2004.7.7 日本プロ野球死刑宣告

 NHKによるナベツネへのインタビューを見ました。
 ・経営が苦しいところ(パシフィックリーグ)が合理化を図り、富めるところ(セントラルリーグ)が救済しなければ、プロ野球全体が沈んでしまう。
 ・選手会には、「このまま(プロ野球団全部が共倒れして)全員が失業するのがいいのか?」と言いたい。

 興味をひく発言は上記の2点。
 ……もう、アホかと。

 80年代後半以降、富が一局に集中して球界全体の貧富の差が激しくなるように仕向けたのは、どこのどいつだ。
 それを「企業努力」だと言って、開き直っていたのは、どこのどいつだ。
 他球団の改革意欲に対して、「そんなことするなら、新リーグを作る」と言って頭からつぶしてきたのは、どこのどいつだ。

 こうしたことを尋ねることもなく、ご用聞きのようにインタビューを垂れ流すNHKにも驚きですが、今回のナベツネのインタビューには心底、驚愕しました。

 で、本日のオーナー会議。堤氏の発言による「もう一組の合併」でメディアはもちきりですが、そんなことより「近鉄・オリックスの合併」が既定事実として進んでいることの方が問題でしょう。近鉄は、なぜ3月時点であったと言われるライブドアの買収申し出をキャンセルしたのか、その説明責任を一切果たしていないではないですか。
 そこの説明がなく、いきなり11球団(あるいは10球団)ありきで話をされても、一ファンとしてまったくお話になりません。

 堤氏の話にしても、10球団1リーグ制にして各チーム3軍までもてば、12×2=24(現状)よりも、10×3=30(堤構想)で、チーム数も増えるではないかって…。
 経営が苦しいはずのチームがどうやって3軍まで運営するのでしょうか? 1リーグ制にすると、途端に3軍まで余裕でまかなえるようになるのでしょうか?
 単純に1カテゴリあたり30人のグループを作ったとしても(現在は1軍枠が40人)、30(人)×3(軍)で90人。けが人を含めて考えれば、100人規模の選手を保有しなければならなくなるのだけれど、それでも1リーグというのは潤沢に運営できるのでしょうか? ならば、その根拠を示して欲しい。

 それとも下部カテゴリは独立採算にして、各地方で身の丈にあった運営を心がけるのでしょうか? そうだとすれば、幾分は納得がいきます。
 しかし、そうであるならば、既存ファンの声に耳を傾け、せめて近鉄やあるいは他の球団を身売りの上、下部カテゴリに配することはできないのでしょうか?

 堤氏は、アイスホッケー連盟の名誉会長として活躍中。一昨年、いずれも自社のチームである西武鉄道とコクドを合併させた経験をお持ちの方。愛するチームを失うファンの気持ちには、鈍いのでしょう。

 私自身は、”1リーグ=不可”だというつもりは実はありません。たしかに、1試合の重みがサッカーほどない野球においては、2リーグにしてポストシーズンを置いた方が盛り上がるだろうと考えますが、それでも観戦して面白い形を提供していただけるなら、1リーグでも構わないと思っています。

 でもオーナー達に言いたいのは、「お前ら、その前に考えるべきことがあるだろ!!」ってことです。
 ファンが何を望んでいるのか。野球文化を真に支える人々の声に耳を傾けることなく、一部年寄りの横暴で改悪を続けるのであれば、野球はいよいよ衰退していくでしょう。

 現状の読売一極集中が改められないまま、1リーグ制に移行するならば、合併や新カードで一時的に経営状態が回復したとしても、かならずまた経営難に陥る球団が出てきます。そうなった時、日本からプロ野球がなくなってしまうことでしょう。
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世界を見ろ

 玩具メーカーのバンダイから、「子ども(6~12歳)のあこがれるスポーツ選手」に関するアンケート調査が発表されました。

 お子さまの憧れのスポーツ選手は?

 アンケート上位10人は上から、1.松井秀喜(野球)、2.イチロー(野球)、3.ベッカム(サッカー)、4.福原愛(卓球)、5.谷亮子(柔道)、6.高橋尚子(陸上)、7.栗原恵(バレー)、8.中田英寿(サッカー)、9.ボブ・サップ(格闘技)、10.松岡修造(元テニス)とのこと。

 さーっと結果を眺めて感じるのは、第一に「野球が少ないなぁ」ということ。そしてもう一つは、「野球もサッカーも国内プロリーグの選手がいないじゃん」ということ。(ちなみに男子限定では、阿部慎之助、高橋由伸、赤星憲広、清原和博がトップ10に入ってます、詳しくはリンク先を)

 私が子どもだった頃には、この手の調査は野球選手(巨人選手)の独壇場だったような記憶があります。それを考えると、現代の子どもたちは価値観が多様化しているようで、うれしい限り。あえて、アンケート結果に傾向を見いだすとすれば、いずれの選手も世界と戦っている選手たちだということになるでしょうか?

 トップ10に入っている中で、もっともドメスティックな活動をしているのはボブ・サップ。他の9選手は自国以外のフィールドで、さまざまな国籍の選手と真剣勝負を繰り広げているアスリートばかりです。
 子どもたちの目も、今や世界を見ているのでしょうか? 国内で完結してしまうスポーツは、子どもたちの支持を得づらくなっているように思われます。

 今後、プロ野球やJリーグ、あるいはバスケ、バレー等の国内リーグが人気を高めていくヒントは、このアンケート結果に示されているような気がします。
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