
[あらまし] 同居母87歳パーキンソン病ヤール4要介護5認知症状少々。
居間と和室の間に段差が有る。
和室が母の居室になっていたが、2年前から
和室には入らないというおやくそくにした。
この段差で転倒の危険が有るからだ。
理学療法士さんやケアマネージャーさんや福祉用具さんなど
皆の意見の一致した結果だ。
そこで、居間に介護ベッドを移動した。
同時に、着替えや介護用品をベッド近くに置けるように、棚を用意した。
その棚を、壁際に置いた。
ただ、そこには作り付けの戸棚が有る。
有るけれど、私が幼い頃のおもちゃなどが入っていて、
手前に電話台を置くなどして、開けられなくなっている。
引き続き開けられなくていいや、ってんで、
その戸棚の前に棚を置いた。
※
ちょいと将棋盤を使いたい。
あの戸棚の中に在るんではないか。
そう思って、手前の電話台と棚をずらして、戸棚を開けてみた。
高さと幅と各90㎝くらいの、戸棚を開く。
内部はもう少し高さが有る。
開くと目の前に、箱が棚状に積んであり、
古いおもちゃなどが入っている。
そこに探し物は無い。
では、この箱の奥か。
箱は3つ積んである。
一番上の箱は、戸棚の入り口よりも高さが有る。
だから、一番上の箱をちょいと持ち上げているうちに
真ん中の箱を抜いて出さねばならない。
中身が入ったままやろうと思ったが、無理だ。
箱は粗い木材で作られた丈夫な箱だ。
摩擦が強いので、しっかり持ち上げないとずれもしない。
箱だけでもけっこうな重さが有る。
中身を一旦外に出して、一番上の箱を持ち上げて、
真ん中の箱を引き出す。
なんとか出してみたら、りんご箱だった。
※
側面に「國光」「紅玉」と大きく印字してある。
昔懐かしいりんご箱だ。
箱の蓋は、板が釘で打ってあったように記憶しているが、
どうだったろう。
バールを使ってその蓋を外すのだ。
箱の中には一杯に籾殻(もみがら)が入っている。
ちくちくと手に痛い籾殻の中から、りんごを探し出すのが
とても楽しかった。
りんごのすずしい香りとともに思い出す。
※
りんご箱2つを出してみると、戸棚の奥には棚が入れてあった。
引き出し5段の、木製の頑丈な、古くさい棚だ。
何が入っているのかと、引き出しを引いてみる。
重い。
重いが、滑りは悪くない。
古いが作りの良い引き出しだ。
引き出しの中には、カードが一杯に詰まっていた。
※
母の人生で、大きな仕事は3つほど有ったと思う。
一番最近のものは
角川の「古典基礎語辞典」、恩師の大野晋先生のもとで
執筆者の一人として働いた。
その前がまったく自分の仕事で、えーと
「和泉式部集(正続)用語修辞総索引」。
和歌で使っている言葉をとにかく調べるヤツ。(分かっていない人の説明だなこりゃ)
修辞総索引というから、全ての言い回しが調べられるヤツ。(ちょっとマシ
私が幼い頃は、
「奄美方言分類辞典」にかかりきりだった。
奄美出身の長田須磨さんを話者かつ編纂の中心人物として、辞典を作った。
当時は録音機も使っていなかったのか、
何度も長田さんの家に通い詰めていた。
私はよく連れて行かれて、何かして遊んで待っていた。
※
この「奄美方言分類辞典」の語彙カードが、
5段の引き出し一杯に詰まっていたのだ。
そりゃあ重いわ。
※
引き出しの棚の上に載っている段ボール箱には、
「隆志の机の引き出しの中の雑貨」と書いてある。
遺品がここにも有ったか。
「1987年ここに」と書いてある。
それ以来置いてある、引き出しも同様だろう。
※
30年しまいっぱなしだったし、これはもう惜しんでもいられない。
ちょうど明日は古紙回収の日だ。
紙袋にカードを詰め替えた。
引き出しの一番下の段は諦めた。
また今度にしよう。
空いた引き出しの中に、りんご箱に入っていた物を片付けた。
りんご箱二つが空になり、戸棚の中にずいぶんスペースができた。
りんご箱一つはまた戸棚の中に戻し、
重ねて入れるのが一人では難しいので、一つは外に出した。
すばらしく丈夫な箱だが、さてどうする。
居間と和室の間に段差が有る。
