美しき旋律 麗しき雑音

忘れるための記憶/覚えておかないための記録

カニを食らいに晩秋の日本海へ(その3)

2005-12-03 09:44:56 | 旅行記

甲羅にのせられたカニみそに火がつけられ、どうぞ召し上がれ。さあ、カニとの対決(大げさ)が始まった。最初はビールだったが、早々に切り上げ香住鶴の冷酒へ。軽く火が通ったみそが旨い。うーん、冷酒に合う。続いては、カニ刺し。これでもかの量で皿に盛られている。まずはそのまま一口。少し醤油につけて一口。さっきのみその残りにつけて一口。おおー、旨い。しかし量が多い。食べても食べてもなくならない。じゃあ、あとはお前に任せた、と一人に押し付け、続いての焼きガニへ進む。

おっとその前に冷酒がなくなった。途中で買った香住鶴大吟醸を開ける。さらにすっきりした飲み口。旨いです、これまた。普段は飲みに行っても焼酎が多い今日この頃であるが、旅先ではやっぱり地の日本酒がいいよなあ。さあ、焼きガニ食うぞ。ここの「焼き」は炭火焼とかではなく、いわゆる陶板焼ってやつ。うわー、身がジューシー。これまた別のおもむきの旨さである。これの量も半端じゃなかったが、なんとかクリア。もうこれでも充分満足や、という空気が3人の間を流れる。しかし、まだ大物が待ってるぞー。

残りは2品。鍋はちょっと置いておいて、こっち先いこう。香住港共進丸の緑のタグが付いた茹ガニ。地物で実に立派なサイズ。仲居さんからも美味しいよってお墨付き。さあ、いただこう。これまでも口数が少なかった3人だったが、さらに無言。うーん、くゥー、かーっ、おおー、ってな感嘆の声だけが響く。身はもちろん、これもみそが美味。正直、これまでカニみそを旨いと思ったことはなかったが、今回はまったな。新鮮だったからってことかもしれないが。なんとかかんとか私は完食したが、1人はまだまだ終わる様子無し。

鍋はもういいわ、って感じであったが、雑炊は食いたいねってことで、贅沢にもダシをとるためだけにカニを鍋へ投入。野菜も適当に入れる。もったいないのでカニは何とか食べる。野菜はほとんどガラ入れに消える。お百姓さんごめんなさい。そうして出来た贅沢な雑炊はやはり美味でござんした。半分以上残ったカニは冷凍してくれるってことで、お土産に持って帰ることにした。

1人のいびきがうるさく今イチ眠りが浅かった夜が明け、朝飯の時間。昨夜あれだけ食べても腹が減るのだなあ。みそ汁にはやっぱりカニ。いいダシが出てる。カレイの干物も旨い。ご飯もキラキラしてた。

早めにチェックアウトし、海沿いの道で帰路へ。柴山、竹野、城崎とカニの有名どころを越え、向うは出石。お昼前に到着し、早速いつのもそば屋へ。一人皿そば20皿食べると認定証が貰える。前回は1人リタイアしたが、今回はやる気のよう。追加の待ち時間が危険ということで、早め早めに注文する。で、なんとか3人で60皿をたいらげる。私は余裕だったが、ギリギリだった1人はグロッキー気味。少々休憩の後、出石を後にする。昼を過ぎ、人も車も増えてきて、駐車場の入口では空き待ちの車が鈴なり。早めに着いてよかった。観光客の間を縫って、国道へ。後は走り続けるのみ。

気持ちのいい田舎の道をグングン走る。のどかな風景を楽しみつつドライブ。ストレスもどっかいってしまう気持ちよさ。そういえば、2・3日前からあった首の痛みも治まってる。たまにはこういった息抜きが必要ってことか。

瑞穂からR173で南下。途中るり渓寄ったり、妙見山越えしたりしながら早めの帰着。そのまま塚口の焼鳥屋に移動し、軽く打上げ。ここでも日本酒気分で一杯やる。早めに解散し、帰宅。

今回、食いに食ったが、翌朝の体重計では元の値。カニはヘルシーなのかな。もう当分いらん、って思ってたけど、すでにまた食いたくなっている、そんなカニの魅力よ。

(おわり)


カニを食らいに晩秋の日本海へ(その2)

2005-11-30 11:56:33 | 旅行記
大乗寺を後にする。106の走りは相変わらず快調。ちょっと走ると、そこが香住の市街地。まあ、小さな町である。とりあえず今夜の民宿に向けて車を走らせる。と、あっという間に到着。まだ15時。宿の周りは特に何もなさそう。これじゃ、時間持て余しそうってことで、そのまま宿の前を走り抜け、R178を西へ向かう。

