ジャーナリスト活動記録・佐々木奎一

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二木啓孝氏が語る、実は“すれ違い”だった日米2プラス2

2013年10月24日 | Weblog

 平成二十五年十月四日、auのニュースサイト EZニュースフラッシュ増刊号
 
「今日のニュースに一言」で
 
 ジャーナリスト・二木啓孝氏の記事
 
「二木啓孝氏が語る、実は“すれ違い”だった日米2プラス2」
 
を聞き書きしました。

 

 東アジア地域の防衛外交問題を話し合う、日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)が昨日、行われた。各メディアはそれぞれ中身を伝えているが、日米双方、微妙なズレがあることに注目すべきだ。

 サプライズは、アメリカのケリー国務長官とへーゲル国防長官が揃って千鳥ヶ淵の戦没者墓苑に行き献花したことだ。太平洋戦争では敵味方に分かれ、この戦争で犠牲になった約36万人の日本兵や民間人の遺骨が眠る、この場所に献花したことは、中国や韓国に対する鋭いメッセージだった。つまり、靖国神社ではなく、この戦没者墓苑に行ったという意味は、今の安倍政権が靖国神社を英霊たちの象徴に置くことに対してのアンチテーゼだ。

 会合の中身の中心は、中国の尖閣諸島に対するアプローチだったが、結局、共同の文書には、中国を念頭に、「海洋における力による安定を損ねる行動」は「平和と安全に対する脅威及び国際規範への挑戦」としなからも、肝心の「中国」の文字は入れられなかった。日本側は、尖閣諸島へ中国の軍や民間船が居座った場合の対応について、これまでのガイドラインでは想定されていないため、この問題を共同で当たっていくことを合意したかったが、アメリカ側はこれをするりとかわした。

 アメリカにとって、今必要なのは、東アジアの緊張ではなく、むしろ、緊張を緩和させる方であり、とりわけ世界的な意味では、今、シリアを軸とした中東問題に傾注せざるを得ない。つまり、アジアの軍事プレゼンスは相当に下がっている。

 今、アメリカがシリア問題を軸に、世界の憲兵の位置から自ら降りようとしている中、今の安倍政権が緊張を高めるという方向のズレが、ここに出てきている。

 軍事外交の要は、いかにして敵に対処するかではなく、いかにして敵を中間までもってくるか、ということである。今アメリカは、中国を敵から仲間にしようと考えている。他方、日本は、中国を敵視する方向に向かっている。そのズレが2プラス2で出てきた、と視るべきである。


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