読書の記録

評論・小説・ビジネス書・教養・コミックなどなんでも。書評、感想、分析、ただの思い出話など。ネタバレありもネタバレなしも。

森見登美彦・涼宮ハルヒの憂鬱・他

2011年06月28日 | 複数覚え書き

森見登美彦・涼宮ハルヒの憂鬱・他

 

とにかく仕事のほうがむちゃくちゃ忙しかったのである。こんなに忙しいのも何年ぶりかといくらいの数カ月となってしまった。

だから、まともに本が読めない。

とはいえ、こういうときは仕事ばっかりしていてもよくない。僕はとくに仕事が好きなわけではないので、本でもなんでも、ココロの逃避上をつくっておかないと精神が荒廃していく一方だ。

というわけで、こういうときはあまり頭を使わない―というか、気軽に、深刻ではなく、だがしかし、次はどうなると推進力のある小説を携えておくことが理想である。小説といっても、読後が重たいの、たとえば社会派めいていたり人間の暗部をついたようなのはこういうときはNGだ。だから「告白」とか「八日目の蝉」とかかなり面白いらしいのだがひとまずパスした。また、本格推理とかハードSFのような、常に油断ならないものもあまりふさわしくない。「虐殺器官」読もうと思っているのだがまだ手をつけていない。

さらにこれらに加えて文庫本であることも重要である。食事や通勤、あるいはエレベーターの待ち時間などにささと引っ張り出して読めることが求められる。

 

というわけで、この3カ月の間、ひたすら読みやすいエンターテイメント小説を手に出していた。それが以下である。

・森見登美彦 夜は短し歩けよ乙女
・森見登美彦 四畳半神話体系
・森見登美彦 恋文の技術
・森見登美彦 走れメロス
・森見登美彦 美女と竹林
・有川浩 阪急電車
・有川浩 図書館戦争
・鯨統一郎 新・日本の七不思議
・三上延 ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち
・越谷オサム 陽だまりの彼女
・谷川流 涼宮ハルヒの憂鬱
・谷川流 涼宮ハルヒの溜息
・谷川流 涼宮ハルヒの退屈
・谷川流 涼宮ハルヒの消失
・谷川流 涼宮ハルヒの暴走
・谷川流 涼宮ハルヒの動揺
・谷川流 涼宮ハルヒの陰謀
・谷川流 涼宮ハルヒの憤慨
・谷川流 涼宮ハルヒの分裂
・谷川流 涼宮ハルヒの驚愕

 

こうやって並べてみると、涼宮ハルヒシリーズの存在感あるな。

 

まず、森見登美彦だが、実はまったく初見で、やたらに平積みだけされていたのだけは知っていたのだが、立ち読みさえしたことがなかった。たまたま、職場の同僚が「夜は短し・・」がめっぽう面白い、というので、どれどれとあまり期待せずに読み始め、そのまま没入した次第である。

好悪わかれそうな文体だが、個人的にはけっこう好きである。清水義範をちょっと思い出させる。最初に読んだのが「夜は短し歩けよ乙女」で、けったいな世界観と不思議にひきこむ文章で、そのままひきこまれた。しかも、彼の小説はなんとなく舞台や小道具が各作品つながっていることもあり、そのまま次々と読むに至った。「恋文の技術」なんてけっこうな離れ業でしかも、荒唐無稽と思いきや、なかなか説得力もあって、最後のほうはけっこう唸ってしまった。「四畳半神話体系」は、最初はなんじゃこりゃとむしろ引き気味だったのだが、第2話を読み始めて、ああ、そういうことなのね、と作品の「主旨」がわかったら、俄然たのしくなった。

有川浩は残念ながら二冊で打ち止め。ちょっと自分の琴線と違うかも。大人気なのはわからなくもないが、個人的にはあと半歩、ココロか仕掛けかギミックに踏み込んでほしいという感じ。

越谷オサムの「陽だまりの彼女」は、これも行き帰りの電車と食事中に読破したものの、実はしてやられた。この喪失と安寧がごちゃっとなる読後感は、あんがい類例がない。最後まで読んで、ああそういうことかともう一度随所を読み返す。

鯨統一郎の「新・日本の七不思議」は、作者自身が小説の体を諦めたのではないか。言い方悪いがやっつけ仕事のようにも見えるぞ。彼の歴史ミステリーは、なんだかんだでデビュー作の「邪馬台国はどこですか」が秀逸な気がする。

三上延のはなかなか選書がマニアックであってシリーズ化希望。

 

涼宮ハルヒシリーズは、これも存在はむろん知っていたわけだが、この手のジャンルにまったく無縁だった。だが、「驚愕」が東京駅の本屋で平積みされ、都内の大型書店でランキング1位に入ってきたり、ユリイカで特集が組まれるとなると、本好きとして知らないわけにはいかないような気概にかられ、購入した。この文章と内容なら多忙であっても1日1冊のペースでいける。最初の1冊目「憂鬱」は、まあライトノベルというのはやっぱこういうやつなんだなという具合で読んでいたのだが、「消失」あたりからけっこう面白くなった。いい感じに作者にエンジンがかかった気がする。やたらに衒学な引用をちりばめてきたり、いろいろなSFプロットを借用してきているなど、なかなかどうしてやるもんである。今まで完全無視してきた不明を恥じたといっていいくらいである。たまに入ってくる挿絵が、電車の中などで読んでいてハズカシイのが欠点。

まあ、そんな感じである。ここ数カ月はとにかく仕事が忙しく、とにかく殺伐としたココロにだけはならないよう気をつけたい。

 


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 平凡倶楽部 | トップ | ルー=ガルー2 インクブス×ス... »