の娯楽の選択肢が大量にある、という中で日本の芸能界や邦画が提供できるものはどんどん質が低下していき、ゆえに変化する余裕もなくなって、さらに衰退は加速するという話)。

 

最後に大手マスメディア。特にテレビという存在はジャニーズ問題の報道姿勢などで現在進行形的に恥をさらし続けているわけだが、ずっと言われていた「テレビオワコン説」を自ら証明し、さらに「戦前と同じく、社会の公器を謡いながら、その実は官僚主義的な自己保身に走る組織」であることまで公に曝露してしまった状態である。

 

かつて旧NHK党の思考様式やそれへの支持する行為について様々批判が出たが、「こういう大手マスメディアへの強い不信感をどう理解し、また解消していくのか」という見地に立たなければ全く意味がないと私が思うのは、こういう事例からである(まあAという組織が唾棄すべきものだとして、それを批判するBという組織が支持に値する存在とは限らない、という戒めは重要だ。これは現在の旧NHK党のゴタゴタを指摘すれば十分だろう。これは陰謀論の隆盛についても同じことが言える)。

 

大手マスメディアの必要性を訴える人たちはいるし、それを否定するつもりはないが、主張の妥当性を示すには、今ある問題をどう解消するのかぐらいは提示しないと、説得力は皆無というものであろう(力のある大手マスメディアが必要であることと、既存メディアがそのまま生き残るべきというのは、全く別の話だからだ)。まして大手マスメディア自身がそれを言うのなら猶更だ。個人個人についても、全員が組織の意向に同調しているわけではないのもわかるが、せめて個人で会社の姿勢に何がしかの表明ぐらいしてから語らないと、生き恥を晒すだけになるだろう(ま、これは就業規則的に難しいだろうから、結局は「もの言えば唇寒し」的な行動が合理的戦略となり、「沈黙は金」で組織の不都合な側面は放置されるわけだけど)。

 

というわけで、最初に挙げた存在とその危機的兆候を見ると、戦前の日本はこうした理念なき席次争いゆえに「今さらやめられない」構造となり、「空気」を読んで日和見的に破滅へ向かっていったんだなというのがよくわかるので、歴史学や社会学的学びとしても非常に参考になると思う次第だ。

 

以上。


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