読書備忘録

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仏映画「落下の解剖学」

2024-02-25 | 映画
2023年フランス・ヒューマンサスペンス映画。ジュスティーヌ・トリエ監督作品。第76回カンヌ国際映画祭バルムドール受賞作。第81回ゴールデングローブ賞で脚本賞と非英語作品賞を受賞。アカデミー賞でも5部門ノミネ―ト。
夫が不審な転落死を遂げ、彼を殺害した容疑で法廷に立たされた妻サンドラ(サンドラ・ヒューラー)の言葉が、夫婦の秘密やうそを浮かび上がらせる。人里離れた雪山の山荘で夫と視覚障害のある11歳の息子(ミロ・マシャド・グラネール)と暮らしていたが、ある時息子の悲鳴を聞く。血を流して倒れる夫と取り乱す息子を発見したサンドラは救助を要請するが、夫は死亡。事故か自殺か他殺か意見が分かれる中、唯一現場にいたことや、前日に夫とけんかをしていたことなどから、サンドラは夫殺害の容疑で法廷に立たされることとなり、証人として息子が召喚される。主人公で被告人のベストセラー作家サンドラの証言は一貫性がなく、加えて目撃者がいないことから検事、弁護士ビンセント(スワン・アルロー)、証人たちの発言や回想シーンは真実を物語っているように見えて、すべて状況から推測する「主観」であり、事件が他殺、自殺と著しく様相を変えていく。息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラ。事件の真相が明らかになっていくなかで、仲むつまじいと思われていた家族像とは裏腹の、夫婦のあいだに隠された秘密や嘘が露わになっていく展開は流石。ドイツ出身の女性監督の法廷心理劇、音を効果的に使っただけで最後まで飽きさせないで見せられた。フランスの裁判の様子・衣装も勉強になった。
今年のアカデミー賞脚本賞受賞。

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