犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

名札付き道

2022年08月19日 | 介護ウチのバヤイ
犬の散歩で住宅街の中を歩いている途中、
路面に、母の名札が落ちていて、焦った。

母は2年あまり前に特別養護老人ホームに入居した。
家にはいない。家の近所に名札が落ちているはずは無い。
どういうことだ。



よく見ると、違った。

いや確かに、婆さんの名札ではあった。

それは、ビニールテープを5~6cmに切って、
マジックペンで名前を書いたものだった。
同居介護だった頃、母の荷物にも同じようにして名札を付けていたものだ。
デイサービスに行く時も、ショートステイに行く時も、
全ての持ち物に名札を付けた。

ステイ前日には荷造りをしたが、
それは主に薬を一回分ずつ小分けする作業と名札付けの作業だった。
薬の分包にも一つずつ名前を書いたので、つまりは全て名札付けの作業だ。
一日中、何度も何度も名札に老母の名前を書いた。

名札は路面に貼り付いてしまっているようだ。
そこの家のおばあちゃんが、週に何度かデイサービスに通っている様子は
見かけて知っている。

「〇川〇枝子」という文字が、母の名前「△山〇保子」に見えてしまう。
字面が似ていることもあるけれど、
実に、「見間違え」と思えないくらいの見え方で見える。

ショートステイに送り出すための準備、
その前に本人にする説明、
毎日の忙しさとわけのわからなさ、
先の見えない気持ちなどが
名札の見間違えの瞬間に伴って、
ひとつひとつの事を思い出すよりも先に、心身が緊張で固まる。



なかなかの粘着力で、もう、ひと月以上は貼り付いている。
豪雨にも耐えている。
面白いからいつまで貼り付いているか見てみようと
放っておいている。
それでも視界に入る度に胸がキュッとなるので、
いいかげん剥がして捨てるか。どうしようか。
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