ラルプデュエズ

 重厚でありながら力強く、地鳴りが響くようなヤン・ウルリッヒの走りが昨日のラルプデュエズにはありました。
 今大会、不調と言われながらも一昨日の果敢なアタック。そして昨日の渾身のペダリング。まっすぐに進路を見据える彼の目には、一流アスリートしか発揮しえないであろう、雄々しさを感じることができました。

 「総合は無理でも、せめてラルプデュエズは取ろう」
 そんな想いもあったのかも知れません。昨日のウルリッヒは、確実に、これまで彼を阻んできた壁の向こう側にいました。

 でも結局ランス・アームストロングにはかなわなかった。彼の夢、我々の夢は、バッソが第一チェックポイントを通過した直後、黄色いジャージが姿を見せたことで、あっさりと終了してしまいました。
 たしかにランスの走りもすごかった。ウルリッヒとは逆で、軽めのギアを高速で回していく様は、軽快そのもの。ウルリッヒが地鳴りならば、ランスは風と言えるかも知れません。

 持ちうる限りの全力、もしかしたら限界を越えたところまで力を発揮していたウルリッヒ。それでも王者には完膚なきまでに、叩きのめされてしまいました。

 王者とそれを追う者の対決。王者の完全勝利で終わりましたが、昨日は、破れ散ったウルリッヒがドラマの主役だったように思われます。

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