入居日

[あらすじ] 同居母87歳パーキンソン病ヤール４要介護５認知症状少々、
特別養護老人ホームに入居する。

今日。
本日11時に入居するのである。

※

今まで在宅でやってこられたのは、介護や看護や医療の
いろんな人たちの支えのおかげだ。
細かくは今度ねちねち感謝を述べることにする。

特筆したいのは、定期巡回介護サービスである。
一日に複数回の訪問をして、服薬や排便の介助をしてもらった。
具体的にどんな介助が必要だったか、
細かくは今度ねちねち振り返ることにする。

定期巡回介護サービスをお願いして、
最初に来てくれたのはＺさんだった。
記録には、「ベッドに端座しておられました。」と書いてある。
母は、介護の人が家に来る、という新たな状況に緊張して、
早起きして着替えしてベッドにきちんと腰掛けて待ち構えていたのだ。

今日、入居するので、
昨夜が定期巡回の最終回になった。
奇遇であるが、最後の回もＺさんだった。

夜の23時の訪問時、
私は挨拶しなきゃと思いながら、眠さに勝てなかった。
失礼してしまった。

※

母の介護のモーニングルーティーーン。

目薬をさす。
介助して起き上がってもらう。
入れ歯を入れる。上が先。次に下。
服薬介助。最初にゼリー。３錠づつ３回に分けて、合間にゼリーのみ。最後においしい粉薬。
水を飲んでもらう。
靴を履かせる。
立ち上がり、ベッドサイドのポータブルトイレに腰掛けてもらう。
排尿、排便。
拭いてもらう。必要であればお尻を拭いてあげる。必要であれば陰洗する。
パッドを交換。必要であればリハビリパンツも交換。
今日着たい服を聞いて、下半身の着替えを介助。必要なら上半身も介助。
濡れタオルで顔を拭いてもらう。
朝９時の薬をお皿にセットする。

この全てを忘れないようにするのは、なかなかのことだ。

さて。
人間、グッと歯を咬み合わせることで、力が入り、体の動きが良くなるという。
人間に限らないそうで、上野動物園だったかのロバだったかなんだったかも、
入れ歯を作ってあげたら動けるようになったとか。

そういうわけで、入れ歯を入れる、というのがわりに最初のほうに有る。

私は、流しの横にいつも置いてある、入れ歯入れを手に取ろうとした。
昨夜、入れ歯を外して洗浄液に浸けてあるはずだからだ。

んが、入れ歯入れは空であった。
あははは。
さては、昨夜の介護の際、入れ歯を外してもらうのを忘れたな。
介護士さんも、最後の挨拶で入れ歯のことは吹っ飛んだのか。どうか。

最後だからちょっと違うことが起きた、というところに
人間味が有る。
心だ。

※

２年半の間、お世話になりました。

※

さて、今から怒涛の引っ越し作業である。
大きめの棚や机は運んであるのだが、
普段使う、ハンガーラックや椅子やポータブルトイレや
衣類や衣類の引き出しや
薬や何かの類や
いつも手元に置いておきたい本や辞書などなどなどなど
などなどは、
まだ運んでいない。

ご本人を連れて行くのと同時に半分、
残りは午後に出直すことになるだろう。

ひとまず11時までにできるだけの準備をする。
合間に飼い犬ジーロくんの点滴。

銭湯の迷惑おばちゃんの話のつづきは、また今度。