水産業界事件記録

水産業界で発生した事件の報道記録

ウナギ産地偽装、虚偽証明書も作成した養殖会社「大井川うなぎ販売」

2013-10-25 08:13:10 | 日記
ウナギ産地偽装、虚偽証明書も作成した養殖会社

 吉田町のウナギ養殖販売会社「大井川うなぎ販売」など5社による産地偽装問題で、同社とともに県から日本農林規格(JAS)法に基づき改善指示を受けた焼津市の加工会社の男性社長が読売新聞の取材に応じた。社長は、大井川うなぎ販売から今年5月に「土用の丑(うし)の日(7月22日)までに売り切りたいから(愛知県産を静岡県産に)まとめてくれ」と指示されたことが、偽装のきっかけだったと明らかにした。
 社長によると、大井川うなぎ販売との取引は2011年秋から始まり、そのほとんどは静岡県産ウナギの加工だった。
 今年の「土用の丑の日」商戦用のウナギを加工し終えた5月14日、同社から追加発注があり、静岡県産約1トンに加え、愛知県産44キロ・グラムのウナギが送られてきた。産地ごとにかば焼きを製造したが、いずれの産地のウナギも約10キロ詰めの1箱に入りきらない端数が生じたため、同18日に大井川うなぎ販売に電話で報告したところ、営業担当者から「両方の余りを混ぜれば数箱できる。土用の丑の日までに売り切りたいからまとめてほしい」と指示を受けたという。「産地が違うけど大丈夫か」と尋ねると、担当者は「こちらで責任を持つ」と話したという。
 加工会社は同23日、両県産ウナギが混ざった状態で箱詰めし、「静岡県産」と印をつけて出荷した。県に対しても、文書で同様の説明をしている。
 社長は取材に対し、「国産ウナギが品薄な状況なのに、断ればさらに取引量が減ってしまうと思った。悪いことだとは思ったが、下請け業者という立場もあって、指示に従ってしまった」と話した。
 社長が話した内容について、大井川うなぎ販売は「取材には応じられない」としている。
(2013年10月24日 読売新聞)

静岡県吉田町のウナギ養殖販売会社「大井川うなぎ販売」(藪崎周二社長)が、静岡県産などと産地を偽装したウナギを販売していた問題で、同社が「県産であることを証明します」と記載した虚偽の産地証明書を作成し、販売先に郵送していたことが22日、同社からウナギを仕入れた小売店への取材でわかった。
 静岡県警は、同社が産地表示を偽装したうえ、産地証明書で小売店を信用させようとしていたとみて捜査を進めている。
 福島県に本社を置くスーパーチェーンが22日、読売新聞の取材に明かした。同チェーンによると、1990年代後半から静岡県産のウナギを販売し、2011年度からは、商品の一部を大井川うなぎ販売から仕入れている。同チェーンは消費者に産地を明示するため、同社に産地証明書の発行を要望。まとまった量を仕入れた後、同社から仕入れ分の産地証明書が郵送されてくるという。
 産地証明書には、「長蒲焼80尾 静岡県産」「貴社に出荷致しました品目に関しまして、相違ないことを証明致します」などと記載され、大井川うなぎ販売の押印もあった。同チェーンによると、書面の文言や様式は同社に任せており、同社がパソコンの文書作成ソフトを使って作ったという。
 農林水産省によると、産地証明書は公的機関が法律に基づき作成するものでないため、業者のモラルに任されているという。
 同チェーンの担当者は「流通ラインを精査した結果、当社の店舗には産地偽装されたウナギは入ってきていない」と説明。そのうえで、「産地証明書は、消費者に対する『産地が見える商品』の担保と考えていた。(取引先の)産地偽装は残念」と話した。
 ただ、同チェーンが仕入れた業者は、静岡県産に愛知県産のウナギを混入しており、同チェーンに愛知県産のウナギが出荷された可能性もある。
 県警は21日、大井川うなぎ販売のほか、同社が産地偽装を指示した加工4業者を不正競争防止法違反(誤認惹起)容疑で捜索し、押収した伝票データが入ったパソコンを解析するなどしている。
(2013年10月23日18時50分 読売新聞)