カメラを止めるな:邦画の未来、あるいはジイ専用シネマの量産

2018-09-23 12:50:12 | レビュー系

帰省した時に勧められた「カメラを止めるな」をTOHOシネマズで見てきた。

 

なるべく前情報がない状態で見るべし、と言われたのでPVはもちろんレビューは一切見ずに突撃したわけだが・・・なるほど、これは確かに余計なこと知らん方がええね。その方が単純に「より楽しめる」から。

 

俺の場合はと言うと、ハードルが上がった結果として、無意識のうちにイーストウッド的な映画・展開を予想してたもんだから、「あれ、そっちの方向??」と若干の肩透かしを食らいつつ、「ああでもいい映画だね」という結論で終わった(この点は未見の人に言っておいてもマイナスはないと判断したので書きましたよと)。

 

映画の内容は書かないとして、それ以外で一つ大きいと思ったのは、これを300万で撮ったらしいこと。とするなら、「ハリウッド映画みたいに予算付かないから壮大な映画なんて撮れねーよ」的発言は確かに事実だとしても、それなら別の勝負の仕方をすればいいんじゃない?という話になるのではないか。

 

まあ製作側としては無いものねだりされればむかつくだろうし、有名事務所のタレント売り込みとか色々あって金かかるんじゃー!といった事情もあるだろう。ただ、かつての大戦で日本は資源がないのに戦線を拡大しすぎて補給線が追い付かず(まあ他国で石油などを獲得するためってのもあるけど)、むしろ餓死や病死でいったという経緯もある(←突然の大上段)。

 

とするなら、今ある手持ちの札でどう戦うと強みを生かせるか、ってのやはり考えるべきじゃあないか。ましてや、これからは人口減少で内需が縮小していくわけだから、売り上げを維持したいんなら他国にアピールできる作品を模索しないとジリ貧になることは目に見えている(という点では元々人口が日本の半分もおらず、始めから海外を意識してきた韓国映画・アイドルなどが参考になるだろう)。ならば、ハリウッドの劣化版であったり、国内で今とりあえず人気の奴ををテキトーに出演させたような訴求力のカケラもないジャンクを量産する前に、考えること・やるべきことがあるんじゃないの?

 

・・・とこの「カメラを止めるな」を見て思わなかったら、邦画業界はとっとと店じまいして外国映画のプロモーション基地にでもしてしまった方がマシだろうと思う次第である(似たような話として、「魔法少女まどか☆マギガ」を見た俺は「この醜悪で過酷なマッチポンプ構造を見てなおナイーブな英雄譚が世にはびこるなら、それはもはや製作者も受け手も白痴と同じやな」と思ったが、相変わらずそれは世に垂れ流され続けているわけであるw)。

 

あ、でも待てよ・・・これから超高齢化社会を迎えるわけだから、そこに人気のコンテンツを作れば、やつら時間あるから水戸黄門的な長寿作品になってずっと売り上げを上げ続けることができるんじゃあないか??そしたらノイズを遮断して単純な勧善懲悪を垂れ流しておけばいいんだしめっちゃ楽やん(゚∀゚)アヒャなるほど、シャア専用ザクならぬジイ専用シネマをマトリックスの世界みたく見せ続けるのが、邦画の未来ってのも興味深いね(私は優れた作品は映画だろうがエロゲーだろうが関係なく愛するが、別に業界云々はどうでもいいんで)。

 

そのような邦画の可能性を提示し、またその未来の試金石になるという意味で、この「カメラを止めるな」は歴史に残る作品となることは間違いないだろう。


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