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作曲家モーリス・ジャール氏 死去

2009-04-01 00:07:17 | 映画音楽
モーリス・ジャール氏が亡くなったとのニュースを聞いた。

アカデミー賞3回受賞の大御所作曲家でありました。
私が映画好きになったころは全盛期を過ぎていたのだけれど、それでもリアルタイムで「刑事ション・ブック 目撃者」「モスキート・コースト」「今を生きる」「フィアレス」(いずれもピーター・ウィアー監督作)でシンセサイザーの美しい音楽を聞かせてくれて、映画音楽の素晴らしさを教えてくれた。(「ジョン・ブック」の納屋を建てるシーンの音楽が素晴らしい)
「ゴースト」もジャールだ。「追いつめられて」も。
そうだ、そういえば「首都消失」の音楽もジャールだ。いかにも仕事で作った手抜き感あふれる音楽だったが、それでもメインテーマは今でも口ずさめるくらいキャッチーなメロディで大好きだった。

けどやっぱり60年代から80年代にかけての、大作映画こそジャールの真骨頂だったろう。
フランス映画の大作「ダンケルク」でドーバーを超えようとする英海軍の船団が写るシーンの軽快なマーチが素敵だった。
「パリは燃えているか?」は名曲ぞろいだった。ナチが撤退した後の歓喜あふれるパリをバックにかかる曲が最も印象深いが、パリにせまる連合軍を迎え撃つドイツ軍のマーチも胸躍る名曲だ。

もちろんなんといっても、デビッド・リーン作品に提供した名曲の数々で映画史に名を刻む。
アカデミー賞受賞の三作品にまつわる話で自分が記憶している話を書いてみる。
(記憶違いはあるかもしれない)

「アラビアのロレンス」
最初リーンはイギリスのベテラン作曲家に依頼していたのだが、その人はリーンの望むような曲を全く書いてくれず、何もわかってねぇ、とクビにしてしまった。たまたまスタジオにいた当時はさほど有名でなかったジャールをつかまえて、ちょっとこのシーンに曲を付けてみろと言われ、ジャールは即興で演奏してみたところリーンにもの凄く気に入られることとなる。
こうしてジャールとデビッド・リーンの栄光のコラボが始まったという。(ジャールが何かの雑誌のインタビューに答えて話したことだったと記憶している)
「ロレンス」の音楽でアカデミー賞を受賞。ことに砂漠のテーマは名曲中の名曲として名高い。

「ドクトル・ジバゴ」
ロシアを舞台にした大作映画でジャールはヒロイン、ラーラのテーマに悩んでいた。
何日も不眠不休で考えに考えたてやっと作った曲をリーンは気に入らないとボツにした。
さらにまた何日も考えに考えて別の曲を作ってリーンに聞かせてみたが、リーンは「君ならもっといい曲がかけるはずだ。少し休めよ」と言ったという。
ジャールは言われた通り何日か休んだ後で、一日くらいでささっと作った曲を聞かせたところリーンは「これだよ」と喜んだとか。(ジャールが何かの賞を受けたときにスピーチで言っていたことと記憶している)

「インドへの道」
アカデミー賞は「アマデウス」と「インドへの道」の激突と言われたが、ほとんどの賞は「アマデウス」がごっそりもっていった。「インドへの道」でオリジナル作曲賞を受賞したジャールは「モーツァルトが候補になっていなくて幸いでした」とスピーチして会場を笑わせた。(出典:キネマ旬報社「アカデミー・アワード」)

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偉大な映画音楽家の死を悼んで。
モーリス・ジャール氏のご冥福をお祈りいたします。

この文章は久しぶりにモーリス・ジャールのアルバムを聴きながら書きました。今丁度「アラビアのロレンス」がかかっています。

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