読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

東直己著「立ち向かう者たち」

2009-08-07 | 東直己
高校生の娘が被害者になった傷害事件の検察側の情状証人として裁判所に赴いた男が目にしたのは、意外なそしてやるせない被告の姿だった。犯人は知的障害を持つ中年男。「被告=悪者」「被害者=弱者」といううわべの構造だけで見ると間違いを犯すそんな真実を裁判員制度が始まった今考えさせられた。・・・表題作他
進退きわまって、正義や道理が通用しない目に遭って、人生の敗者になったと感じても。まだ、終わらない。容赦のない日々が、続いていく。強い逆風に、立ち向かって歩くしかない。自分だったかもしれない彼らを、 人生の敗者や弱者への共感を込めて描き出した傑作短編集。「作り話」「悪酔いの男」「重り」「疑惑」「責任」「ケンシの人」7つの短編集。「疑惑」と「責任」は一つの事件を元妻と元夫から描いた連作短編。
この著者の長編はやたら自論の展開が長くくどいが難点で閉口していたがこの短編集は短くまとまって心地好い読後感が味わえた。
この著者の時々原稿料稼ぎに思える無駄話入り長編ものより短編のほうが文章が推敲されていていいように思える。
2009年6月光文社刊



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