和室が母の居室になっていたが、2年前から
和室には入らないというおやくそくにした。
この段差で転倒の危険が有るからだ。
理学療法士さんやケアマネージャーさんや福祉用具さんなど
皆の意見の一致した結果だ。
そこで、居間に介護ベッドを移動した。
同時に、着替えや介護用品をベッド近くに置けるように、棚を用意した。
その棚を、壁際に置いた。
ただ、そこには作り付けの戸棚が有る。
有るけれど、私が幼い頃のおもちゃなどが入っていて、
手前に電話台を置くなどして、開けられなくなっている。
引き続き開けられなくていいや、ってんで、
その戸棚の前に棚を置いた。
※
ちょいと将棋盤を使いたい。
あの戸棚の中に在るんではないか。
そう思って、手前の電話台と棚をずらして、戸棚を開けてみた。
高さと幅と各90㎝くらいの、戸棚を開く。
内部はもう少し高さが有る。
開くと目の前に、箱が棚状に積んであり、
古いおもちゃなどが入っている。
そこに探し物は無い。
では、この箱の奥か。
箱は3つ積んである。
一番上の箱は、戸棚の入り口よりも高さが有る。
だから、一番上の箱をちょいと持ち上げているうちに
真ん中の箱を抜いて出さねばならない。
中身が入ったままやろうと思ったが、無理だ。
箱は粗い木材で作られた丈夫な箱だ。
摩擦が強いので、しっかり持ち上げないとずれもしない。
箱だけでもけっこうな重さが有る。
中身を一旦外に出して、一番上の箱を持ち上げて、
真ん中の箱を引き出す。
なんとか出してみたら、りんご箱だった。
※
側面に「國光」「紅玉」と大きく印字してある。
昔懐かしいりんご箱だ。
箱の蓋は、板が釘で打ってあったように記憶しているが、
どうだったろう。
バールを使ってその蓋を外すのだ。
箱の中には一杯に籾殻(もみがら)が入っている。
ちくちくと手に痛い籾殻の中から、りんごを探し出すのが
とても楽しかった。
りんごのすずしい香りとともに思い出す。
※
りんご箱2つを出してみると、戸棚の奥には棚が入れてあった。
引き出し5段の、木製の頑丈な、古くさい棚だ。
何が入っているのかと、引き出しを引いてみる。
重い。
重いが、滑りは悪くない。
古いが作りの良い引き出しだ。
引き出しの中には、カードが一杯に詰まっていた。
※
母の人生で、大きな仕事は3つほど有ったと思う。
一番最近のものは
角川の「古典基礎語辞典」、恩師の大野晋先生のもとで
執筆者の一人として働いた。
その前がまったく自分の仕事で、えーと
「和泉式部集(正続)用語修辞総索引」。
和歌で使っている言葉をとにかく調べるヤツ。(分かっていない人の説明だなこりゃ)
修辞総索引というから、全ての言い回しが調べられるヤツ。(ちょっとマシ
私が幼い頃は、
「奄美方言分類辞典」にかかりきりだった。
奄美出身の長田須磨さんを話者かつ編纂の中心人物として、辞典を作った。
当時は録音機も使っていなかったのか、
何度も長田さんの家に通い詰めていた。
私はよく連れて行かれて、何かして遊んで待っていた。
※
この「奄美方言分類辞典」の語彙カードが、
5段の引き出し一杯に詰まっていたのだ。
そりゃあ重いわ。
※
引き出しの棚の上に載っている段ボール箱には、
「隆志の机の引き出しの中の雑貨」と書いてある。
遺品がここにも有ったか。
「1987年ここに」と書いてある。
それ以来置いてある、引き出しも同様だろう。
※
30年しまいっぱなしだったし、これはもう惜しんでもいられない。
ちょうど明日は古紙回収の日だ。
紙袋にカードを詰め替えた。
引き出しの一番下の段は諦めた。
また今度にしよう。
空いた引き出しの中に、りんご箱に入っていた物を片付けた。
りんご箱二つが空になり、戸棚の中にずいぶんスペースができた。
りんご箱一つはまた戸棚の中に戻し、
重ねて入れるのが一人では難しいので、一つは外に出した。
すばらしく丈夫な箱だが、さてどうする。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます