メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少女名作シリーズ1 夢のバレリーナ マルバーン 偕成社

2024-03-21 15:32:18 | 
1972年初版 1983年 第30刷 谷村まち子/編訳
山下一徳/カバー図案 西村保史郎/カバー絵・口絵・挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します

こうした少女向け児童書をたくさん出版している偕成社さんも素晴らしいし
貴重な蔵書を何年も大切に保管している杉並区図書館もすごいな!!

少女向けに編訳されているから、原作はさらに素晴らしいことは間違いないけれども
一気読みできる分量で、ちゃんと感動するように編著されているのも貴重

特殊なバレエの世界を内側から描き
手堅い事務員にさせようとする両親や姉の言う事を聞きながらも
結局は諦めきれずチャンスをつかむ

彼女のセリフにもある通り、ニューヨークに暮らし、名講師に習い
母が名ピアニストを家に招いたことなど、恵まれた環境の素地があっても
無数に夢見る少女たちの中から選ばれるのは容易ではない

テストや本番に弱い私から見れば
どんなにプロになっても常に試される厳しい世界は
想像するだけで胃が痛くなる/汗

youtubeでも活躍してるネレアさんとヤマカイさんも
改めてスゴイんだなあと思った


【内容抜粋メモ】

登場人物
父 計理士
グローリア バレリーナを夢見る少女
ジュリー 姉 衣料品会社の事務員として家計を助けている
フィル 足をケガした弟

デミトリおじさん ピアノ講師 昔は有名な音楽家だった
オルガ先生 バレエ講師
ガーデナー バレエの振付師



●最後のバレエ教室
グローリアは、弟が足をケガして、医療費がかさむため
『マダム・オルガバレエ研究所』にもう通えなくなる

秘書エルメン:マダムはあなたが一番お気に入りらしいわ

6年間通っているこの研究所には、有名な舞踏家もたくさん指導を受けに来ている









父:もう14歳になったのだから、実際に役に立つことをするよう心掛けなくちゃいけない
グローリア:プロになる才能がないなら、今辞めるべきだ



●6年前の思い出
グローリアがバレリーナを夢見たきっかけは
一緒に暮らしているピアノ講師のデミトリおじさんが
ニューヨーク・メトロポリタン・オペラハウスでバレエを見せてくれたこと







小さい頃から踊るのが大好きなグローリアに
バレエのレッスンをさせたらどうかと親にすすめてくれた
デミトリおじさん:バレエは女の子にいいですよ 身体の形が良くなるから

父:
ウチにはレッスンに通わせる金はないよ
それより速記でもやらせたほうが役に立つ

デミトリおじさんは、ピアノのお弟子が1人増えるから
その月謝を回すと言って通うことになった



●習い始めの頃
最初は、バーの地道な練習が退屈だった
中級クラスになると、旋回、跳躍などを習う

講師:
この基本練習は、ルイ14世時代のバレエの先生が書いたもので
以来、ずっと使われている







初めてトゥシューズを買ってもらった時は嬉しさでいっぱいになる
一番安いのですら4ドルと聞いて驚く母

講師:一人前のバレリーナは1足を1興行以上は使わない

つま先立ちを教えてもらい、ようやく思うままに動けるようになったのに
辞めなければならず悩む



●お金持ちの親友
週2ドルの月謝以外は親からもらわず、バイトもしているグローリアと違って
サラはお金持ちで、映画女優になれるくらい美しい上
お抱え運転手が大型の自家用車で送り迎えをしている







先生:
グローリアは個性がある いつかきっと成功するでしょう
でも、まだ山ほどなすべきことがあるわ

辞める日に普段褒めない先生に褒められて戸惑うグローリア








●思いがけない幸運
辞める事情を話すために、オルガ先生の部屋に入ると
有名なバレエの振付師テリッカがこの夏舞台に出るため
群舞に使う少女のオーディションを月曜の2時半からやるから出るよう言われる

