犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

振り返ら

2022年12月12日 | 椰子の実の中

[あらすじ] 亡父と老母の蔵書を整理する。
本棚からは、本の他に、古いアルバムだの古いノートだのが出てくる。

亡父は日記を重視していた。
ある時、電車に日記帳を忘れてきてしまった。
まるで自分の半身を失ったかのように慌てふためいていた。

母は、日記を続けられないことを負い目に感じていたようだ。
私には、日記をつけろ日記をつけろとうるさく言った。
自分ができないことを子どもに言う母親の典型であった。

私はだから、日記を書くことが良い事だと刷り込まれた。



自分というものにこだわることが心を縛り、
心が縛られて動きにくいことが元になって身体に症状が表れる。

私たちが「自分」だと意識しているモノは、過去のものだ。
今までどういうふるまいをしてきたか、今までどういう考えを持ってきたか、
今までのところどういう性格でどんな好みが有るか、
今までどういう経験をしてきたか。
それが「自分」を作っている。と、思っている。

それは今までの自分である。
全て、過去である。

「私は5年後には〇〇をするんだよねー。私らしいよねー。」
などと言うと、何かひっくり返ったような感じがして気味が悪い。
気味が悪いけれど、こういった発想で生きるほうが、
心身は健康でいられるようだ。

どこかに留まったり、ある状態を長く続けたりすると、
病む。
出入りが有ったり、周囲の影響を受けたり、流れたりするものは
生きる。
澱んだ水が腐り、川は自浄作用を持つのに似ている。

過去のものによって自分はこういうものであると規定するのは、
自分の流れを止めてしまうことになる。



だから、
何が有ったとかどう思ったとかそういうことを「記録」する
日記というものは、体に良くないと私は思う。
体イコール心という意味である。

そんなもんを習慣化させる教育には疑問も持つ。
悪いことばかりでもなさそうだけれど、
それは何か他の意味だろう。



ある芸能人が、緻密な記録ノートを何種類も付けているという。
17歳の時から、30年以上。
中には、食べたものの記録ノートも有る。

目的を持って記録するなら有意義だろう。
しかしこの場合、記録すること自体が目的になってしまっているようだ。
https://tver.jp/episodes/ep849p2fo2

番組の主人である漫才コンビ海原やすよともこのやすよも、
日記をつけていたという。
ただ書くだけで、別に読み返すことも無い。
あるとき、「振り返って何になんねん」と思い、やめたと言う。



振り返ってばかりいる人生より、
「振り返って何になんねん」と言って前を向いているほうが
生きやすい気がする。

こと振り返るというのは、出口の無い堂々巡りの物思いの入り口となりがちだ。
おもいわずらい、という言葉の通り、思いから患う。

過去に思いを持ちながら前に進むから、重い。
それに、過去は増え続ける。
ただし、保管した場合だ。
記録したりして保管したら過去は増え続けるけれど、
整理して適宜捨てたりすれば、増えたりしない。



故人が大切にしていたノートを捨てるには忍びない
という気持ちが有る。
しかしこれこそがまた、私自身が過去へのこだわりを持っている証拠じゃないか。



自分はこういう人間だ。と思っている像は、過去に在る。

次の一歩を踏み出すとか、新しい作品に取り掛かろうとかいう時に、
自分らしさのようなものにこだわると、手足が出にくくなる。



自分が前進するために、亡父の日記帳やアルバムを捨てる。
って、おかしくない?
自分の物を捨てろよ。
へいへい。そうなのだ。
物置や2階の部屋など、私の過去の物は、今、使っていない範囲に在る。

ひとまず、現在の生活範囲に在る過去の物を捨てるのはいいじゃないの。
死んだ兄を産んだ死んだ父の死んだ前妻の物など、ずいぶん重ね重ね死んでるじゃないの。



世田谷区では、古い写真を区民から募っているという。
100年前後のちょいムカシの人々の暮らしや、
町並みの様子などが見られて、良い資料となる。

自治体として面白い取り組みだと思う。
写真展を見に行ったことが有る。
私は道や地形に興味が有るので、景色の変化として楽しんだ。

喜んで貰ってくれる所が有るなら寄せたいものだが。
行き場が無いなら、薪ストーブで荼毘に付すことになる。



古いアルバムには当時の風俗が写っていて面白いので、
紹介したい写真も有る。
だが、古いアルバムをめくる時間を惜しんで、
色々な作業を優先したい。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 本棚整理 | トップ | 時差詐欺 »

コメントを投稿

椰子の実の中」カテゴリの最新記事