犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

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日本エレキテル連合単独公演「死電区間」

2015年07月29日 | よみものみもの
草月会館と言えば、勅使川原宏の竹の展覧会に行って感激した。

二十歳前だっただろうか。
正面から入ると大きな壇状になっているところに、
竹が様々に飾られていた。
大きく曲げてトンネルのようにしてあったり。
観る者は、作品の中をかいくぐって行く。

草月ホールは初めてなので、これも楽しみだった。
壁に宏の作品である、陶板があしらわれているという。



日本エレキテル連合。
一発屋と呼ばれているだろう、下ネタ連発の芸人が、
なぜ草月ホールを会場に選んだのか。

全国ツアーは9月に各都市で展開される。
ネタバレになるといけないので、ここでは内容に触れない。

ただ、
緞帳代わりのスクリーンがすっと上がってステージが現れた時、
「おお」
と私は声をあげた。

美しい。



前から3列目のちょっといい自分の席に落ち着いて、
周囲を見渡すと、老若男女揃った中、
若い男性は少ないように見受けられた。

そして、五十前くらいのお母さんと十代前半の娘、
という組み合わせが多く目についた。
私の隣も、そんな母子だった。



開演前に、携帯電話使用上のマナーについて、放送が入った。
最後に、
「以上、山中秀樹でした。」
と名乗りが入った。

隣のお母さんが「お、山中秀樹」と反応する。
娘「山中秀樹って誰?」
お母「あなたそれも知らないの、
ホントにカナシイひとね。」

私は耳を疑った。
いったいどういう意味だろう??



しょっぱなのネタから、母子はシンとしていた。
性的なネタで、まさかお母さんの前で笑えない、
まさか娘の前で笑えない、という
凍りついた空気になっていた。
なんだか私も、その真横で大口開いて笑う自分が
下品なような気がしてしまった。



ちょっと耽美的で、うんと性的で、
つまりはなんとなくアングラ的。

あけみちゃんのネタだって、「ダメよ、ダメダメ」の反復が
口に乗りやすいから広まったけれど、
中身はアンドロイドなんかじゃなくてダッ○○イフなんだから、
テレビにノコノコ出てきて良いもんじゃない。



娘が高い壁を指差して言う。
「あ、あれ、おもしろい。」
お母さんは相槌程度で、スマホからほとんど目を離さない。

壁の升目に、それぞれ形の違うふくらみがある。
土色で、ひび割れているから、焼き物で作ってあるのだろう。
けれど、ちょうど、タオルに空気をはらませて
湯船の中に沈めて、ちょんちょんとつついたような、
そんな質感で、そんなふうにいろんな形だった。

そうだ、忘れていた。
これが見たかった宏の作品だ。



テレビにノコノコ出てこない代わりに、彼らは毎日、
you tubeにコントをアップしている。
もうすぐ2年になる。

その前にも、「キレてる動画を作る会」と銘打って、
くだらないネタをいくつかアップしていた。
消毒用エタノールで酒蒸しを作るとか、
アイロンで焼肉するとか、
膝蓋腱反射でサッカーをするとか。

私はその頃から見ていたので、今の活躍を嬉しく思う。



ステージの最後は、細貝さんとあけみちゃんが登場し、
撮影タイムとなった。
二人は客席の間の通路を練り歩き、あけみちゃんは
蠱惑的というよりはただ下品なポーズを決めまくっていた。

「親子のお客様も多いですね。
さぞかし気まずかったことでしょう。」
と細貝さんが言う。

そうよ、母子のおかげで私までちょっと気まずかったんだ。
お母さんと娘は、テレビくらいがちょうどいいんじゃなかろうか。



まあ、つまり、
これでいいのだ。

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