オルガ先生:合格すれば、舞踏家連盟に入って、週給は最低45ドルはもらえるでしょう

サラと一緒にテストを受けることにするグローリア



●グローリアの家
弟フィルは活発な子どもだったが、高い木から落ちて
医師から一生びっこをひくだろうと言われた

母:収入はぜんぶあの子の治療に使いましょう

働いている姉ジュリーは週給25ドルを家計に足している
芸術に疎く、グローリアがバレエを習っているのを苦々しく思っている







グローリアは高級なブルーム商店のショーウィンドウを見て
お金持ちになったら、ここで洋服を買う想像をする








●デミトリおじさん
グローリアが群舞に出ると話すと、ジュリーはブラウスを貸すと言う

グローリア:有名なパブロバも1日15時間練習したなら、私にも出来ないことはない

デミトリおじさん:成功は名声でなく、ひとつの理想を実現することだ

デミトリおじさんは元有名なピアニストだったが
ユダヤ人のため、ナチスがフランスに攻め込んだ時
友人がアメリカに逃亡させた

アメリカには知り合いもなく、左腕がリューマチにかかり、演奏会もできず
ピアノのレッスンで暮らしをたてていた

母は町でデミトリおじさんに出会った
昔、ピアノのレッスンを30分間30ドルで受けていたことがあり
夕食に誘うと、1人暮らしで孤独なことを知り、食堂を貸すことを思いつき
それからは家族のように暮らしている

デミトリおじさん:自分の芸は神聖なものだ



●心配と興奮
グローリアは緊張と興奮で眠れないまま、カールトン劇場に早く着く
テストを受ける少女は100人、そのうち合格するのは24人だけ

振付師ガーデナーはフランスで勉強したアメリカ人で才能が豊かだという噂
演技の順番は公平のためにくじを引く

1番手のコが合格して、明日10時にテリッカの前で本番のテストを受けることが決まる
グローリアは2番目ですっかりあがってしまい実力が出せず
ガーデナー:ダメだ! ちっともうまくない と言われてあっさり落ちてしまう

すっかり落ち込んでバレエを諦めると泣く
デミトリおじさん:一度失敗したら、また何べんでもやってみればいいんだよ

母:
私たちは、あの子が生き方を変えるよう仕向けなくてはなりません
長い目で見ればそのほうが幸せでしょう










●働く喜び
ブルーム商会で少女を求むという広告を見て、ブルーム夫人に会い
事情を話すと、学校の後~18時まで、土曜は1日 時給60セントで決まる(早っ!







帰宅し、仕事を見つけた話をすると

父:
事務員のほうが安定した仕事だ
私はいつもバレエは不経済だと思っていたんだ

いい加減な練習をして、グローリアよりヘタだったサラが合格したと電話がくる



●グレンの友情
ブルーム夫人の自慢の息子グレンはグローリアが好きになる
家族に紹介すると、すっかり気に入り、毎週土曜の晩にデートするようになる







グローリアがバレエ好きと知って、春の公演のチケットを取ったと言うと大興奮して喜ぶグローリア
公演後も興奮して話しても、グレンにはまったく良さが分からない
グローリア:バレエは私の生きがいよ!

グレンはグローリアが踊る姿が見たいと言う



●ふたたびバレエ界へ
デミトリおじさんのスタジオで家族とグレンの前で踊って見せると
フィルが大興奮して喜ぶのを見て両親も喜ぶ

グレンとジュリーはそれより商売の話で気が合う








●不思議な巡りあわせ
グローリアは、ふたたびオルガ先生の研究所を訪れる
オルガ先生:なぜ怠けていたの? 芸術は遊びじゃないんですよ

2か月前にテストに落ちたことがショックで、先生に会わせる顔がなかったと話す

オルガ先生:
あなたは一度しくじったけど、もうあきらめるの?
私も小さなバレエ団のテストで落ちて、泣き出してこの世の終わりと思った
どなりつけたのは、あのテリッカで、今では親友の一人よ
どんな上手なダンサーも1日最低1時間の練習を怠ってはならない







デミトリおじさんの話をすると、パリで貧乏していた頃に
何度も演奏を聴いて励まされたと話す

オルガ先生:月謝はあなたが払えるようになったら払ってちょうだい



●厳しい練習
オルガ先生:見物人のことを考えてはいけない 自分を楽しませるために踊るんです

グローリアは、たった2か月練習しなかっただけで
かつてないほど疲れて体中が痛むが、これほど幸福なことはない

グローリア:
これまで感謝する気持ちが足りなかった
失敗したことはいい勉強になった


夏休みになり、父は5ドル昇給し、フィルも少しずつ動けるようになる

父:
フィルにこんな幸福を与えられるのだから
世の中の多くの人にも与えることができると思うよ


グローリアは15歳で中学を卒業
友人は高校に進学したり、就職したりする
グローリアはブルーム商会の正式な店員になる







グレン:今のうちに辞めるほうが君のためにいいと思うよ
(自分のために都合がいいって意味だよなぁ

グローリア:
私たち、友だちに戻って、それぞれの道を進みましょう
ジュリーのほうがあなたに似合ってるわ

グレン:そのほうがいいだろうね 僕はバレリーナと一緒になる気はないから

アラン・ソーンの新ミュージカル『ピーター大帝』の
バレリーナ募集記事を見てチャレンジしようと思う
振付師は1年前にダメだと言ったガーデナー



●素晴らしい1日
早めに楽屋に行くと、ガーデナーが穏やかに迎えてくれて驚く
テストを受けるのは75人

グローリアは68番目に踊り、自分のために踊るという先生の声を思い出して
不安や怖れが消えて、ガーデナーは明日、テリッカのテストを受けるよう言い渡す

帰りはガーデナーと一緒になり、いつか自分でバレエをつくりたいという夢を話す



●晴れの初舞台
昨日パスした45人からさらに26人に選ばれたグローリア
ブロードウェイで興行するには、どれほど下稽古を積むか体験する

その前の“こてしらべ”として行ったフィラデルフィア公演は大成功する








●劇団の解散
でも、ブロードウェイでは酷評され、2週間後に解散するという予告を読む

ガーデナー:
6週間の稽古、3週間の公演 これが僕たちのやってるおかしな仕事だ
僕たちはこの道ではまだひよっこなんだ









●新しいバレエ
劇場に来てくれたデミトリおじさんを紹介すると大興奮して喜ぶガーデナー







3人で食事をして、自分でつくったバレエが成功するかしないかは音楽次第だと話す
グローリアがおじさんにすすめると快く引き受ける

それからガーデナーは時間に関係なく家に来て
デミトリおじさんは寝食を忘れて作曲する










●幸福への道
グローリアはガーデナーの知人の画家の秘書兼モデルの仕事をもらう
ソーンが加わり、グローリアは端役の小天使の役を得る

ブロードウェイで上演されると、ガーデナー、デミトリおじさん、グローリアも絶賛され
一気に有名になる

父:
デミトリさんはお金持ちになったのに、前よりもっと忙しそうだ
他の仕事なら、成功すればゴルフやブリッジでもしてゆっくり楽しむものだがな

娘が天才バレリーナになる日を夢見て両親はほほ笑み合う

(親にとっての子の成功は、お金をたくさんもらえるかどうかとか
 有名になるかいなかなんだよな








解説
グラディス・マルバーン
アメリカ生まれ 幼い頃からステージに立ち、21歳で引退
画家の妹カリネとロサンゼルスに住んだが
もっとやりたいことをやろうとニューヨークに戻り
妹は挿絵画家、マルバーンはラジオの台本を書く

原題は『バレリーナのグローリア』
自身の少女時代をモデルに本書を書いたとも考えられる
本書では前編のみ紹介



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