おお、出た。餘部鉄橋。相変わらず高い。これまで何度か車を止めて見上げたので、今回はそのままスルー。駐車車両も多かったしね。しかし、ここ、いつ来ても何となくもの悲しいイメージがある。昔の列車転落事故を思い起こすからか。そうそう、この鉄橋、近々建て替えるのかな。「ありがとう」ってな垂れ幕がかかってた。

106は走るよ、どこまでも。ってことで浜坂町に到着。せっかくだから浜辺へ行こうってことになる。が、道はどんどん狭くなり、これ以上行くと身動きが取れなくなる。いくら小さな106でもね。ちょっとドキドキしながら小道をグルグルした結果、何とか大きな道路に出る。浜辺はあきらめて、元のR178を今度は東へ。

早々にまた宿の前に到着。まだ、早いか。そのまま通り過ぎる。香住の海岸沿いを東へ。と、海水浴場を発見。どでかい駐車場も完備。こりゃ、ちょっと降りてみよう。駐車場に車を止めて海辺へ。護岸ブロックにあたる波が飛沫を上げている。その右手にきれいな砂浜発見。ちょうど満潮時期なのか、結構そこまで波が来てる。砂浜に「L・O・V・E」とか書いて写真を撮りたかったのだがあきらめる。

もうえーやろうってことで、宿へチェックイン。勝手にボロい民宿をイメージしてたが、結構きれいな建物。少々の運転疲れを感じながら、ビールを飲む。ほっと落着く瞬間。じゃあ、風呂にでも入るか。一応温泉のようだし。浴室はまあまあの広さ。お湯の温度も適温。深さも適当。ゆったり温泉につかる。

風呂上りはお決まりのビールだ(って、さっきも飲んでたが)。軽い酔いを感じた頃、夕食の準備をってことで仲居さんが3人部屋に入ってくる。3人がそれぞれテキパキと担当職務をこなしていく感じ。あっという間に完了。しかし、まだ食べないでね、と言い残して次の部屋へ。テーブルに並べられたカニをしばし眺める。食べきれるか?この量。

ちょっぴり不安になる3人であった。

(つづく)


カニを食らいに晩秋の日本海へ(その1)

2005-11-28 17:16:27 | 旅行記
いつもは綿密なスケジュールを立てて臨む旅行であるが、今回は忙しくてそれも出来ず。とりあえず、出発時間だけ決めとく。8時15分頃家を出て、一人二人拾って、中国道宝塚ICへ。近所にも関わらず、道を間違いちょっと遠回りになる。まあ、いいか。

中国に乗るといきなり渋滞(15分くらい)の表示。でも、結局すぐに解消したようでスーイスイ。追越車線に出ると永遠に追い越し続けないと気がすまない私は自重して一番左の車線をトロトロと。さらに進み、舞鶴道に入る。と、いつもと違う光景。いつ走ってもガラガラのこの道、今日はえらい混んでる。途中、休憩した西紀SAでもトイレが激混み。なるほど、日帰りカニツアーのバスが多かったのだ。

サービスエリアで思い思いの朝食を食べた後、早々に出発。走り出してすぐの春日ICで降り、そこから延々下道。昼飯はどうするか。相談の結果、出石そばは明日にすることになった。飲食店を探しながら走るが、適当な店が全然ない。あっても、閉まってる or 準備中(結局閉まってる)。話の中で、但馬牛のステーキが食べたいなーってなってたのだが、どーにも店が見当たらないため、仕方なく、休憩がてら止まったハチ北の道の駅の軽食で我慢。私はラーメンと焼飯のセット(850円)。テーブルに置いてあった一味(脂肪が燃焼する!って書いてあった)をラーメンにかけまくる。普通のしょうゆラーメンがピリカララーメンに変身だ。他の二人はよーやるわって顔してたが、結構旨かった。身体は熱くなったが。

しかし、天気も道も106の調子も最高である。って、もうちょっとで目的地着いてまうで。このままじゃ、早々に着いてしまうのでところどころ休憩しながら進む。道沿いにあった香住鶴の工場兼お店に寄って大吟醸と山廃吟醸を買う。いろんな種類の酒が試飲出来たのだが、今日は自粛。匂いだけかぐ(残念ながら味は想像出来なかった)。

さらに北上し、続いては大乗寺を訪ねる。このお寺は円山応挙と息子・弟子たちの襖絵が観覧できる。これ、特に期待はしていなかったのだが、非常に感銘を受けた。絵は襖の中だけにとどまらず、物によっては、実物の池とつながっていたり。また、八方にらみで描かれた物は、場所を変えても常に目が合ってたり。これってメタ絵画と言えるのではないか。こういった手法を音楽に生かせないかと感じた1時間だった。今後、考えてみよう。

さあ、そろそろいい時間だ。目的地へ向かうか。そこにカニが待っている。

(つづく)