ハリウッドB級映画を贔屓してる(つもり)の私ですが、それでも、これは酷い出来だった・・・と思わざるを得ない。
・「戦争はゲームじゃない」
ジョシュ・ルーカスの台詞。無人ステルスの導入を説く司令官への反論。
序盤で語られるこの台詞と正反対の意味が、この映画の基本思想だ。
「戦争はゲームである」
領空侵犯も爆撃も核の恐怖も空中戦も、距離も国境も政治も軍事も全てゲーム感覚で軽く描かれ、アホの塊のような映画ができてしまった。もしかして、現代人への批判が込められてるのかもしれないが、ストーリーの構成は悪いし、展開は唐突だし、"楽しませる"という大前提すら崩れた、悲惨なシロモノが映画"ステルス"である。
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・上映前。エンドクレジットの後にお楽しみ映像があります。席を立たずにお楽しみください・・・みたいな注意書き。さて、いったい何やら・・・
・ミャンマー空爆。予告なしのビル破壊。
いいのか? そこまでして。
失神寸前状態で放ったミサイルは、爆破技師が計算して仕掛けたように奇麗にビルを崩落させる。は?
「死傷者ゼロ」。は?
艦長!!相当数の市民が粉塵とガラスの破片を浴びたと思われます!サー!!
・落雷でイカレテしまう無人ステルスの電子頭脳"エディ"。
し、司令官どの。そ、その程度の対策もなく実戦配備したのでありますか?
・長い長ーいタイでのバカンスシーン。
ジェシカ・ビール嬢の水着姿が拝めて良かったが、ストーリー的に無駄なシーン。
どうもジョシュ・ルーカスがジェシカ・ビールに惚れちゃったことを(台詞のみで)説明するために付けられたシーンらしい。
いらねーんだよ、そんなシーン。B級アクションでいい男といい女が出会ったら2秒で恋に落ちりゃいいっつの!!
・タジキスタン空爆。「この風向きでは死の灰はパキスタンまで・・・」
だったら、はじめっから空爆で処理しようとすんじゃねえ!!
(風がイランや中国やロシアに吹いてりゃ別にいいか・・・って考えでの作戦だったのだろうか?)
だいたい、それくらい考えて、表面焼き尽くすだけのナパーム弾とか用意すりゃいいじゃないか。それに9km先の指紋を読んだり、破壊した給油口に給油管をスポッと差し込めるエディなら、機銃で人間だけ撃つこともできそうなもんだが
・ジェイミー・フォックス死亡!!
このなんの旨味もない役をなんでオスカー受賞後一発目の作品に選んだのか!!謎!!
・空中補給基地
・・・なんだそりゃ・・・もっともホワイトベース(ガンダムの)が空飛んでるのが"普通"だと思っていた70年代生まれの日本人である僕は、ここを突っ込むのは止そうと思った。
・ロシア空軍との空中戦!
「どっかのバカが考えた仮想作戦」をマジになって遂行しようとする無人ステルス。なんとかしなきゃ戦争だ・・・
艦長!!ロシア軍との空中戦で既に一触即発の危機であります!!サー!!
領空侵犯機に対しての当然の防衛行動をしているロシア軍を、"エディ"と一緒になってボンボン撃ち落としてるジョシュ・ルーカスの行動も、どんなもんだろうか・・・
・ジェシカ・ビール北朝鮮に墜落!!
あの・・・タジキスタンと北朝鮮の位置関係ってわかってます?
タジクからバイカル湖に飛ぶのにジョシュ・ルーカスは給油してましたよ。タジクから北朝鮮って最短距離(チベットから黄海まで中国上空を思いっきり横断。できるか、んなこと)でもその倍くらいありますよ。
もっともジョシュ・ルーカスはバイカル湖からさらにアラスカまで、映画で描かれる限り、無給油で飛んでますけど・・・
お前ら、地理の勉強くらいしろよ!!
私の予想ですが、日本の女優で好きな人は?と聞かれてマジで「チャン・ツィーイ」とか答えたり、「今度ゴジラが破壊するのは大阪でしょうか?上海でしょうか?」とマジで語る奴らがわんさといるアメリカのこと。連中はフィリピンとタイとタジキスタンとシベリアと朝鮮と、ついでに日本も中国もベトナムもひっくるめてアジア各国の位置関係なんて、イギリスとフランスとスペインのそれと大差ないと考えているに違いない。つーか、なめられてるぞ、アメリカの映画ファン!!
