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犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

二度よみがえる自転車

2014年06月21日 | のりもの
友達が、結婚した。

新生活は物要りだ。
「自転車、あまってない?」
とメールがきた。

これがまた、あまっているんである。
乗らなくなった自転車を、置場が無いもんだから、
以前住んでいたアパートに置きっぱなしで、ずっと気になっていたのだ。
もらってくれる人がいるなら熨斗付けて贈る。

2年も乗らずに置いていた自転車は、かなしく傷んでいた。
ほこりをかぶり、タイヤは劣化していた。
すぐ近くの自転車屋へ持っていった。

前後のタイヤとチューブの交換、壊れているスタンドの交換。
そう言うと、おじさんは「新しいの買ったほうがいいんじゃないの?」。
そりゃ、そう言われるのはわかっている。
「見てごらんよ、あのへんの、新品で一万円しないよ?」

しかしこの自転車は、私が自転車で水道検針を回っていた頃から
乗っていた自転車なんだ。
ひょっとすると、15年は乗ってきたかも。もっとかな?

そして、数年前もひさしぶりに乗ろうとして、前後のタイヤチューブの
交換をしてもらいに、別の地元の自転車屋に行った。
そこでも、同じことを言われた。
一旦帰って、翌日、やっぱりお願いします、と再訪した。

自転車屋さんは、最初に言った額より安く修理してくれ、
それに、他の廃棄する自転車から、
前カゴと、サドルと、ペダルを、交換してくれた。
どれも新品ではないが、愛車は生き返った。
自転車を安易に買い換えない私への
自転車屋さんの思いが感じられた。

その自転車だ。
ちょっとやそっとじゃ捨てられん。
大事に乗ってきたから、修理してください。
新婚さんへの贈り物にしちゃボロだけど。

「そう?そんならおれはやるけどさ。
修理してから、あれこれ言われると困るから、一応言ったんだよ。」
ああ、大丈夫大丈夫。そういうことは言わないから。お願いします。

「じゃあさ、少し安いタイヤを使おうか。
安いって言ったってブリジストンだし。でも片方500円ずつ、
両方で1000円くらいしか安くなんないけどな。」
「鍵は効くのかな?うん、油を刺しゃ大丈夫だな。」
「あとこのサドル、取り替えておくよ。古いのだけど、これよりは
いいやつがあるからさ。」

「ライトは点くの?あ、こりゃダメだ。固くて回らないや。
あと500円ちょうだい。」
すみません。もうお金ありません。
「じゃあ今度持って来てくれりゃいいよ。交換しとくから。
帰りが遅いの?じゃあ、鍵かけて、ここに置いておくよ。
鍵はこの軍手の中に入れて、この引き出しに入れとくからさ。」

おじさんいろいろありがとう。
ところで、おじさんはずっとこうやって、八百屋と自転車屋を同時にやってるの?
「そうだよ。」
珍しいねえ。
「そうかい?そうでもないだろ。」
何言ってんですか!
八百屋で自転車屋なんて、他で見たことないよ!!
「そういうことするとさ、目立つだろ?」

修理代はとても安いが、不思議な商売っ気もあるようなのだ。

駅からの人が通る狭い道に面した店で、
おじさんは町の人たちにいつも気安く声をかけている。

長生きしてくれ。


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