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読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

森沢明夫著「エミリの小さな包丁」

2017-12-08 | ま行

信じていた恋人に騙され、職場も辞めお金も少なくなり、居場所さえも失った25歳のエミリ。藁にもすがる思いで10年以上連絡を取っていなかった祖父の家へ転がり込む。心に傷を負ったエミリは、人からの親切を素直に受け入れられない。しかし、淡々と包丁を研ぎ、食事を仕度する祖父の姿を見ているうちに、小さな変化が起こり始める。食に対する姿勢、人との付き合い、もののとらえ方や考え方など。周囲の人たち、そして疎遠だった親との関係を一歩踏み出そうと思い始める。「毎日をきちんと生きる」ことは、人生を大切に歩むこと。人間の限りない温かさと心の再生を描いた、癒やしの物語です。

『古来、日本に伝わってきた浦は、心を意味する言葉なのだ・・・・外見を「表」とし、内面を心を「うら」とした。・・・「うらやましい」は「心がやましい」・・・「恨めしい」は「心が女々しい」「裏切る」は「心を切る」「うら寂しい」は「心が寂しい」「裏読みは」「心を読む」ことを言う。心=裏=浦=美しいもの。略すと「心=美」となる。・・・心が美しく保たれていること。日本人ってのは、昔から、その状態がこそがいちばん自然で、気分がいい状態だと』(P254)・・・一番気に入った文章でした。2016年4月角川書店刊

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森沢明夫著「たまちゃんのおつかい便」

2017-12-04 | ま行

過疎化と高齢化が深刻な田舎町で「買い物弱者」を救うため、大学を中退したたまちゃんこと葉山珠美は、幼馴染の壮介と引き籠りのマッキーの助けを借りて移動販売の「おつかい便」をはじめる。しかし、悩みやトラブルは尽きない。父の再婚相手フィリピン人の義母シャーリーンとのいさかい、救いきれない独居老人、大切な人との別れ・・・。それでも、誰かを応援し、誰かに支えられ、にっこり笑顔で進んでいく。

『命ってね、時間の事なんだよ・・・この世に・・・生まれ落ちた瞬間から、わたしたちはすでに。余命を生きていて、あの世に逝く瞬間まで「命」という名の「持ち時間」をすり減らし続けている・・・命=自分御持ち時間」(P123)

『人生に「失敗」はない。あるのは「成功」か「学び」だけ・・・やりてぇことやんねぇ人生なんてつまんねぇ』(P164)『人は、人に「ありがとう」と言ってもらえたときにこそ、いちばんピュアな幸福感を味わえる』(P258)

『お布団に入ったときに一日を振り返って、その日にあった四つの幸せをひとつひとつ思い返して、幸福感を丁寧に味わっています。そうすると、よく眠れるから。』(P305)

心があったまって、泣ける、お仕事成長小説でした。

2016年6月実業之日本社刊

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湊かなえ著「ユートピア」

2017-08-01 | ま行

心理サスペンス。足の不自由な車椅子の小学生・堂場久美香がきっかけに、母親たちがボランティア基金「クララの翼」を設立。しかし些細な価値観のズレから連帯が軋みはじめ、やがて過去の不穏な事件が姿を表わす。地方の商店街に古くから続く仏具店の嫁・堂場菜々子と、夫の転勤により社宅住まいをしている妻・光稀。そして宮原健吾の誘いで移住してきた陶芸家・星川すみれ。美しい海辺の町で、三人の女性が出会う。自分の居場所を求めて、それぞれの理想郷を探すのだが、女性同士の嫉妬、優越感、劣等感、腹の探り合いなどがこれでもかとリアルに描かれて展開される出来事。やがて5年前に起こった殺人事件があぶり出されて・・・。

