読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

堂場瞬一 著「夜の終焉」

2009-11-29 | 堂場瞬一
父母を殺され、いわれなき中傷を受けた真野亮介は、故郷・汐灘を捨て、独り厚木でひっそりと深夜営業の喫茶店を営む。
ある早朝、閉店間際の店を訪れた少女が店を出たところで事故に遭い、意識不明の重態に。
身元がわからない彼女の持つ手掛りの地図を頼りに、二十年ぶりに、汐灘に向かう。
一方父が殺人を犯し、家族がバラバラになり検事になる夢を諦めた川上譲は、東京で弁護士として、仕事に邁進していた。
そこに舞いこんだ故郷・汐灘からの依頼。死刑を望む殺人犯の弁護。
彼もまた二十年ぶりに、汐灘に向かう。
繭のように自分の殻の暗闇に閉じこもり、「殺人者の息子」への偏見に耐えてきた真野と封じ込めたはずの事件への恨みにさいなまれる川上、
犯罪被害者と加害者双方の家族が抱えるどこまでも深い闇をリアルさと心理状態を筆致で描いたミステリー人間ドラマ。
『きちんと生きてますか』『毎日100%と生きてきましたか?』(下巻186P)
東京から車で2時間、県庁所在地だが、都会の発展からは取り残されて街は寂れ、閉塞感が漂う架空の街「汐灘(しおなだ)」を舞台に犯罪被害者と加害者双方の家族の2人の男の鬱屈した感情がよく書かれている。
「街そのものが主人公」という著者だが昏睡状態の少女の身元捜しというミステリーの展開の中に心の闇からの開放と夜明けを向かえる
人間ドラマがしっかり描かれ途中少女の身元の想像がついてしまったが最後まで面白く読めた。
2009年10月中央公論新社刊

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