三酔人の独り言

ルポライター・星徹のブログです。歴史認識と国内政治に関わる問題を中心に。他のテーマについても。

米国は「国家テロ」の共犯であり続けるのか

2023-12-11 23:10:18 | 国際政治
 前回アップした当ブログ2023.12.10「パレスチナの子どもたちを殺す「米国の正義」」で、2023.12.8午後(米時間)に国連安保理で行なわれた「パレスチナ自治区ガザ地区での即時の人道的停戦」を求める決議案(*約100か国が共同提案)の採択が、米国の拒否権行使によって否決されたことを記した。さらに、この米国の対応を厳しく批判した。

 その上で、次のように述べた(*再掲部分は《   》内)。

《私は、当ブログ2023.12.4「ホロコーストは人類的な惨事だ」で次のように述べた。

 私たちは〈米政府への批判の度も強め、イスラエルへの武器・ミサイル・弾薬支援や経済支援を中止または大幅に制限させる必要がある。〉

〈もし米国がイスラエルに対しこうした強硬姿勢を採れば、イスラエル軍は確実に機能しなくなり、パレスチナ人へのジェノサイドの度合いはかなり弱まるはずだ。一部制限だけでも、イスラエルは大混乱に陥るだろう。そうした事態を引き起こすまで、米国を追い込む必要がある。〉

 米政府は、イスラエルの蛮行を止める気があるなら、イスラエル政府に対し「米政府の方針に従わないなら、貴国への支援(の一部)を停止する」と通告すればよいのだ。しかし、米国には「それ」がどうしてもできないようだ。外交面より「内交」面(*国内要因)に引きずられているのではないか。》

 だが、私の対米認識はナイーブすぎたようだ。米政府の「正義とは無縁なダブルスタンダード」と「国際法無視の自国中心主義」の根深さを、すぐに目の当たりにすることになった。

 米政府は12/9(米時間)、イスラエルに対する戦車用砲弾約14,000発などおよそ1億650万ドル(*日本円で約154億円)相当の武器の売却を承認した。通常の議会審査を省略し、緊急権限を行使したという。
 ロイターは12/8、「バイデン政権がイスラエルの戦車向け砲弾4万5000発を含む5億ドルを超える規模の武器売却承認を議会に要請している」と報じた。今回の承認はこのパッケージの一環。
「ロイター 日本語版web」2023.12.11「米、イスラエル向け砲弾緊急売却を承認 議会審査省略」を参照。
「NHK NEWSWEB」2023.12.10「米政府 イスラエルに砲弾など武器 約1億650万ドル相当売却承認」も参考にした。

 要するに、米政府は、12/8の国連安保理での「パレスチナ自治区ガザ地区での即時の人道的停戦」を求める決議案を拒否権行使で葬り去っただけでなく、イスラエル軍がパレスチナ人の集団殺害(ジェノサイド)を続けるのに不可欠な戦車砲弾などを「特別ルート」(*議会審査パス)で提供する、ということだ。

 確かに、米政府は「民間人への被害を回避するためのあらゆる手段を講じてほしい」とか「国際人道法を順守してほしい」などとイスラエル側に「求めて」はいるようだ。だが、「子どものお使い」ではないのだ。「言いました」というアリバイを残せば、それで責任を免れられるわけではない。

 現在のイスラエルの言動を見れば、米政府の〝要望〟はほとんど受け入れられず、今後も受け入れられる見通しは全く立たない。要望なり条件を相手に突き付け、もし守られなければ厳しくペナルティを課すというのは、米政府のいつものやり方ではないか。なぜイスラエルにはそれができないのか。

 米国は、「国家テロ」とも言えるジェノサイドの共犯国であり続けるのか。このままでは、米国の威信と信頼は世界中で大きく失墜すること必定だ。軌道修正すべき時ではないか。
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