三酔人の独り言

ルポライター・星徹のブログです。歴史認識と国内政治に関わる問題を中心に。他のテーマについても。

「ガザ虐殺やめろ!」 日本でもっと声を

2024-09-14 13:11:29 | 国際政治
↑ 約200人が「虐殺やめろ」などとコールを繰り返した。(2024年8月23日、東京・JR新宿駅東南口下広場。撮影:星徹)

 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザ地区(人口約230万人)でのジェノサイド(集団殺害)は、残念ながら続いている。昨年10月以降の同地区での殺害犠牲者は41,000人を超えた。さらに、ヨルダン川西岸地区でも、イスラエル軍はパレスチナ人を弾圧・殺害の度を強めている。

 こうした状況にも拘わらず、日本に於ける関連報道は少なくなりつつある。人々が関心を失ったのか? 決してそうではないだろう。やはり、国内での報道が少なくなったことが響いているのだろう。テレビニュースの多くは、国内の「しょうもない」ニュースばかり流し続けている。「〇〇さま」がどうしたとかいうニュース枠があるなら、もっと重要な国際ニュースを流せ、と強く言いたい。

 ガザ地区で起きているのは「人類的な惨事でありジェノサイドである」ということを、私たちはもっと深刻に考えるべきではないか。

 イスラエルもそうだが、米国も「深刻な病」に蝕(むしば)まれている。そう、つくづく思う。米国は、悪逆な国家テロを平気で行なうイスラエルによって完全に支配されている。大統領が民主党系になろうが共和党系になろうが、連邦議会でどちらが多数派になろうが、イスラエルを支持・擁護し続けるのだ。

 私は、米国の国家体制〔*形式面〕については一定の敬意を抱いている。米国的な国家体制を基礎とした民主主義国が世界中に広まり、さらにそうしたシステムに基づく国際共同(協同)機関〔*国連など〕が世界の平和と安定を目指して機能してほしい、と思っている。だが、米国は国内での内容面だけでなく、国際的なあり方に於いても、あまりにも問題が多すぎる。

 米国の国際面での立憲民主主義はロシアと同等にひどく、ご都合主義とダブルスタンダードに堕している。その堕落の際たるものは、国内の内容面と同じく「対イスラエル姿勢」と言えるだろう。このゴマカシとご都合主義によって、せっかく「国内での良い制度(形式・器)」を持つ米国による主張の正当性が、世界中で大きく損なわれている。普遍的な正当性が全く見えてこないのだ。

 日本政府は今、そうした米国に異を唱えることもできず、安全保障面で「米国一本足打法」とも言える「日米同盟のさらなる強化」に突き進みつつある。このままでは、日本は「ミニ米国」のようになってしまうのではないか。

 本当にそれでいいのか? 「良くない」と声を大にして言いたい。この問題について、私は当ブログで繰り返し述べてきた。下記などを参照されたい。

 当ブログ2023.11.25「「民主主義国」は国際的に立憲民主的か?」
 同2024.2.22「ジェノサイドUSAとロシア「良い国」化の悪夢」


 以下、社会民主党の機関紙「社会新報」に掲載された無署名記事を転載する。この記事は、私(星徹)が取材・執筆に協力したものだ。編集部の転載許可は得ている。

「社会新報」2024.9.12号「「ガザ虐殺やめろ」新宿行動 イスラエルと米国を徹底批判」

 昨年10月以降、パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエル軍に虐殺されたパレスチナ人は4万人を超えた。うち約7割が女性や子どもだ。この他に約1万体の遺体ががれきに埋もれているという。

イスラエル批判が浸透
 こうした虐殺が続く間も、米国からイスラエルへの資金援助や武器弾薬支援は続いている。実質的に、米国がイスラエルによるジェノサイド(集団殺害)を支えているのだ。

 また、米国以外のG7など「先進」諸国の多くも、イスラエルに対し批判・制裁することなく、逆に擁護さえしている。日本もその一国だ。

 だが、ガザ地区での市民への暴虐のひどさが多くの人に伝わるにつれ、日本国内でも「虐殺やめろ」という民意は徐々に広がり、イスラエル・米国批判の声が高まりつつある。

 8月23日の夜、東京のJR新宿駅東南口下の広場で街頭行動「イスラエルは虐殺をやめろ! 直ちに停戦!」が「パレスチナに平和を! 緊急行動」の呼びかけで行なわれた。約200人が参加した。

 街ゆく人の反応はとても良く、拍手やかけ声で賛意を表わす人も多くいた。

米国の不正義と傲慢
 パレスチナ人のノラさんは、米国最大のムスリム慈善団体だったホーリーランド財団が米政府と司法に弾圧された過去について語った。

 同財団は、2001年の米同時多発テロ事件の後、米政府がテロ組織と見なしたイスラム組織ハマスの関係団体に資金供与したとして解散させられ、創設者ら5人は最長65年の禁固刑を言い渡された。



↑ パレスチナ人のノラさんは、ガザ地区での虐殺を念頭に「子どもの命は平等ではない」と訴えた。(撮影:星徹)

 ノラさんは、「この財団はガザ地区やヨルダン川西岸地区の人々のためにインフラ整備の資金援助をし、貧しい子どものために資金援助や奨学金支援などを続けてきた」と語り、次のように不条理を訴えた。

「米国やイスラエルの法律では、助けてはいけない子どもたちがいる。多くの人は『子どもは平等だ』と言うが、現実の世界ではそうではない」

 この両国の基本姿勢が今でも変わらないことは、昨今のガザ地区でのジェノサイドの現実を見れば分かることだ。

 ノラさんは最後に、「私たちが止めないと、米政府もイスラエル政府もとんでもないことを平気でする」として、皆が異議を唱えることの重要性を訴えた。

子どもを殺すな
 ユダヤ系米国人のミシェル=ガーションさんは、イスラエルとそれを支援する米国への批判の鈍さに対し、いら立ちを隠さずに声を張り上げた。

「価値のない人なんていない。ガザ地区の子どもたちは日々、爆撃で殺され続けている。皆さんの子どもだったら、どうしますか? 声を上げてください」



↑ ユダヤ系米国人のミシェル=ガーションさんは「子どもたちを誰か救って」と訴えた。(撮影:星徹)

 その上で、パレスチナ人と日々交わすネットでのやり取りの内実を語り、ガザ地区の子どもたちが虐殺され、また死の縁に立たされる悲惨な状況について、絶叫するように訴えた。

「私はこうした悲惨な状況を前にして心が折れそうになる。子どもたちが死んでゴミ袋で運ばれる前に、誰か救ってください。行動してください」

 だが、米国では誰が大統領になろうと、イスラエルの暴虐を本気で止めようとはしない。停戦のために努力する素振りを見せながらも、イスラエルへの軍事支援を継続する様相だ。

 米国はイスラエルによって完全に支配され、ジェノサイドの共犯国に成り下がっている。
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