読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

柚月裕子著「パレートの誤算」

2016-08-24 | や・ら・わ行
念願の市役所に就職が叶った牧野聡美は、生活保護受給者のケアを担当することになる。
敬遠されがちなケースワーカーという職務に不安を抱く彼女は先輩の山川に悩みを相談すると「やりがいのある仕事だ」と励ましてくれた。
その山川が受給者たちの多く住むアパートで撲殺されたうえにアパート火災に巻き込まれて・・・。
受給者からの信頼も厚く仕事熱心な先輩を何故?殺されたのか。山川の仕事の後を引き継いだ聡美は先輩の素顔を追うことになる。
生活保護をめぐる闇、不正受給、暴力団の影、事なかれ主義の役人、次々に疑惑が浮上。
山川の知らざれる一面が見えてきたときに新たな惨劇が起こる。
『「働き蜂の法則」「パレートの法則」・・・ある事情の二割が、全体の八割を担っている。・・・
人間は、法則や数式で成り立っているのものではない。わたしたちひとりひとりが努力して自立し、法則に基づいた社会ではなく、
すべての人が一人の人間として見てもらえる社会を実現したい。』(P336)
生活保護受給者の実態がよく分かる生活保護をめぐる社会派ミステリー。
意外な犯人ではあったが社会の弱者をめぐる日本の構造こそが問題だ。
2014年10月祥伝社刊

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