国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は今年(2024年)1月26日、イスラエル側からの情報に基づき、イスラム組織ハマスなど武装勢力による昨年10月7日のイスラエルへの奇襲攻撃〔*軍人を含む約1200人を殺害したほか、約240人を人質〕に複数のスタッフが関与した疑いがあるとして、調査を始めると発表した。関与が疑われているのは、今のところ12人。
これを受け、米国務省は同26日、「必要な措置が講じられるまでの間、追加の資金拠出を一時停止する」旨をさっそく表明した。カナダも同調した。
翌27日までに、他に英国・ドイツ・オーストラリア・イタリア・オランダ・フィンランド・スイスも資金拠出停止を決め、計9か国になった。
「朝日新聞デジタル」2024.1.28「対UNRWA資金拠出停止、9カ国に」
「毎日新聞web」2024.1.28「ハマスによるテロに国連スタッフ関与疑惑 9カ国が資金拠出停止」
「NHK NEWS WEB」2024.1.27「国連スタッフがハマスのイスラエル奇襲関与か UNRWAが調査開始」
「BBC NEWS」2024.1.28「UNRWA claims: UN chief in aid plea after accused of helping Hamas in Israel attack」
イスラエルとしては、国際世論が「イスラエル悪玉」論に傾きつつある中、「国連機関とハマス(とガザ市民)がグルになって、イスラエルに対しテロを仕掛けている」的な流れを作りたかったのだろう。国際司法裁判所にジェノサイド(集団殺害)の嫌疑で南アフリカ共和国に提訴されたことも、関係しているのではないか。
だが現在のところ、「UNRWAが組織的に10/7の奇襲攻撃に関与した」という証拠も関連情報もなく、「スタッフ12人が個人的に関与した疑いがある」ということだ。外部機関による調査が進められているという。
米国は、ガザ地区の一般住民を集団大量虐殺〔*昨年10月から今年1月27日までに26,000人以上が死亡。うち約7割が女性や子ども〕を続けるイスラエルに対しては、惜しみなく軍事支援を続ける〔*当ブログ2023.12.11「米国は「国家テロ」の共犯であり続けるのか」参照〕一方で、UNRWAに対しては今回のように「言いがかり」的な圧力を掛けている。
米国の言動からは、「イスラエルを応援したい」「イスラエルのガザ地区での軍事攻撃を正当化したい」という意向しか見えてこず、正当性に関する説得力が全くない。「米国のダブルスタンダード(二重基準)健在」ということを示しただけで、世界中の「心ある人々」から顰蹙(ひんしゅく)を買うこと必定だ。
これら「資金拠出停止」を決めた諸国は、「国家ぐるみでガザ地区の26,000人以上を虐殺している」イスラエルに対して、「同じ基準」で対処してほしいものだ。
対照的に、ノルウェーは今のところ立派な対応をしている。「個人が行なった可能性のあることと、UNRWAが何のためにあるかを区別する必要がある。何万もの職員が、支援物資の配給や人命救助などで重要な役割を担っている」などとして、UNRWAに対する支援を継続する方針を示した。
*「NHK NEWS WEB」2024.1.28「28日の動き イスラエル ハマス」参照。
日本政府には、是非とも、誤った対応をしないでもらいたい。
*この記事をアップした後で、日本政府も1/28に「UNRWAへの資金拠出を一時停止する」旨を発表していた、と知った。日本政府の対応は極めて拙いと思う。〔2024.1.29,23:25加筆〕
これを受け、米国務省は同26日、「必要な措置が講じられるまでの間、追加の資金拠出を一時停止する」旨をさっそく表明した。カナダも同調した。
翌27日までに、他に英国・ドイツ・オーストラリア・イタリア・オランダ・フィンランド・スイスも資金拠出停止を決め、計9か国になった。
「朝日新聞デジタル」2024.1.28「対UNRWA資金拠出停止、9カ国に」
「毎日新聞web」2024.1.28「ハマスによるテロに国連スタッフ関与疑惑 9カ国が資金拠出停止」
「NHK NEWS WEB」2024.1.27「国連スタッフがハマスのイスラエル奇襲関与か UNRWAが調査開始」
「BBC NEWS」2024.1.28「UNRWA claims: UN chief in aid plea after accused of helping Hamas in Israel attack」
イスラエルとしては、国際世論が「イスラエル悪玉」論に傾きつつある中、「国連機関とハマス(とガザ市民)がグルになって、イスラエルに対しテロを仕掛けている」的な流れを作りたかったのだろう。国際司法裁判所にジェノサイド(集団殺害)の嫌疑で南アフリカ共和国に提訴されたことも、関係しているのではないか。
だが現在のところ、「UNRWAが組織的に10/7の奇襲攻撃に関与した」という証拠も関連情報もなく、「スタッフ12人が個人的に関与した疑いがある」ということだ。外部機関による調査が進められているという。
米国は、ガザ地区の一般住民を集団大量虐殺〔*昨年10月から今年1月27日までに26,000人以上が死亡。うち約7割が女性や子ども〕を続けるイスラエルに対しては、惜しみなく軍事支援を続ける〔*当ブログ2023.12.11「米国は「国家テロ」の共犯であり続けるのか」参照〕一方で、UNRWAに対しては今回のように「言いがかり」的な圧力を掛けている。
米国の言動からは、「イスラエルを応援したい」「イスラエルのガザ地区での軍事攻撃を正当化したい」という意向しか見えてこず、正当性に関する説得力が全くない。「米国のダブルスタンダード(二重基準)健在」ということを示しただけで、世界中の「心ある人々」から顰蹙(ひんしゅく)を買うこと必定だ。
これら「資金拠出停止」を決めた諸国は、「国家ぐるみでガザ地区の26,000人以上を虐殺している」イスラエルに対して、「同じ基準」で対処してほしいものだ。
対照的に、ノルウェーは今のところ立派な対応をしている。「個人が行なった可能性のあることと、UNRWAが何のためにあるかを区別する必要がある。何万もの職員が、支援物資の配給や人命救助などで重要な役割を担っている」などとして、UNRWAに対する支援を継続する方針を示した。
*「NHK NEWS WEB」2024.1.28「28日の動き イスラエル ハマス」参照。
日本政府には、是非とも、誤った対応をしないでもらいたい。
*この記事をアップした後で、日本政府も1/28に「UNRWAへの資金拠出を一時停止する」旨を発表していた、と知った。日本政府の対応は極めて拙いと思う。〔2024.1.29,23:25加筆〕