政治と報道をめぐる三部作第2部。父親と同じ新聞の世界に飛び込んだ新潟支局の新米記者・高樹和希のもとに、鈴木と名乗る謎の男から投資詐欺、選挙資金不正疑惑のタレコミがあり、初めてのスクープの予感に和希は沸き立ち、和希の父で今は社会部長の治郎もとにも同様の情報が入り部下を動かして共に取材を進める。時は、バブル崩壊、阪神淡路大震災と米国での同時テロを経て、時代が激しく揺れ動いていた1996年12月。新聞がインターネットに負けるわけがないと思われていた頃。しかし、その背後には、25年前に贈収賄事件で治郎と敵対し、以来マスコミの支配を目論む今は民自党の国会議員となった・田岡総司とその秘書で息子の稔の影がチラついていた。田岡の高樹への恨みが四半世紀も胸に抱き続け、怨念の中で生きてきたことに驚き。高樹が息子の和希に「一人の人間が生涯を懸けて対決していかないといけない課題」といい。新聞社内部の社会部と政治部の立ち位置の違いや争いも面白い。新聞を軸としたマスメディアが政治に取り込まれて行く過程がリアルに描かれている。後半ネタ元の意図、鈴木とは誰だがあきらかになる。孫世代2021年代の第3部「激流」に期待。
2022年7月角川春樹事務所刊

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