探偵・杉村三郎シリーズの第4弾。前作『ペテロの葬列』で、妻の不倫が原因で離婚をし、義父が経営する今多コンツェルンの仕事をも失った杉村三郎の「その後」を描かれています。失意の杉村は私立探偵としていく決意をし、探偵事務所を開業。ある日、亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査してほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫による離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺しだったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年に起きた女性殺人事件と関連していることが・・・表題作「希望荘」他、死んだはずの老女が車椅子に乗っているのを見たという人がいるという事で真相を探る話・・・「聖域」杉村が家族も仕事も失い、故郷の山梨に帰り、そこからまた東京に戻って探偵事務所を開くまでの経緯が語られる・・・「砂男」東日本大震災の出来事を絡めて展開する行方不明の男を探す・・・「二重身(ドッペルゲンガー)」の4編が収録されている。
探偵として事件の解決に臨む主人公。決して大きな事件ではないがそれぞれストーリーは短編ではあるが結構凝っていて楽しめました。人の恐怖や弱い部分や心理の綾を堪能どれもハッピーエンドではないが読後はほっこり感が味わえました。
2016年6月小学館刊
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