読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

日向旦著「世紀末大バザール 六月の雪」

2010-10-20 | は行
第15回鮎川哲也賞 佳作受賞(第15回は受賞作なし)
ノストラダムスが世界の終末を予言した1999年5月。
主人公の本多巧28歳は新天地を求め東京を離れ大阪へ向かった。
所持金も心細くなった頃、偶然居合わせた2人組の悩みを解決したことがきっかけで、本多は仕事を紹介してもらう。
何ができるか、と問われ「探偵だ」と答えたことから家出人を捜すことに。
連れていかれた先は、増改築を繰り返した原色のモール。
お目付け役にオカマに見えない美少女がついたことで、俄然やる気を出す本多だったが、依頼された家出人捜索を開始早々、なぜか奇妙な密室事件が2つも勃発し・・・。
舞台が大阪は泉州地方南部、関西空港の近くにある架空の小さな町、そこにある半非合法な違法増築のショッピングモール。
ここには、いろんな過去を抱えた「くせ者」たちが集まり、一つの共同体を形成しているって怪しくっていい。
登場人物のキャラも面白いし、なによりも軽妙な関西弁が生きたコメディタッチのミステリー小説だった。
最後に明かされる真相も面白かった。
「他人は3月のやさしさを求めてくるが、そんなもん六月の雪を求めるのと同じだ。
・・・六月って、夏のことなんだ。雪なんか降るはずないだろ。やさしさを当てにしていたら、
ひどい目に遇うってこと。・・・でも、つい六月の雪を求めてしまうだろ。人間ってそんなもんだ。」(172P)
2006年6月東京創元社刊

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