田舎の人ならではの劣等感、田舎モノを見下す都会人の心境、障害者に対する偏見やいじめ、主人の会社の地位に基づく妻のヒエラルキー、大金を目の前にしたときの人間の卑しさなど、人間の弱さや女性心理が嫌になるほど最後に明かされる真実に2015年11月集英社刊も吃驚の湊かなえワールドでした。

2015年11月集英社刊

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宮本輝著「田園発港行き自転車」

2017-07-15 | ま行

絵本作家として活躍する賀川真帆。真帆の父は十五年前、「出張で九州に行く」と言い置いたまま、富山で病死を遂げていた。父はなぜ家族に内緒で、何のゆかりもないはずの富山へ向かったのか。長年の疑問とわだかまりを胸に、真帆は富山へ足を向ける。滑川駅の前に残された一台の自転車。亡き父の足跡を辿ると、出会うことのなかった人々との縁が広がりはじめる。一方東京の暮らしに疲れ、仕事を辞めて、故郷の富山に帰ってきた脇田千春。実家でふさぎ込んでいたが、親戚の中学生・夏目佑樹と触れ合ううち、自分らしさを取り戻していく。父のいない子として生まれた佑樹は、不思議な懐の深さを持つ青年へと成長していた。
美しく豊かな富山の地を舞台に人々の絆で富山・京都・東京、の家族の運命が交錯する物語。魅力的な善人キャラがたちが織りなす物語です。著者の何時もの事ですが、ある程度裕福な人々で善人の群像ドラマ。船見城址からの見る富山湾の夕陽・ゴッホの星月夜の風景・愛本橋の赤いアーチ・旧北陸街道、ゴッホの星月夜に似た風景。この本に出てくる風景を見に、鱒寿司・鯖の棒寿司など食べに旅立ちたくなります。著者の「人間関係の螺旋状の仕組み」にのっとった展開や広がりに妙に納得させられる。

「苦労も心配も悲しみも来ることでしょう・・・どんな家でもそれを閉め出すわけにはいきません・・・愛と信頼をとりそろえて打ち向かえば、先方に勝をとられることはない・・・・この二つを羅針盤と水先案内人にすればどんな嵐でもきりぬけられる」(下卷P172)

2015年4月集英社刊

 

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まさきとしか著「いちばん悲しい」

2017-04-13 | ま行

自分が「いちばん悲しい」と思う女達が入り乱れて殺人事件の真相に辿り着いて行くミステリー。

ある大雨の夜に殺された冴えない中年男戸沼暁男。その不倫相手の妄想女佐藤真由奈、残された妻杏子と中学生の娘、そして男の家族の苦い思い出となった、キャンプでの出来事。捜査一課の梶原勇一と組まされた府中警察署の我城薫子巡査部長は、事件の周縁をなぞるような捜査のはてに、決して暴いてはならない秘密をつきとめる。女たちの心の奥底にうずまく毒感情が、少しずつ溢れ、歪み、凶器となって、ついに人の命を奪うまでを描いた事件の真相。

誰一人共感できる人物が登場しないなんとも言えない読了感の物語でした。

2017年1月光文社刊

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湊かなえ著「ポイズンドーター・ホーリーマザー」

2017-04-05 | ま行

同じ出来事でも、見る人や立場によってこんなに見え方が違うという人の心の裏を描いたミステリー短編6つ。女優の藤吉弓香は、母親に会いたくない為、故郷で開催される同窓会の誘いを断った。中学生の頃から、自分を思うようにコントロールしようとする母親が原因の頭痛に悩まされてきた。同じ苦しみを抱えた親友理穂からの説得もあって悩んだのだが、そんな折、「毒親」をテーマにしたトーク番組への出演依頼が届く・・・「ポイズンドーター」

見方を変えた理穂の視点で書かれた連作「ホーリーマザー」他、

姉と妹・・・「マイディアレスト」脚本家女の痴妬・・・「ベストフレンド」

。男と女・・・「罪深き女」。押し付けられた性格誰にでも・・・「優しい人」。

被害者と加害者どの短編も「え~」もう終わりという不完全燃焼気味で唖然な気分だった。20165月光文社刊

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三崎亜紀著「ニセモノの妻」

2017-03-03 | ま行

表題作他中短編3つ。トツデンある日、一人の人間と全く同じ「ニセモノ」が出現してしまうという感染症が世の中に蔓延するパラレルワードが舞台。主人公の6年連れ添った「僕」の妻が「もしかして、私、ニセモノなんじゃない?」と言いだす。昨日までの妻と身体的特徴は全く変わらず、記憶も持っているが、ニセモノの自覚が芽生えた時点で「人」とは認められなくなる。「僕」はニセモノの妻と一緒にホンモノの妻を捜すことに・・・。赤の他人がひとつ屋根の下で暮らせば、さまざまな違和感も覚えるもの、それでも人間は、誰かと共に生きずにはいられない・・・表題作。引越しした夜、ジョギングに出た帰り道、終の住処になる予定のマンションを眺めると、光の灯る窓が一か所しかないことに気づく。時刻はまだ夜の八時で、部屋は完売しているはずなのに、他の住民はほとんど姿を見せず、マンションから離れた地域になぜか建設反対のノボリが林立する。その後も新居の周囲では不可解な出来事が起こるのだが。・・・「終の筈の住処」。「坂道」ブームが起きたある時、自宅に通じる坂道が守る会の有志により封鎖される・・・「坂」。突然起きた断層現象断層に落ちた人が突然消えるが・・・「断層」。どれも非日常に巻き込まれた夫婦の可笑しくてホロリと切ない物語だが、この不思議な物語の世界に素直に入り込めるかがカギになる小説です。

20164月新潮社刊

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宮部みゆき著「荒 神」

2016-12-08 | ま行

著者が映画「大魔神」からヒントを得たという伝奇時代小説。

「生類憐みの令」で有名な徳川綱吉の治世下、陸奥の国の永津野藩と隣の香野藩では諍いが絶えることなく続いていたがそんな中、小さな山村が壊滅的な出来事に襲われる。太平良山に潜んでいた化け物が動き出した。

人間の抱く憎しみと恨み、愚かさが怪物となり人々を襲い喰らい焼き尽くす。

永津野藩の鬼弾正、その妹朱音、マタギの少年蓑吉、謎の絵師圓秀、流れ者の用心棒の侍、幕府の隠密、朱音をひたう村人たちなど登場人物が多いが各人の心理や人となりが生き生きと描かれていて面白い。お家騒動、毒薬、山寺の謂れ、怪物との息詰まる闘いぶりなど迫力の緊張感ある展開に引き込まれながら楽しく読めた。

最後は見事な勇気と希望を抱かせる結末に終焉してさすがの宮部ワールドでした。

2014年8月朝日新聞社出版刊

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湊かなえ著「絶 唱」

2016-07-06 | ま行
「楽園」「約束」「太陽」「絶唱」の4編南の島トンガと阪神淡路の震災を経験した女たちの連作短編。
各編が繋がっていて武庫川女子大時代と青年海外協力隊として著者自身が2年間トンガで体感したことを
フィクションを交えて作家デビューに経緯今に至る原点を描く。
悲しみしかないと、思っていた。でも。死は悲しむべきものじゃない・・・南の島トンガの、
その人は言った。心を取り戻すために、約束を果たすために、逃げ出すために。忘れられないあの日のために。
別れを受け止めるために・・・。
「死」に打ちのめされ、自分を見失いかけていた。そんな女たちが秘密を抱えたまま辿りついた場所は、太平洋に浮かぶトンガ島。
そこで生まれたそれぞれの「希望」のかたち、 〝喪失〞から再生の物語。
トンガでゲストハウスを経営するナオミとトンガ人のセミシが絡む。今までの著者のミステリー物とは違う雰囲気の物語でした。
2015年1月新潮社刊
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深山亮著「必殺の三文判」

2016-06-27 | ま行
司法書士の著者ならではの痛快で人情味あふれる連作短編。
東京の古い下町の川井玩具の2階に住み司法処士と名乗る「乱橋衡平」が主人公。
そこには店番のお婆ちゃんといつも地味なジャージ姿の孫娘の川井葉苗が住んでいた。

古ぼけたパン屋を改装したい。そして新たな気持でパンを焼くんだ。そう意気込んで銀行に融資を相談するが、
前に借金をした際抵当に入れた店と土地の権利を返してもらってこいと言われる。借金は返しているので、
抵当権を消すよう貸主の妻にお願いに行くが断られた。・・・表題作他、
知り合いに貸したお金、そろそろ返してほしい・・・「666」
町工場の会長が自分の知らないうちに家の名義が妻に書き換えられていたと・・・「あばら家の名手」
4つ目の「処する女」で不思議な川井玩具での3人の関係が明らかになる。
乱橋の生い立ちや境遇が不明なのはキャラが濃いわりにちょっと惜しい。続編が期待できるかも・・・。
「人間生きていさえすれば誰かのために何かを処することができる。(P186)
2016年3月双葉社刊
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三崎亜記著「手のひらの幻獣」

2016-06-01 | ま行
近未来SFファンタジー。本物そっくりな動物のイメージを「表出」することができる能力者の日野原柚月。
同じ能力を持つ者たちが所属する会社に勤めて早10年。動物園などで力を生かしていたが、
力の運用を国家で統べる「研究所」が設立されて、ある日、出来たばかりの新研究所の警備する業務を任される。
しかしそこには異能力者のパワーを増幅する禁断の企みが隠されていて、その能力を国家間の戦争に利用しようとする計画が・・・。
近くて遠い並行世界を描き出す2つの中編の近未来SFファンタジー。
作者独特の世界に入り込めなければ理解しにくさがある寓話の世界の物語。
2015年3月集英社刊
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宮部みゆき著「悲嘆の門」上・下

2016-04-22 | ま行
 ミステリーサスペンス&ファンタジー
大学生1年生の三島孝太郎はネットセキュリティー会社で高校時代の先輩の紹介でアルバイトを始める。
ネット上に溢れる殺人者の噂を追うのが仕事。
やがて事件に巻き込まれたかもしれない友人を捜索しているうちに“動くガーゴイル像”の謎を追う
退職した刑事・都築と出会いそんなさなか異界の怪物ガラに遭遇する。このころ日本各地で死体を切り取る戦慄の連続殺人事件が世間を騒がせていたが、憧れていた会社の女社長が切断された状態で発見される。
孝太郎はその犯人を見つける為怪物ガラの能力を借り、言葉を見る能力得それをを使い事件を明らかにしていきます。 
「人間の想いから生じた言葉・・・言葉が発せられた瞬間から過去のものとなる。だから、すべての言葉は(言葉の残滓)でもあって、
落ち葉のように降り積もってゆくのだ。・・・昔から人はそれを業と呼んで・・・人の業・・・生きていく上で、人がどうしょうもなく積んで残してゆくものだ。それ自体に善悪はない。ただその働きが悪事を引き起こすこともある」(P385)
発する言葉は自分も気が付かないところで蓄積され、増殖して、自分に降り戻ってきます。虚勢を張る言葉ばかりを発している人は、それに等しい闇を抱かえている。同情が過ぎる言葉を発している人は、その根源となる原罪が隠れている。
言葉が、その人の精神を形作り、支配していくのです無自覚的に。
社会派ミステリーから始まった物語はいつの間にかファンタジーのゲームの世界に紛れ込んだような展開になり、
ごちゃまぜのまま最後には時間が巻き戻って死んだはずの人物が生き帰ってくる物語になり終わります。
この辺がこの作品を支持する人と宮部ワールドを楽しめないガッカリ派に分かれるところか。
主題は面白いのにこんな風に料理するところが作者の凄いところなのか、中途半端な力量不足なのか判断に迷います。
「愛情の反対語は憎悪ではなく、無関心だ。」(P246)
2015年1月毎日新聞社刊
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道尾秀介著「透明カメレオン」