・エディVSジョシュ・ルーカス バイカル湖の攻防
あれだけ殺戮しまくってた無人ステルスのエディ君。人間様が知恵と勇気と根性とチームワークでやっつけるのかと思ったら・・・一休さんみたいなとんち問答で説得!!しかも成功。つーか、エディ、君はバカだ。
・ななな、なんとエディに感情が芽生えた。
数千人に死の灰浴びせて、ロシアと戦争までやってから「感情が・・・」とか言われても感動できるわけねーだろ!!
・作戦司令官の差し金の殺し屋がジョシュ・ルーカスを襲う!!
わけわかりません。社会派サスペンスだったのか!?これ
もしかして、アメリカの軍事行動を批判しようとしていたのかも知れない。
・人間とコンピュータの友情共同作戦
んでもって、相当ぐだぐだになってきたところで、ジョシュ・ルーカスはエディに乗り込んで北朝鮮に侵入。ジェシカ・ビールを救い出す。ジョシュ・ルーカスに抱いた"友情"のため、身をなげうって体当たりを敢行するエディ。既に書いたように、最早感情移入など不可能なお騒がせクレージーマシーンでしかない。こんなんで感動するとでも思ってるのか!!
しかも、最新ステルス機なんて破片一つでもトップシークレット扱いの軍事機密だろ。回収不可能な敵国の真っ直中で自爆する政治的軍事的リスクくらい天才頭脳のエディ君に分からぬ筈ないと思うが・・・
・睡魔に襲われる長ーーーいエンドクレジットの後のお楽しみ。
あのラストでとっくに予想はついてるんだけど。
このズタボロな内容で、続編をチラつかせるとは。恥ずかしくないのか??
できれば、エンド・クレジット後のシーンは、タジクのジェイミー・フォックス機激突現場に戻って、瓦礫の中から悪態つきながらジェイミーが起き上がる・・・とかそんな風にしてほしかった。
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そんなこんなで、映画の日に1000円で観たのがせめてもの救いという内容であった。
ジョシュ・ルーカスとジェシカ・ビールのエージェントが強引にねじ込んだ企画かな?ジェイミー・フォックスは契約上仕方なく出演したのか、監督かプロデューサーと仲良しで酔っぱらったはずみで出演の約束をしてしまったか・・・そんなとこだろう。
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もしかしたら、皮肉や批判的な内容なのではないかと我慢しなが観てましたけど、軍内部の隠蔽問題とか機械の暴走という逃げで解決しようとしてましたから、これはありえないような気がします。
ジェイミー・フォックスのインタビュー記事を読むと、文面からは「本当は出たくなかった」とでも言いたいような雰囲気があったことが救いなのかも・・・
やはり出たくなかったんだね。ジェイミー。良かった。
そういえばkossyさんとこのコメントに監督ダグ・リーマンって書いたけど、ロブ・コーエンの間違いでした。
ブルース・リー物語とかワイルド・スピード撮った人でボーン・アイデンティティは撮ってませんでした。間違い間違い。ははは
突っ込みどころの幾つかは、オカシイやろ!って
突っ込み入れたポイントでした。
NHKの大河ドラマなんかみてると、時代考証って
担当者がいるけど、ハリウッド映画にはそういう
○○考証って担当居ないのでしょうか・・・
いや~、凄い映画でしたねえ。
この映画をネタに、居酒屋で1時間盛り上がりましたw
衝撃的なオープニングから、失笑モノのエンディングに至るまで、隙間無く「バカ」が詰まった怪作ですw
私はとても嬉しいです・・・・(苦笑
無駄に時間とお金をつかってしまいました・・・。
下手に考証するとシナリオ全書き直しなので・・
>タイプ・あ~る様
たしかにバカの塊でした。ただし構成が悪く間延びするのであんま楽しめなかったです
>しまりす様
金はともかく時間の無駄でしたね。俺が編集したら45分の映画にする
>まつさん様
まつさんの姿勢に心が洗われます・・
この映画の題名みるとむしょーに腹立たしくなる…うぅ。
酷評万歳っ!
なんか"Ray"の前に撮ってた映画と、どっかで読みました。真偽は定かでないですし、あまりにひどい出来にジェイミーのエージェントがそのように歴史改ざんしたのかもしれないです
なんにせよジェイミーに汚名挽回のチャンスを
ジェシカはこのままアホ女優で突っ走ってもいいかも・・
ホントに無茶苦茶な映画でしたよね…。
誰が考えたんだか、あのシナリオ。
正直、途中で意識が飛んでいたので、認識していないシーンもあると思うのですが、とにかくバカ映画でした。