ドアを開けると、コーヒーの香りが漂ってきて、
マスターが、「久しぶりだね」と、声を掛けてきた。
「何だか、忙しくて・・・。」
「まあね。忙しい方が貴方らしいけど、冬子さんが、寂しがっていたよ。」
マスターが、運んでくれたコーヒーを口にしながら、カウンターに目をやると、
足だかのワイングラスに紫陽花が一輪さり気なく活けてある。
そういえば、昔、花を習った事があるって聞いたような・・・。
マスターって、一見無骨だけど、実は奥が深いような、不思議な人だ。
ドアが開いて、汗を拭きながら女の人が入ってきた。
「つめたーいアイスコーヒー飲みたい。」
マスターが呆れたように、アイスコーヒーをテーブルに置くと、
一気に飲み干して、「ハーッツ、生き返った」と呟いている。
見たことのない人だけど、マスターは、知っているらしい。
私に気づくと軽く会釈をした。
「マスターの同級生なのよ、私」ちょっと濃いめのメークをした女の人が唐突に言った。
「今はくたびれた、おじさんだけど、昔は、ちょっと憧れていたのよ。」
問わず語りに話だす女の人に、苦笑しながら、お替わりのアイスコーヒーをマスターが黙って置く。
何だか、面白そう・・・。
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