ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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電車を押して救出、世界が賞賛した日本人の美徳

2013年08月09日 | Weblog

 2013年7月29日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「朝刊ピックアップ」で記事 
 
「電車を押して救出、世界が賞賛した日本人の美徳」
 
を企画、取材、執筆しました。
 


 けさの朝日新聞に「ニュースがわからん 電車とホームの間の女性どう救出したんじゃ?」という記事がある。これはフクロウのホー先生というキャラクターが、話題のニュースを解説する記事。

 この女性救出劇については、読売新聞に詳しい。同紙7月22日付夕刊によると、22日(月)午前9時15分頃、さいたま市南区のJR南浦和駅京浜東北線ホームで、大宮発磯子行き普通電車から降りようとした30歳代の女性乗客がホームと車両の間に落ち、腰のあたりを挟まれた。

 現場に居合わせた同紙記者によると、事故当時、ホームで「人が挟まれています」というアナウンスが流れ、電車の乗客らが自主的に降車。そして車両を押していた駅員を車内やホームにいた乗客が手伝い、約40人で協力して、数分後に隙間を広げて女性を救出し、乗客らから拍手と歓声が起きたという。この記事は、皆で電車を懸命に押しているカラー写真付きで掲載された。

 その後、この救出劇は世界中で報じられた。同紙7月26日付朝刊の「海外で絶賛報道 電車押し 乗客らが女性救出」によると、米CNNテレビでは、キャスターが「日本から素晴らしいニュースです」と前置きし、女性救出を報じ、「生死に関わる状況で、駅員と乗客が冷静に協力した」と称賛。電車が約8分後に通常運転を再開したことも合わせ、「おそらく、日本だけで起こりうること」と伝えた。

 英ガーディアン紙は、「(駅員や乗客が)集団で、英雄的な行動を示した」と報じた。イタリアの主要紙コリエーレ・デラ・セラのウェブサイトには「イタリア人だったら眺めるだけだろう」とコメント。香港の中国政府寄りの論調のフェニックステレビのウェブサイトには、「中国で同様の事故が起きれば、大多数の人はやじ馬見物するだけだ」といった書き込みもあった。

 ロシアの大衆紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」(電子版)では「どうしてこんなに迅速に乗客が団結できたのだろうか」「他人の命に対して、我々ロシア人も無関心であってはならない」という驚きのコメントが寄せられた。

 タイのニュース専門チャンネル最大手TNNは、「日本の人々が生来の結束力を余すところなく示し、困っている人に助けの手をさしのべた、素晴らしいニュース」と紹介。タイのソーシャルメディアでは、「日本が、また世界を驚かせた」「とっさにこのような行動ができる日本人は、どのような教育を受けているのか」との声も出ているという。

 なお、冒頭の朝日新聞のホー先生の記事によると、JR東日本の話では、乗客が挟まれて、足や腰が抜けなくなることはめったになく、ましてや人の力で電車を傾けて救出することは前代未聞という。

 はからずもこの救出劇は、「和を以て貴しとなす」(十七条憲法第一条)から連綿と続く日本人の美徳を、世界に知らしめることになったといえよう。(佐々木奎一)


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