2015-12-09 | ま行
ラジオパーソナリティの主人公とその仲間達の恋愛・家族愛・ミステリーの物語。
ラジオのパーソナリティの桐畑恭太郎は、冴えない容姿と“特殊”な声の持ち主。
今夜も、仕事が終わりいきつけのバー「if」でママや常連の仲間たちと過ごすだけが毎日の日課。そこで聞いた話や出来事を、楽しくて面白おかしい話につくり変えてリスナーに届ける。
恭太郎が「if」で不審な音を耳にしたある雨の日、びしょ濡れの美女・三梶恵が店に迷い込んできた。
ひょんなことから彼女の企てた殺害計画に参加することになるバーの常連らだが・・・。
陽気な物語に隠された、優しい嘘が悲しい。
細かく張り巡らされた伏線が後半一気に利いてきて明らかになる真実がどんでん返しなのだろうがちょっと感動が薄いのはなぜか。
2015年1月KADOKAWA刊
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湊かなえ著「山女日記」

2015-11-07 | ま行
山登りを題材にした人間模様の連作短編。各編ごとに主人公と脇役が入れ替わる趣向
このまま結婚していいのだろうか・・・その答えを出すため、初めての登山をする百貨店勤めの律子。
一緒に登る同僚の由美は仲人である部長と不倫中だ。由美の言動が何もかも気に入らない律子は、つい彼女に厳しく当たってしまう。・・・「妙高山」
医者の妻である姉から北海道の山に誘われた希美。翻訳家の仕事がうまくいかず、親の脛をかじる希美は、雨の登山中、ずっと姉から見下されているという思いが拭えないでいた。・・・「利尻山」
ニュージーランドのトレッキングツアーに参加した帽子デザイナーの柚月。前にきたときは、吉田くんとの自由旅行だった。彼と結婚するつもりだったのに、どうして、今、私は一人なんだろうか・・・。「トンガリロ」。
誰にも言えない苦い思いを抱いて、女たちは、一歩一歩、自分を見つめ直しながら頂きを目指す。
登りながら美しい風景に新しい景色が、小さな答えをくれる。
トラブルに遭遇したり同行者との人間関係に悩みながらでも登りきった達成感で前向きになれる。
自分探しの物語です。
他に登る山は「火打山」「槍ヶ岳」「白馬岳」「金時山」
2014年7月幻冬舎刊
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村崎友著「夕暮れ密室」

2015-07-14 | ま行
栢山高校バレーボール部は、その後の進路にも関わる大事な大会で惜しくも負けてしまう。
マネージャーで男子生徒の憧れの的、森下栞は、そんな落ち込む部員たちを明るく励ますのだったが、文化祭当日、校内のシャワールームで栞が遺体となって発見される。
現場は二重密室状態。しかも遺書も見つかったことから自殺として処理されそうに
・・・しかし疑念を持った部員の百瀬や國武、クラスメイトの松本果林たちは、真相究明に立ち上がる。
密室トリックと多感な高校生男女の切ない想いは描かれているのだが中途半端な感じはリアル感のなさか。
学校で起きた事件なのに警察も父兄も学校側の対応もあっさりしか描かれていない。
探偵役適任の森下栞があっさり殺されて誰が謎解きをと注目するが高校生の域を出ることなく意外性の動機も感じられず同じ学園ものミステリーの「ソロモンの偽証」や湊かなえの作品には遠く及ばない出来でガッカリだった。
著者が第24回横溝正史ミステリー大賞受賞前作として書かれて落選した作品だそうだが。
やはりの感は否めない。
2015年2月角川書店刊
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